「金太郎アメ」が大事です。

前号で「これはシャンペインではない!」という問題に触れました。これは一例にすぎませんが、かの「阪急阪神ホテルズ・リッツカールトン大阪」の問題解決の仕方(危機管理能力とも言いますが)に直結しているとともに、およそサービス業の基本でもあります。

大事な問題は、「まったく疑問にも思っていなかったことを指摘された場合、どう行動するか」という「現場での判断力」、そして「経営として、誤っている問題は、早急に組織的に修正してゆく勇気」にあるのではないでしょうか。

「温故知新」の金太郎アメ

機内でグッドコメントを上げてもらおうとするのは、いとも簡単です。目指す旅客に集中的に話しかけ、世話をして、「好印象」を与えます。そしてフライトも終盤に近づいたころ、コメントカードを差し出して「お気づきの点がございましたら、どうぞお書きください」とオファーすれば、間違いなく「今日のクルーのだれだれさんは親切だった!」となります。これを回収して社内の「コメント担当」に送付すれば、間違いなく「サービスの物差し」として名前が上がることになります。

しかし、これでよいのか?といえば、当然ですが間違っています。一番喜ばしいあるべき姿は、「どの区間」「往復とも」「どのCAも」それぞれの個性にあふれてそのエアラインのブランドを感じさせる、という結果を生まねばならないと思います。

限られた人数で、ファーストもビジネスもエコノミーもなく、すべての搭乗客に「月の光が降るように」包みこむ対応が優先されるという考え方です。

さらに拡大すれば、予約の電話(最近はネット主流ですが)、空港カウンターでの扱い、機内へ入るまでの誘導案内、ラウンジなどの対応、機内、機内でのパイロットのアナウンス、降機後の預託手荷物引き渡しまわり、接続カウンターetcすべてが個人の勲章を得るためでなく、チームとしてどう輝くかが問題です。非常にセンシティブですが、こういう信条なくしては良いものを生み出せません。

 

私の現役時代、また客として登場する機内では、目立たなくても誠実に職務をこなしている方々を垣間見るとき、応援をしたくなります。

「金太郎アメ」とは、どこを切っても同じ「Good Service」がジューシーにあふれ出る様をいうものです。

 

新規「LCC」は軒並み損失!「格安航空」礼賛政策の行方・・・!

半年ほど前、格安航空に勤務する知人と話をする機会を持ちました。ロードファクターの好調さ(70~90パーセントという報道など)を聞いていた私は「損益か経常収支か、四半期あたりの決算などでは儲かっているの?」と尋ねました。知人は、「社内ではそういうことはまったく知らされていない」ということでした。そして・・・。

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エアアジアジャパン消滅

一方で2013年7月には、「エアアジア」が「エアアジア・ジャパン」から手を引くということが決まり、ANAがバニラエアとして再出発するというニュースが伝わりました。理由は「エアアジア流の売り方では、お客を集められない・・つもり収支の向上が見込めない・・・つまり日本市場では商売にならない」と決断を下した模様です。

ジェットスターも大赤字で増資

オーストラリアのナショナルフラッグであるカンタス航空が率いる「ジェットスター」その配下である「ジェットスター・ジャパン」も人気路線でのロードファクターは上がっても全体では経費倒れになってきているのが実状のようです。

LCC対策の歴史を紐解けば・・。

国際航空運賃の価格破壊は、アメリカを代表していたPANAM(1945年のIATA設立メンバー)はじめアメリカン・デルタ・ユナイテッドなど大航空会社がIATA(国際航空運送協会)の運賃に従わない、ということが始まり、さらにカーター大統領による「航空規制緩和・ディレギュレーション」で格安運賃競争となり、パンナム・ウェスタン・イースタン・TWAなどが破綻しました。その後アメリカでは事故が重なり、「新たな安全規制強化」がはかられるようになりました。その象徴は、権力から独立した「NTSB事故調査委員会」や[FAA連邦航空局」に見られます。

その後アメリカでは「サウスウェスト・ジェットブルー」など国内線で同一機種を用いて整備・訓練などを合理化し、かつ専門の路線を頻繁に飛行する、などで大きな飛躍を遂げました。しかし、路線別の搭乗率にかかわらず広いネットワークを持つことを使命としている国際線各社は、一度は「財政破たんでチャプターイレブン(連邦破産法)入り」しています。

LCCの発達は国や地方によって違う

このように、広大なアメリカでは、工夫を重ねた発達がありました。ヨーロッパでは国際線といってもほとんど国内線並みの地形に合ったLCCの激化・発展が長い時間をかけて行われました。「ライアンエアー」などが有名です。

EUでは経済危機を抱えている中で国際線といえども、いわゆる「ナショナルフラッグ」というとらえ方をやめて、オランダとフランスが「KLMエールフランス」を形成し、ルフトハンザのもとにスイス航空・オーストラリア航空などが集結している状況です。

アジアでは、特にマレーシア・シンガポール、インドネシア、タイ、フィリピンなどのアジアは地勢的に「島と島」を結ぶ交通機関であった船に代わり、1000円ぐらいから乗れる「LCC」があっという間に発達しました。シンガポールを拠点とした「エアアジア」オセアニアを支配するカンタスジェットスターはその雄ともいえます。

また、ネットワークを持ちつつコストダウン!という狙いで国際的な航空連合「アライアンス」が現在では、国際線の雌雄を決する事態ともなっています。

ちなみにANAは、「スターアライアンス」JALは「ワンワールド」このほかに「スカイチーム」があります。

ニッポンのLCCと空港と航空路

10年ほど前からアジアでは、航空が大きく進みました。その前線基地はインフラです。空港の規模が「成田空港」が出来上がり国際線が羽田から成田に移転した当時からもう離されていたという状況でした。シンガポール チャンギ空港などは、当時のフランクフルトアンマイン空港の規模を除けば、当時のアメリカヨーロッパの空港群と見劣りがしませんでした。日本では、政治的な過ちを繰り返したことで、成田開港が1978年と遅れ、開校した時にはCIQなどの諸設備でももう後れを取っていました。

また、開港へ向けては、東北新幹線などと同時期に「東京成田の新幹線」を開通させる計画でしたが、この遅れが今も利便性という点で後遺症となっています。

※ 空港整備特別会計

空港というインフラを整備したり管理するために、空港使用料・のちに加えられた航行援助施設料などの税金に加えて一般会計予算からも1100億円合計3200億円ほどの収入で「空港整備特別会計」→2008年から「空港整備勘定となる」で運営されています。

アメリカとの貿易摩擦で「ボーイング社の航空機を多量に購入した」ことで、購入した航空機に応じた滑走路の合計が必要となり、全国に「99」もの空港をつくるという政策がとられることとなりました。この費用は、この特別会計で運用されました。

この一方で、アジアに伍する様ないわゆる首都圏「ハブ空港」としては、「羽田」「成田」の発着回数を増やす、滑走路を増やす(羽田は4本、成田は2本)などを政策化して、一度は「成田国際」「羽田国内」に分けたものを再び「羽田の国際化」「成田から国内線をつなげる」というふうに変化してきました。

ハブ空港という考え方

ハブ空港という視点から言えば、アジアにおいては日本は大きな後れを取りました。先ほどのシンガポールでは、1981年「パヤレバ空港」から現在の「チャンギ空港」に、香港はカイタック(啓徳)から1997年「香港国際空港(チェク・ラブ・コック)」に、2001年韓国には金浦空港に加える形で仁川インチョン国際空港を、また、1999年北京ではこれまでの空港に大改修を施し世界第2位の旅客数を誇る「北京首都空港」へと変身しました。上海では、「上海虹橋空港」に加えて1999年に「上海浦東(プートン)空港」が開港。クアラルンプールでは、「スバン空港」から1998年現在の「森の中の空港・空港の中の森」と詠われる「クアラルンプール国際空港」が開港しました。2006年 タイでも「ドンムアン空港」から「スワンナブーム国際空港」へと華やかに拡大されました。

まさに、アジアの経済成長は先を見通した「空港整備」から始まって現在があるといっても過言ではありません。日本の場合、航空政策が政治に弄ばれた結果、客観的には「首都圏の国際線空港」の機能としては、いささか見劣りがいたします。

国交省の空港の規模から言いますと、拠点空港の中で民間管理空港は成田・中部・関空・伊丹の4か所、国管理空港は千歳・羽田・福岡・那覇はじめ26か所あります。9月10日の国交省発表によれば、国管理空港のうち黒字は、「新千歳、小松、熊本」の3空港だけということです。

話は戻りますが、日本の経済成長、アジアでの占める位置からすれば、「アジアの拠点・ハブ空港」として「どこに資本を投下すべきだったか」は明らかだと思います。

「アジアゲートウェイ」と「オープンスカイ」

さて、「アジアのLCCがやってくる!大変だ!」といいながら、2007年「アジアゲートウェイ構想」という政策がとられ「空港」と「エアライン」が合意すれば、「自由に運航できる」ということになりました。しかし、肝心な羽田や成田などは、スロット(発着枠)が足りないうえ、発着料金も高く、「自由に運航できる」という実態にはなっていません。

また、アメリカとの不平等な航空協定を是正できないまま、2010年「オープンスカイ政策」を取ったため、日本のエアラインの主たる収入源だった「太平洋路線」「アジア路線」も競争が激化してきました。

LCCの現状と問題点

収入面でいえば、ドル箱路線である国内幹線は、JALとANAがそびえたち、「スカイマーク」「エアドゥ」「スターフライヤーズ」「ソラシドエア」などのこれまでの「格安航空」そして成田を拠点とした「JAL系ジェットスター・ジャパン、ANA系エアアジア・ジャパン→バニラ・エア」の攻防、健闘する「ピーチ・エア」そして中国の春秋航空韓国の「チェジュ航空」などなどまさに入り乱れて、「際限のない格安合戦」に突入しています。

安全は??

この一方で、自由競争ができるように!外国のLCCと戦うために!という大義を掲げて、航空法の規制緩和も10年来続いてきました。

安全に直接かかわる部分も

・キャリーオーバースタンダードの緩和(故障しているパーツや箇所があっても直さなくても運航できる範囲)・整備の条件緩和・・・(エアラインが重要な整備までも外国に外注することができるなど)整備士の配置人数の緩和、整備士の資格制度変更などなど。

近年では、一日に離着陸できる回数を増やせる・機材を連続して運航できるように、LCC対策として「飛行間の整備点検はいらない」「旅客が搭乗中に燃料を入れてもよい」などの緩和を行いました。

そして最近、ジェットスター・ジャパンやエアアジア・ジャパンで「法定の整備点検を7~8か月も行っていない」ことが発覚し、航空局から厳重注意を受けるに至りました。

「成長戦略」といいますと額面だけ取れば、期待を弾ませたくなりますが、これまでの航空における「成長戦略なるもの」は、地方空港における需要予測といい、アジアの伸び方に対するインフラの在り方といい、まるで20年は遅れてしまっているものです。

現在、有識者も含めて「産業競争力強化法案」なるものが国会審議されているようです。航空の二の舞をすることなきよう祈るばかりです。

「過密化している日本の航空路」については次回にまたお話しいたします。

 

 

 

 

 

 

 

「お・も・て・な・し」劣化の象徴ともいえる「一流ホテル」偽装メニュー事件!

「阪急・阪神ホテル」並びに「リッツカールトン」においての「偽装事件」は、驚きを超える事態でありました。

私は、主に国際線の航空機に30年間乗務したということは、その3分の2つまり20年間にわたる夜は、機内かホテルで過ごしたことになります。(日本の基地において1か月に10日の休日が保証されていましたので20日は外地)

また、エアラインの思惑(ホテルとの提携・乗員がStayしているというviewingを活用して日本人旅行客にアピールする→パッケージ旅行への影響力・大株主経営のホテル・・・、日航系列ホテル)などもありましたが、かつては一流ホテルにも滞在しておりました。この点で、「ホテルは家!」・・実際に家庭で寝るよりホテルのほうが多いという実状でした。

およそ、これまでホテル業界は、「ホスピタリティーの象徴」と言われてきたものです。特に「一流ホテル」は、そのブランド力で「宿泊」「国際会議を含む宴会・会議」「レストラン・ティールーム・バー」を三本柱として営業をしてきたものです。

「劣化の象徴」への疑問?

1.なぜ、7年間も内部で自浄作用が起きていなかったので  しょうか。

2.事件発覚後の記者会見での「役員・社長の態度!」

「偽装でなく内部的連携不足」と言い張り、「偽装ではない!」と。事態を糊塗しようとする姿勢の原因は、「阪急・阪神グループ」つまり親会社の意向を伺いつつの発言であろうことは透けて見えますが、それにしても「接客・ホスピタリティー」の最前線の責任者が、「永きにわたる信頼を裏切ってしまった」という哀しみがかけらも漂わないのは、不思議です。

かつて、JALでは・・・1980年代のことだったと思いますが・・。

「ウェルカム シャンペン」というサービス、実は・・!

Cクラスいわゆるビジネスクラスでは、搭乗後すぐに「ウェルカムシャンペン」というサービスが実施されていました。長い間疑問を持つこともなくサービスされていましたが、ある英国人CAの指摘から、こういったメニュー表示は是正されました。

詳しくは、2005年の弊ブログ「これは、シャンペインではない!」を!

山崎豊子さんを偲んで・・読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」」26日OA

読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」の番組では、山崎豊子さんを偲んで下記のテーマについて論議が行われました。

議論するパネラーは、8名の方々。私は、「沈まぬ太陽」と関連してその後の「航空界は?」というテーマのゲストとして出演いたしました。映画「沈まぬ太陽」 キャスト&スタッフ角川公式サイト

残念ながら東京はじめ関東には放映されませんが、他の日本テレビ・読売テレビ系列ネットでは全国放送されます。一見いただければ幸甚です。

津川雅彦さん(俳優)田嶋陽子さん(元参議院議員)加藤清隆さん(政治評論家)長谷川幸洋さん(東京新聞・中日新聞論説副主幹)宮崎哲也さん(評論家)井上和彦さん(軍事ジャーナリスト)竹田恒泰さん(慶應義塾大学講師)桂ざこばさん(落語家)
10月26日放送の主なテーマは、
「白い巨塔」・・その後の医学界について?
「沈まぬ太陽」・・その後の航空界は?
でした。次週は、
「不毛地帯」「華麗なる一族」「運命の人」がテーマとなります。

「覚醒させよ!」ニッポンの「もてなし」

途中経過、賛否はあるにせよ、待ったなしで2020年のオリンピックが東京にやってくることになりました。「放射能汚染水漏れ」が世界で心配されている状況からすれば、IOCの思惑なども絡み、今回は「奇跡的な呼び込み成功」であったようにも思えます。

「プレゼンテーション」のなかで、とりわけ目立ったのがまるで東洋の日本人を感じさせない美しい滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」だったように私には感じられました。

決定的なのは、読んだり暗記したりの言葉ではなく、流ちょうな英語・フランス語 が駆使されたこと、そしてその「落ち着いた所作」にあったのではないでしょうか。言葉は大切です!グローバルとかインターナショナルな雰囲気を十分にかもし出されたように思えます。

1945年終戦後ニッポンは「フジヤマ・ゲイシャ」という解りやすい表現で名をはせたこともあります。まず、世界文化遺産として指定されたことからもわかりますが、富士山といえば、その「美しい姿」とともに、古より「日本人の精神的支え」という側面もある、ということはワールドワイドで知られてきました。

では「ゲイシャ」はなんでしょうか。もちろんKimonoを着て踊り謡う美しい「芸者・芸奴」さんそのものに感動する面もあったと思いますが、「蝶々夫人」に描かれた如く日本女性の心のたおやかな側面まさに「もてなし心」を代表したワードではなかったのかとも考えられます。

ちなみに、明治維新をふり帰れば、当時の槇村府知事によって日本初の「京都博覧会」が催され、その華やかさの象徴として、「都をどり」も催されたものと聞いています。座敷舞であった芸術を「都をどり」として舞台化した企画などは、なみなみならぬセンスだと思います。

今更ですが、京都は日本の歴史文化の原点でもあり、関東生まれ育ちの私などはまさに「光は西方より」と感じ続けている次第です。

さて、日本が戦後の経済成長を極めた1960年代~1990年代は、有力な商社・銀行・機械/自動車/電気メーカーなどの多くの企業が世界へと飛び出しました。

幸運にも、その奇跡的な30年間を世界へ向けての日本の足(翼)として活躍してきたエアラインに乗務してきた私は、搭乗目的(ビジネス・観光・冠婚葬祭)を問わず、クラスを問わず(ファースト・ビジネス・エコノミー)数十万人の旅客の皆様と接して参った経験を持ちました。

この間は、いかに「美しくも気持ちよい、いざという時に頼りになる客室乗務員を育てるか」ということ「一点」に腐心していたことを思い起こします。

さて、2020東京五輪は、「日本のもてなしとは、これだ!」ということを世界に示す最大のチャンスでもありますが、同時にニッポンのいう「お・も・て・な・し」ってこんなもんだったの?という危険性も含んでいます。

観光・旅行業からすれば「経済成長を遂げるアジアは絶好のマーケット」ということはもはや常識ですが、同時に「アジア人こそホスピタリティーで競う場合は、最大の敵でもある」と認識しています。(サービスという概念がなかった国は除くとしましても・・)「遠交近攻」という言葉も思い起こされます。

さまざまな労働環境変化があったとはいえ、ニッポンの多くのサービスが「安くて便利」に傾き「表層崩壊」している状態もあると感じます。しかし、国民的にそういう自覚は少ないのではないでしょうか。

次回からりアルな体験をもとに「私ならこういうSituationでは、こうする!」ということを考えていただけるようなお話を書き綴りたいと思います。