前号で「これはシャンペインではない!」という問題に触れました。これは一例にすぎませんが、かの「阪急阪神ホテルズ・リッツカールトン大阪」の問題解決の仕方(危機管理能力とも言いますが)に直結しているとともに、およそサービス業の基本でもあります。
大事な問題は、「まったく疑問にも思っていなかったことを指摘された場合、どう行動するか」という「現場での判断力」、そして「経営として、誤っている問題は、早急に組織的に修正してゆく勇気」にあるのではないでしょうか。
「温故知新」の金太郎アメ
機内でグッドコメントを上げてもらおうとするのは、いとも簡単です。目指す旅客に集中的に話しかけ、世話をして、「好印象」を与えます。そしてフライトも終盤に近づいたころ、コメントカードを差し出して「お気づきの点がございましたら、どうぞお書きください」とオファーすれば、間違いなく「今日のクルーのだれだれさんは親切だった!」となります。これを回収して社内の「コメント担当」に送付すれば、間違いなく「サービスの物差し」として名前が上がることになります。
しかし、これでよいのか?といえば、当然ですが間違っています。一番喜ばしいあるべき姿は、「どの区間」「往復とも」「どのCAも」それぞれの個性にあふれてそのエアラインのブランドを感じさせる、という結果を生まねばならないと思います。
限られた人数で、ファーストもビジネスもエコノミーもなく、すべての搭乗客に「月の光が降るように」包みこむ対応が優先されるという考え方です。
さらに拡大すれば、予約の電話(最近はネット主流ですが)、空港カウンターでの扱い、機内へ入るまでの誘導案内、ラウンジなどの対応、機内、機内でのパイロットのアナウンス、降機後の預託手荷物引き渡しまわり、接続カウンターetcすべてが個人の勲章を得るためでなく、チームとしてどう輝くかが問題です。非常にセンシティブですが、こういう信条なくしては良いものを生み出せません。
私の現役時代、また客として登場する機内では、目立たなくても誠実に職務をこなしている方々を垣間見るとき、応援をしたくなります。
「金太郎アメ」とは、どこを切っても同じ「Good Service」がジューシーにあふれ出る様をいうものです。