~「JAL不振の原点がどこにあるのか」を反省しない限り、日本の空は、輝かない~
6月22日の報道によれば、「政府」は、JALに対しての「政投銀」による融資を認めたとのことです。
今の世界の航空情勢は、「9.11」「SARS」などでの利用者減に加え「燃油費高騰」での著しい経費増、これに加えて「アメリカのサブプライム金融破壊」による不景気と好材料は見当たらない点で共通しています。更に、安全性をも緩める「航空の規制緩和」でどのエアラインも「格安運賃競争」にさらされ「行き過ぎた顧客囲い込みのマイレージという約束手形の乱発」でなかなか「利益」を上げられない構造下におかれています。
こうした中で、アメリカの大手エアライン4社は、いずれもチャプターイレブン(連邦破産法)の適用を受けて、健全経営できるまで、国家が管理する形で会社運営をしています。
これはつい最近の「GM」「クライスラー」と同様で、航空の場合は、10年も前から、事実上の破産に追い込まれているのです。
EUといえば、アメリカ中心の経済から、EUの独立を図り、航空においては、「フランス・ドイツを中心としてヨーロッパの力でエアバスという航空機を製造し、ボーイングと拮抗するようなところまできており、エアラインとしてもエールフランスとKLMが統一しているように、国家を超えて、ユーロとして対応しています。
アジア・中東でも、国家の力の元にそれぞれのナショナルフラッグエアラインは、どんどん伸びています。
こういう風景の中で、日本においては「オープンスカイ」とか「アジアゲートウェー構想」など日本への外国エアラインの乗り入れ規制を外す方向に舵がとられています。(一面では、赤字に悩む地方空港にとっては、頼みの綱ともなっていますが・・・」
国際線を主力とする「準ナショナルフラッグキャリア」である日本航空、あるいは、国内線の採算性の優位性を併せ持ち、国際線においても急成長しているANA、(国際線定期航空路をもつエアラインは、日本にはこの2社しか存在しません。)などに「政府が支援」するのは、世界から見れば、「遅かりし」と言っても過言ではありません。当然であると思います。
更に、航空政策の過ちから、日本中に99ヶ所も地方空港を造る一方で、本来「アジアのハブ空港」となるべき、「成田空港」「関西空港」などへの「国家的整備」を怠ったことからアジアの「客と貨物の流れ」は、「インチョン」「香港」「北京」「バンコック」「シンガポール」などの近代的空港に引き寄せられているのです。その上、怒涛のように押し寄せるアジアの格安航空、アメリカ・ヨーロッパの大エアライン群に、日本のエアラインはどう対処せよというのでしょうか。もちろん、民間航空の狭い空域から来る過密度、羽田などは、いくらランウェーを増やしても発着枠が取れなければ、将来も明るいものとはなりません。
JALであれANAであれ、こういう観点では、日本の航空経営者は、政府の政策に対してもっと物申さなくてはいけないのではないでしょうか。
だいたい、一機100億円以上もする新鋭航空機を次々に導入できる資金力など、一民間航空に出来るわけがありません。20機で2000億円です。特に「飛ばせば、儲かる」という道を歩んだ経験のあるJALでは、その感覚が大いなる発展を妨げているようにも思えます。
いっそのこと「日本航空は、経営上の不手際から、財政上現在新型機が購入出来ない状況です。その分、現有機材を大事に大事にメンテナンスして飛ばします。日本国民の皆さま、しばらくの間、海外へ行かれる場合はどうか日本の翼をお使いくださいますようお願い申し上げます。」とでも「新聞一面広告」でもしたらどうでしょうか。本当に利用者に、ご搭乗をお願いする姿勢を打ち出す事のほうがよほど共感を得るのではないでしょうか。日本人として、かつての日本航空への愛着度からして、です。
もともと、日本航空は、国策会社として出発して「日本の翼」という地歩を築いたものです。国の庇護なくしては、ここまで成長できたかどうかは、誰もが認めるところなのではないでしょうか。
~「人件費が高い」という伝説に利用者は誤魔化されてはいけません~
下記の報道参照: 与謝野財務相は「JALに高コストの部分があれば直してもらいたい」
「人件費を削る」ということは、どういうことか、といいますと、経営者にとっては、もっとも簡単な手法です。経営上の何の施策も工夫もしなくともできる安直な手段です。あまりひどいことをすると「現場」から「それはやり過ぎではないか」という声が挙がると困ります。しかし、会社がてこ入れした労働組合さえ抑えておけば、この方法を何年でも続けられます。そして、数々の乱脈経営をして「赤字何千億円」も垂れ流ししました。しかし、誰一人として責任を取った者は、いませんでしたし、このことに関しては、何の反省もなく、今も連綿と続いています。この辺は、小説「沈まぬ太陽」に描かれている場面とそっくりです。
実は、「人件費を削る」という甘い言葉は、そのまま「利用者」に跳ね返ってくるのです。具体的に言えば、
整備は、子会社化、更に中国・シンガポールなどアジアへの外注化などでコストダウンされますが、日本航空本体には整備技術の伝承をするどころか、整備部門が日に日に薄くなってきています。外注化した結果、『左右のエンジンを反対に装着して、納品され、それに気づくのに半年かかった・・・2005年』、なにをかいわんやの状態です。
空港カウンターでは、制服は同じでも、本体の社員はいなくなり、子会社化されて、労働条件も悪化してベテランが居ずらくなっている状態で、また、どんな事態にも「本体として」対応できる能力も機能も薄くなりました。発券・チェックイン・フライト・到着までのチームワークも「金太郎飴」・・どこを切っても均一の安全とサービス・・・など昔の面影も見当たりません。
機内では、客室乗務員は、外国人と契約社員が圧倒的にその数を占めています。私から言わせれば、即席に近い訓練でラインアウトした新人も、その仕事の過酷さを改めて知ることになり、3年待って正社員という道まで待てずに辞めてゆく者も多いと聞きます。かつてでは考えられないことが起きています。またベテラン乗務員も、何もわからない、動けない新人を員数として動いてもらうために「へとへと」という有様のようです。こんな状態で、「緊急事態」に対応できるのか、「こころからの笑顔」を乗客に出せるのか、といえば、暗い答えしか見つかりません。
大変重要なことは、「サービスのダウンは、眼で見える」のですが、「安全の規制が緩んでいる」ことは、利用者から見えにくいことです。
同じ時期に「JAL機の脱輪事故ー羽田2005年」の原因について、安全運輸委員会の報告が報じられています。思えばこのときからあらゆる現場(操縦席・客室・整備)でのミスやトラブルが続きました。2005年から「JALJAS統合」「大量の早期退職」「賃金カット」「ボーナスカット」などが行われ、現場の「モチベーション」は下がりっぱなしで、過去の栄光からすれば、見るも無残な姿と思えます。さて、この上に、何を減らせば「やる気」がおきるのでしょうか、三つも大臣を兼務する閣僚にお聞きしたいものです。
日本航空支援、政投銀による危機対応融資に協力したい=財務相
6月22日11時45分配信 ロイター
[東京 22日 ロイター] 与謝野馨財務・金融・経済財政担当相は22日の閣議後会見で、国交相から日本航空(JAL)<9205.T>に対する日本政策投資銀行(政投銀)の危機対応融資について要請を受けたことに関連し、JALが経営改善に全力あげることを前提に協力したいとの意向を示した。
政投銀による融資が行われれば、一般銀行も支援に応じる可能性も指摘した。
社会保障費の取り扱いをめぐって政府・与党で最終的な調整が続いている「基本方針2009」(骨太の方針)に関しては、骨太方針2006の堅持を強く期待すると述べた。
与謝野財務相は、閣僚懇談会で金子一義国土交通相から、日本政策投資銀行による危機対応融資の実施について協力の要請を受けたと説明し、「協力したいと思う。同行にも要請内容を良く伝えたいと申し上げた」と述べた。
与謝野財務相は、大企業を含め資金繰りに苦慮している中で、航空会社は燃料高騰や世界同時不況による旅客減に直面しているとして「なかなか経営が大変」との認識を示し、「政投銀が融資をすれば一般銀行もついてくる」との見通しを述べた。
また、国交相から無条件の融資でなく、経営改善に全力を挙げるとの認識の下で融資が実施されるとの説明や、融資実施でJALに対する政投銀の融資シェアが一時的に高まるが、抜本的な経営改善計画策定時には、従前以下に引き下げるよう、最大限の努力をしたいとの発言があったと述べた。
この点に関して与謝野財務相は「JALに高コストの部分があれば直してもらいたい」と指摘。年金などの将来債務の削減や社員数の適正化などを例を挙げ、労組を含めて「かなり関係者が協力している」とし、「経営改善計画をきちんとやれば経営はよくなると思っている」と述べた。
政府・与党は、経済財政運営の基本方針となる「骨太方針2009」の23日とりまとめに向けて最終調整を行っているが、自民党内では社会保障費の自然増から2200億円を削減など歳出・歳入一体改革を明示した「骨太方針2006」の堅持に反発が強まっている。
これに対して与謝野財務相は「自民党は昔からいろいろな難しい問題に直面するが、最後には全体としての良識が働く。骨太2006は堅持することになることを強く期待している」と語った。
(ロイターニュース 平田紀之、伊藤純夫)
最終更新:6月22日11時45分
日航機脱輪:前脚に過大荷重…運輸安全委が調査報告書
05年6月に新千歳空港発の日本航空1002便ボーイング767-300型機(乗員・乗客222人)が羽田空港に着陸した際、前脚のタイヤが2本ともはずれて走行し、乗客17人が軽傷を負ったトラブルで、運輸安全委員会は29日、調査報告書を公表した。接地時に、機体中央付近にある主脚がバウンドしたうえ、着陸を担当した副操縦士が機首を下げる操作をしたため、接地した前脚に過大な荷重がかかったことが原因としている。
トラブルは同月15日午前10時ごろ発生し、同機が羽田空港A滑走路に着陸した際、前脚右側のタイヤがはずれ左側タイヤも破損してはずれた。前脚はホイールのみで走り、停止した。当時、機長昇格のため訓練中の副操縦士が操縦していた。
着陸は通常、機首を上げ、主脚が接地した後、前脚を接地する。報告書では、主脚が接地する際、強めに接地したため、主脚のタイヤが滑走路から離れるほどではなかったが、バウンドした。この際、機首を下げる操縦かんの操作をしたため、機体の重量が主脚にかかる前に前脚にかかり破損したとしている。
日航はトラブルから約2カ月後の05年8月、機長や副操縦士に配布するマニュアルを「大きな下げかじでノーズホイール(前脚)をタッチダウンさせてはならない」と改定した。
日航は「けがをされたお客様に改めておわびします。報告書の内容を精査し、再発防止に向けて対応を検討します」というコメントを発表した。【平井桂月】
毎日新聞 2009年5月29日 13時36分