~合併によって大きくなることと「利用者の利便性」は必ずしも一致しない~
「デルタ」と「ノースウェスト」に続き、「ユナイテッド」と「コンチネンタル」と、アメリカの最大手エアラインの統合・合併のニュースが続いています。燃油費高騰や外国エアラインとの競合からこうした動きが進んでいるものと思います。
アメリカでは、「国内限定で多くの便を格安かつグッドサービス」で飛ばしている「ジェットブルー」や「サウスウェスト」が堅調な経営をしていますが、こことて「安全面」では、不安な部分も見え隠れしています。国際線を主体とした米大手エアラインは、747など大きな機体を運航するほどの需要にかげりが生じ、エアラインのブランドともなる多数のネット網を持てば、赤字路線も当然存在します。こうした要因が「統合・合併」への逃げ道にも通じています。
アメリカは、世界に先駆け、1970年にカーター大統領が「ディ・レギュレーション=規制緩和」を断行しました。この結果、さまざまな格安エアラインが林立し、世界の翼とも「グレイトアメリカの強さの象徴」とも言われた「パンナムやTWA」を破綻に追い込みました。
現在の「リーマンブラザーズ破綻、ゴールドマンサックス・AIG保険の不安要素」にも良く似た現象でした。キーワードは、金融も航空も「規制緩和」という市場主義邁進の付けであったことです。いつか来た道です。
利用者の目線で見れば、使えないことも多い「各種割引・マイレージ」で目を奪われがちですが、航空の正規運賃は、上げられることはあっても決して値下げされていません。
航空業界は、超高速で運航する公共の交通機関という社会的使命を再認識し、「正々堂々のリーゾナブルな正規運賃を準用する」「これには法的規制を強めダンピングを阻止する」「安全運航の度合いー自社整備・パイロット養成・CA訓練経験の規制/ライセンス化」などを誠実に履行し、「安全とサービス」に立ち戻って再出発すべき時期に来ているのではないでしょうか。
莫大な費用を要する「機材更新」を運命ずけられている航空会社に、ファンドが銀行が「合理化せよ」と迫ります。資金繰りに困ったエアラインは、銀行筋やこれを鵜呑みにしたメディアを巻き込んで、「スリム化しなければ、金は出せない」と半ば脅しにかかっています。
翻訳すれば「形式的には安全は守らねば困るが人件費をもっと削れ。」ということです。窓際化した人員に対してなら「う~ん」ということも在りますが、これこそ「整備は国家的に規制緩和しているんだから、下請け外国発注せよ。エアライン本体で整備出来なくても良い。」「パイロットは、だいたい高給すぎるんだから、外国人でまかなえ。稼働時間もあげよ。」「CAは、保安要員と言っているが安く使って使い捨てすればよい。契約の次は派遣で更に単価を下げよ。」ということにもなります。
なお、独占禁止法の厳格な執行を働きかけている米国独占禁止法調査協会(AAI)は、「両社の合併は、航空運賃の上昇やサービスの質の低下、消費者の選択肢の減少を招く」と指摘している様子もあります。
「会社が大きければよい」、「莫大な利益を上げることが至上命題」というのは、「命を預かる交通機関」としては、誇らしいことでもなく、憂うべきこととして映ります。
そういう航空政策が「破綻」してきているのは、日本だけでなく世界における共通の事態であることは皆様も肌で感じられていることと思います。
ユナイテッド航空、供給量の適正化をはかる-COとの提携はスター加盟前にも
[掲載日:2008/11/06] トラベルヴィジョン
ユナイテッド航空(UA)太平洋地区担当副社長のマーク・シュワブ氏は日本、およびアジア市場の展望と戦略について、アジア太平洋地域は短期から長期的な重要市場として位置づけ、顧客サービスに注力しつつ展開する考えを示した。現状は世界的に厳しい経済環境にあり、特にアメリカ国内線は供給量が多すぎるとの判断から、国内線でボーイング737型機の94機を待機させることで、需要とのバランスにあわせていく。また、国際線ではB747型機の6機を待機とし、国際線でも需要とあわせた供給を行うという。
日本路線では既に、B747型機からB777型機へ機材変更したことで、供給量を10%ほど減らしており、現在は需給のバランスが適正にあるとの考え。機材の適正化と同時にコスト削減も大きな課題。全社的には燃油費の増加にともない、コスト見直しを進めており、その一環として来年4月にもゼロ・コミッションを適用する。こうした流通コストについては、GDSをはじめ、クレジットカードへの支払い手数料や営業スタッフの人員配置など、日本市場だけでなく、全世界的に見直しを進めているもので、「コストを見直すことで効率的に仕事を進め、顧客の満足度を最大限に高めたい」としている。
また、既に一部機材に装着をしていることから新たなファーストクラス、ビジネスクラスが日本路線に就航しているが、関西発着では今月中旬をめど、成田発着では来年1月をめどに完全導入する。シュワブ氏によると、「新シートの導入で、顧客からの評価が目に見える形で上昇している」とのことから、こうした顧客満足度に直結する投資に関しては継続して続ける予定だ。
コンチネンタル航空(CO)との提携については、デルタ航空(DL)とノースウエスト航空(NW)の合併が政府当局の承認を得たことで、前進が想定されるが、コードシェア、ラウンジ共有、FFPの統合などについて、スターアライアンス加盟前にも実現が可能との考えを示しており、両者の提携関係の強化とともに全日空(NH)とのアライアンスを含めた戦略を強化したい考えだ。
デルタとノースウエスト、合併完了
日経 1030.2008
ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)米デルタ航空(NYSE:DAL)と米ノースウエスト航空(NYSE:NWA)は29日、合併手続きが完了したと発表し、世界最大の航空会社が誕生した。この発表は、米司法省の最終承認を受けた数時間後のことだった。
両社の合併は、年末までに完了する見通しだったが、米司法省反トラスト局が29日、「両社の合併は米国の消費者に、大幅な、かつ確かな効率化の恩恵をもたらす公算が大きく、実質的に競争抑制につながる可能性は小さい」として合併を承認したため、直ちに実現することになった。
司法省は、両社やほかの航空会社、法人顧客、旅行代理店を含む幅広い業界関係者から聞き取りを行い、6カ月間にわたって調査した結果、この結論に達したと説明した。
デルタ航空のリチャード・アンダーソン最高経営責任者(CEO)は、「航空業界は世界中で極めて厳しい経済環境に直面しており、今回の合併によってデルタはこうした環境に適応するための柔軟性が増すことになる」とコメント。「合併を順調に進めるために多くの労力を費やせば、統合後の会社は合併による恩恵を受け、世界トップの航空会社となるだろう。また、厳しい経営環境の中で荒波を航行する上で良いポジションに位置している」と語った。
合併新会社名は「デルタ」とし、アトランタに本社を置く。新会社の年間売上高は350億ドル、使用する航空機は800機近く、世界での従業員数は約7万5000人となる見通し。 両社の幹部は合併について、コスト削減や国際競争力の強化が図れるほか、航空業界の厳しい経営環境を乗り切るのにプラスになると語っている。両社が運航する直航便で重複する路線はごくわずかだ。 ただ、合併提案に反対がなかったわけではない。独占禁止法の厳格な執行を働きかけている米国独占禁止法調査協会(AAI)は、「両社の合併は、航空運賃の上昇やサービスの質の低下、消費者の選択肢の減少を招く」と指摘している。
デルタ航空は29日、「乗客はこれまでと変わらないサービスを受けることができる。これまでと同様にチェックインして、仕事に出かけられる」と説明した。 両社は向こう2年をかけて、運航体制やスケジュール、マイレージプログラムを統合する計画。ただ、利用の多いエリート会員は当面、どちらか1社のマイレージサービスしか利用できない。また、ウェブサイトと売店も最終的には統合するものの、今のところ両社がそれぞれ運営を続けているという。