華やぐ「ANA]、泥沼を続ける「JAL」・・・21日開業の羽田国際線化を前にして

~チリ鉱山33名救出劇は、暗い世の中を・・・~

チリの鉱山事故で生き埋めとなった33名が救出されるまでの経過は、世界中が注目しました。年齢や国籍の違いを問わず救出されるまでの励ましあって耐えた姿は、不況で喘ぐ多くの人たちに「爽やか」な感動を与えてくれましたしかし、救出後は、「鉱山の採掘時の安全性や労働環境」や「中国をはじめとして先進国の資源取得争い」などが原点の問題点として問われています。 現在、名古屋で開催中の「COP10」では、こうした問題がまさに机上に乗って議論されている面もあります。

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~羽田国際化や成田発着回数30万回へ進む~

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羽田の国際線ターミナルの開始は、10月21日と目前に迫ってきました。何といっても満杯の羽田発着枠に「アジアLCC」の代表格でもある「エアアジアX」が参入してきたことが話題です。

羽田国際線の発着枠は、国交省が許認可の権限を持っています。まず、アメリカのエアラインと日本のエアラインを等分化、更に日本のエアラインJAL/ANAに等分化、余ったところにアジアのLCCという構図です。

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高額な羽田の着陸料でもアジアンLCCは、長蛇の列を成していると言われていましたが、「エアアジア」が選ばれたのは、資源を含め国家間の今後の戦略的経済交流などを頭に入れてのことだったようです。

~ANAの華やかな要素とは?~

羽田国際線化に当たっては、羽田をハブとして訪日した外国人観光客を、どれだけの国内地方ネット網で、日本全国の観光拠点に運び込むかということが一つの焦点です。

~JAL vs ANAその違いは?~

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そういう点では、ネット網としては存在しても不採算路線だらけのJASと統合して、赤字を垂れ流し、地方の利便性には目をつぶって多くの路線をカット減便してしまったJAL、もともと国内線を主力として永年採算面でも神経を尖らせて運航してきたANAとでは、構成内容にANAのリードを感じます。

JAL/ANAは、路線便数では5分5分といわれていますが、上顧客争奪戦では、スーパーシートをメインテインしたANA、「クラス‐J導入・スーパーシート廃止」した時点で「大事な上顧客をANAに奪われて大失敗・その後に国内線のファーストクラス設置で呼び戻しをかけても、大半は戻らず」その上、「50%割引で乗れる株主優待券をなくした上場廃止」に及んだJALからは顧客離れが続き、大きすぎるハンデを背負っています。

更に10月13日には、ANAはそのメインターミナルである第2ターミナルを2倍に増築し、利便性と景観の良さや利便性の高さを宣伝しています。

また、ANAのメディア露出のCMを見ても「2レターコードNHの歴史は、日本ヘリコプタ-からきているもので、2機のヘリから会社は始まった。そして、国の助けを得ることなくここまで発展してきた。」と「JALとは違うぞ!」とインパクトの強い堂々とした宣伝を繰り広げています。

~ANA新型B-787は、3月には配備される予定~

ANAは、ボーイング社に対して、世界で一番早く新型B787をオーダーしました。これをローンチカストマ-といいます。787機を世界で最初に運航する会社でもあるわけです。度重なるボーイング社の「お届け遅延で2年ほど遅れましたが、来年の3月には就航の見通しがあるようです。 JALは、ANAから半年は後れを取るものとみられています。なおなど、羽田空港をホームグラウンドとしてきたANAには、すべてが追い風となっているように見えます。

~人員カットで、社内が揺れるJAL~

JALは、グループ全体の中でも本体であるJALインターナショナルの全職種、とりわけパイロットや客室乗務員に対して、事実上「クビ」宣告にも等しい「整理解雇」をしても「今年度中に1万6千名の人員整理をする」と政府や銀行や支援機構・裁判所に約束しています。

運航の現場には、陰鬱な雰囲気が蔓延しているそうです。

数々の法律を犯してまで、労働組合の御用化を定着させたJALの方針と、違法な分裂労務政策には手を出さなかったANAの経営方針。

どちらが社内のエネルギーを引き出してきたか、どちらが社内の団結を導き出したのか、誰が見てももはや明解です。

これまで「5000億円以上を先物取引という名のギャンブルで失ったり、数百の子会社拡大など会社の大切な資産を失った放漫経営や官僚との癒着があっても、ものひとつ言わなかった一部連合傘下の大組合の存在は、腐敗の温床になってきたと言われています。

この労働組合の幹部がそのまま、経営の幹部や役員になって行くわけですから、自浄作用など期待するほうが無理な仕組みになっているのです。(詳しくは、小説・映画「沈まぬ太陽」などで骨格を把握できることと思います。)

最近の同組合の掲示板には、「自分たちはそういう巨悪には物も言わないで従って来てやったではないか、そういう我々に早期退職を迫ったり、整理解雇で対応するとはけしからん。」という趣旨の表明がされていると聞きました。「経営方針に反対したことがあるようなものから解雇すべきではないか」と言うことも匂わせているとも聞きます。

品格も誇りも捨てた姿は、悲しくもあり寂しくもあります。

  パイロットも整備も客室も「整理解雇」で揺れるJALには、厳しい風が吹き荒れています。

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~ANAのLCC設立方針の狙いとは、?~

日本における航空産業の発展を踏まえた上でテレビ朝日の取材を受けて約2時間に渡ってお話ししました。露出は数分程度でしたが、今起きている問題の一部はお伝えできたことと思います。

~「日本の航空が堕ちてゆく」前に・・・~

「ひたひたとかつ劇的に変化している世界の航空情勢をどう見るのか」そのなかで、「日本の航空政策の何を根本的に正すべきか」「今後の具体的な方針は何か?」 などを皆様にお話できるような機会が早く訪れることを願っております。

管制業務は、「空の安全の要」!   こういうことがあってよいものか!???       

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各航空機の便名 が刻々と動いているレーダー画面。(シュミレーター)

私は、日本で最も過密と言われる「関東南セクター」という航空路を担当する東京コントロール=「東京航空交通管制部」を見学、学習させて戴いたことがあります。

30年間乗務した中で、コックピットに於いて、管制官からパイロットへの交信を傍受する聞く機会はあっても、管制官がレーダーのなかで群がる「飛行機」を羽田や成田の空港に向けて整列させ、次々と着陸へと誘導する技を垣間見て、「緊張」への新たな感動を覚えたものでした。

外界の光から遮断されて、「超高速飛行機群」の集中「過密」というリアリティーに対面して「事態」には、只々驚くするばかりでした。

まさに、多くの旅客の命を預かる崇高な仕事です。

レーダーに対面し、判断誘導する管制官は一人、横にはダブルチェックとアシストする管制官が一人、30~40分持つかどうかの緊張持続です。

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画像は、シュミレーターによる管制体験です。

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空いている「レーダーサイト」の前で。これ以上は接近が許されておりませんでした。

見学の折りには、私も「シュミレーター」によって「誘導」の体験をさせていただきました。

「シュミレーター」です。私のような関係者でも「シュミレーター」がせいぜいなのです。

中学生が「管制指示」を出した、なんて信じられませんね・・・。

そして、「管制官」の数が削減されて、疲労が蓄積するような「環境」を創りだすようなことがないように、私なりの役目を果たさねばならない、と自らに言い聞かせたことを今でも忘れておりません。

今回の「福岡管制部」の所業は、そういう意味で「許せません」し、全く以て理解不能です!!

中学生に旅客機と交信させる=管制官口止め、報告先送り―福岡の職場体験で・国交省
時事通信 10月12日(火)16時37分配信

 国土交通省は12日、福岡航空交通管制部(福岡市東区)の管制官3人が、職場体験実習に参加した中学生2人に管制指示を書いたメモを渡し、飛行中の旅客機2機と無線交信させていたと発表した。同部の先任管制官は「口外しないように」と中学生に口止めし、2日後まで国交省に報告していなかった。
 同省は「航空の安全を担う者としてあるまじき行為」として、関係者を処分する方針。
 国交省によると、同部は5~7日、中学生2人の体験実習を受け入れ、6日午前に管制運用室の見学を実施した。3人の管制官が立ち会ったが、2機の旅客機を呼び出し、福岡空港の管制に周波数を合わせるよう求める英語の指示をカタカナ書きでメモし、中学生2人に渡した。
 2人は午前10時44分から46分にかけ、飛行中の日本航空(乗客乗員387人)とスカイマーク(同177人)各1機との間で無線交信し、メモを読み上げた。
 中学生2人が見学後に礼を述べ、先任管制官は事実を知ったが、「胸にしまっておいて」などと口外しないよう求めた。しかし、2人は管制部門以外の職員も参加した7日の実習報告会で、「本当にうれしかった」と話した。

中学生に管制指示を出させる

10月12日 18時40分  NHK

今月6日、福岡市で、航空管制官が、職場体験に来ていた中学生に実際に運航している旅客機への管制指示を出させていたことがわかり、国土交通省は関係者を処分する方針です。

中学生に管制指示を出させていたのは、西日本の航空路の管制を行う、国土交通省の福岡航空交通管制部に所属する50代から30代の管制官3人です。国土交通省によりますと、3人の管制官は、今月6日、職場体験に来ていた地元の中学生2人がレーダー管制室を見学していた際に、英語の管制指示をカタカナ書きにしたメモを渡し、実際に運航して

いる2機の旅客機に対して指示を出させました。

指示は、「この周波数で福岡空港の管制官と交信せよ」という内容で、福岡空港に向かっていた日本航空とスカイマークの旅客機のパイロットに伝えられましたが、いずれも正しく伝わり、2機の旅客機は通常どおり飛行を続け、福岡空港に着陸しました。また、3人の上司の先任管制官は、中学生の話でこの件を知りましたが、中学生に「口外しないように」と伝え、隠ぺいを図っていたということです。

国土交通省は「空の安全に対する国民の信頼を損なう重大な事案だ」として、上司の管制官を含む関係者を処分する方針で、全国の管制機関を対象に同様の問題がないか、緊急の調査を行うことを決めました。

福岡航空交通管制部での部外者による無線交信について

平成22年10月12日     国土交通省

 福岡航空交通管制部において、部外者に無線交信を行わせるという事案が発生した。その後、同管制部において事実関係の調査を行ったところ、これまでに次の事実が確認された。

・ 10月5日(火)から7日(木)までの3日間、福岡航空交通管制部において、地元の中学校からの要請により、中学生2名の職場体験実習を初めて受け入れた。
・ 6日(水)午前の管制運用室の見学の際、その場にいた管制官3名が、当該中学生に対し、運航中の航空機2機に対する管制指示をカタカナ書きにしたメモを渡し、無線交信で読み上げさせた。
・ また、先任管制官(上記3名の管制官の上司)等3名の職員が6日昼頃の段階で中学生の発言等から上記の問題の発

生を知ったにも拘わらず、事実確認を行わず、一旦はこれを隠そうとしたため、本省への第一報が二日間遅れ、8日(金)となった。

 かかる行為は、航空の安全を担う者としてあるまじきものである。このため、国土交通大臣の指示に基づき、以下の通り措置する。

(1) これまでは福岡航空交通管制部が調査を行ってきたが、未だ不明の点も多いため、本省から職員を派遣して事実関係をさらに精査することとし、その結果を踏まえて関係者に対し厳正に対処する。

(2) 福岡航空交通管制部を含む全国の官署に対して、直ちに再発防止の徹底を図るとともに、類似の事案が発生していないかの調査等を実施する。

「憂愁の景色」という他なし! ずさん経営のツケが現場に・利用者に

日航、「退職強要」450人 操縦士対象、6月に内部文書

                2010.10.10 朝日

 日本航空がパイロットに退職を事実上強要している問題で、6月の時点で450人を乗務から外して自主的な退職を迫ることを検討していたことが、同社の内部文書でわかった。日航は8月、事業規模と人員の3割削減を明記した更生計画案を提出したが、その2カ月前に、削減規模と手法を具体的に想定していた。

 内部文書は、「希望退職のイメージ」というタイトルで6月30日付。パイロットが所属する運航本部の管理部門担当者の名前もある。パイロットでつくる日本航空乗員組合が文書の存在に気づき、9月末の組合報でとり上げた。

 文書は、希望退職の対象者を「450人」としたうえで、「声掛けは450人? または600人?(余分に声を掛け、ゴネたら対象外)」などと記載。「IPZ(人事部)、客室本部は、余分に声を掛け、成功率100%でなくても目標達成し、最終施策は回避するイメージを持っている様子」と、他部門の削減策と比較する記述もある。

 退職を迫る手法について「9月27日以降、対象者に説明会を入れられるよう、スタンバイ(待機)かブランク(空白)」、今月の乗務スケジュールも「すべてスタンバイかブランク」と具体的に言及している。今月実施する面談については「応じない者 業務指示違反とするか」と記されていた。

 日航には約2500人のパイロット(機長と副操縦士)がいる。日航が8月末に東京地裁に提出した更生計画案では、人員を全体で約3割削減する方針だ。パイロットの削減目標は750人程度とみられ、夏までに約380人が希望退職に応じていた。

 日航は残る370人の目標達成を目指して、9月から希望退職者を追加募集。だが、50人しか応募がなく、今月から320人を乗務から外した上で自主的な退職を迫っている。文書で想定していた450人が370人に減ったのは、夏までの希望退職者が想定より約70人多かったことなどによるとみられる。

 対象となった機長は「本来、更生計画で事業規模をどのくらい縮小するかを決めなければパイロットの削減数も決められないはず。人員整理が必要なのは理解できるが、十分な説明をする前に『まず首切りありき』で計画を練ったのではないか」と指摘する。別の副操縦士は「『余分に……』など、“売れ残った在庫”のように扱われ悔しい」。

 日航広報部は担当者の文書の存在を認めたうえで「あくまで(担当者)個人としての事務用のメモ。組織として検討したものではない」としている。(沢伸也、佐々木学)

 【写真説明】

6月の段階で退職を迫る措置を検討していたことを示す日本航空の内部文書(画像を一部修整しています)

安全運航不安! JAL・・・「整理解雇」はパイロットにも!

客室乗務員に併行して、「病気」になっても、休めない・・・。自分も解雇対象になるのではないか・・・。など精神的にも混乱が起きている日本航空パイロットの現場。

「ニ次破綻」」か「整理」かとせまられると対象者の苦悩は大きなものがあると思われます。

「風邪をひいても薬は飲むな。休むな」などで「改善命令」を受けたスカイマークと成り行きは違っても、運航現場では似たような雰囲気が出始めているようです。

強制に近い「整理解雇」がモチベーションの低下は勿論、「安全運航への不安」を感じてしまいますが・・・。

※整理解雇は、企業の経営上の都合で行なうことから、

1.「差し迫った必要性」2.「回避努力」3.「選定基準・人選の合理性」4.「労働者・労働組合の合意」という四要件を満たすことが必要ですが、既に地上職と客室乗務員の一部を構成する労働組合が合意をしているようですので、労使交渉も複雑化する気配です。

日航、操縦士370人に退職迫る 50歳以上・病欠多い人

2010年10月8日 朝日

 経営破綻(はたん)して再建中の日本航空が、約370人のパイロットを対象に、退職を事実上強要する措置を今月から始めたことがわかった。50歳以上や病気欠勤が多い人が中心だ。「白紙」の月間乗務スケジュールを渡して個別に呼び出し、乗務から外すことを通告した上で自主的な退職を迫っている。(佐々木学、沢伸也)
 日航にはパイロット(機長と副操縦士)が約2500人いる。日航が募集している「希望退職者」はパイロットについては年齢などを問わないとしているが、同社関係者によると、退職を求められている約370人は50代後半の機長や50歳以上の副操縦士、病気で欠勤した日数が多い人(今年度の病欠日数が41日以上など)らに限られている。

 この基準は、希望退職者が目標に達しない場合に日航が検討している「整理解雇」の基準案と一致しており、対象者の多くは「希望退職に応じなければ整理解雇になるということ。実質的な解雇通告だ」と受け止めている。 パイロットには毎月末、翌月の「運航乗務員スケジュール」が運航本部から渡される。しかし、ある対象者は、先月末、申請した休暇と面談日以外はまったく白紙のスケジュールが、「面談通知書」とともに渡された。面談の目的は「希望退職の必要性などをご理解いただくため」とされ、「大事な決断をしていただくため、10月のスケジュールはブランク(空白)にしました」などと書かれていた。

 面談では、同本部の上司から、自分が解雇基準案に合致していることを告げられた上で、「希望退職に応じる場合はラストフライトを設定します。応じない場合は来月以降も予定は空白のままです」と言われたという。

 日航は、「あくまで希望退職についての理解を求めるための措置で、退職の強要や整理解雇の通告ではない」としている。

 日航の人員整理計画のうち、パイロット部門の削減目標は750人程度とみられるが、自主的に退職に応じたのはこれまでに約380人。残る約370人を希望退職の期限までに確保するため、個別の説得に踏み切ったとみられる。白紙のスケジュールを受け取ったあるパイロットは「隔離部屋に追い込まれたも同然」と憤る。日航側は乗務を外して面談を設定したことについて、「心理的な影響が運航に及ぶことを避けるため」などと説明している。
 ◆キーワード

 <日本航空の人員削減計画> 今年度中にグループ全体で3分の1にあたる1万6千人を削減する。グループ会社を中心に約8千人の削減にめどがつき、日航本体は9月3日から希望退職の募集を始めた。しかし、パイロットや客室乗務員は予定の半分に届かず、同29日の記者会見で企業再生支援機構の瀬戸英雄委員長は、「(計画に達しない場合は)整理解雇も覚悟しないといけない」と発言した。

 希望退職は労働者の自発的な申し出が前提で、企業側が圧力をかけた場合には無効になる場合もある。整理解雇する場合は、労使間の十分な協議や解雇を避ける会社側の努力といった4要件

乗務予定が突然「白紙」 けがで休み「解雇基準」 退職迫る日航、パイロット困惑

 「あなたに貢献できる場所はない」――。日本航空がパイロット約370人を名指しして、退職を迫り始めた。突然、「空白」の乗務スケジュールを突きつけられたパイロットたち。会社に机はなく、自宅待機を強いられている。育児やローンを抱え、途方に暮れる。

 (小林誠一、永田工)

 9月24日夜。37歳の副操縦士は翌月の乗務予定を確認しようと、自宅でパソコンを開いた。毎月ぎっしりと便名が書き込まれるカレンダーが、「白紙」になっていた。

 翌日、空港の事務所に行くと、同じように白紙の予定表を受け取った同僚がたくさんいた。自分が退職を迫られていることを知った。「まだ30代。何で自分が……」。頭が真っ白になった。同僚の中には、直前に事務所で見せてもらった仮のスケジュールには乗務便名が書き込まれていたのに、正式発表の当日にはすべて消されていた人もいた。

 副操縦士の場合、今年に入ってけがで数カ月休んだ。これが日航の整理解雇の人選基準案にある「(今年度)病気欠勤合計41日以上の者」にひっかかった。けがは完治し、9月から通常業務。けが以外に長期の休みを取ったことはない。なのに、今月上旬の面談で会社から「あなたは今後の会社業務に貢献できない」と言われた。「偶然のけがで休んだだけなのに」と憤る。

 パイロットは体調が少しでもすぐれないと、事故を防ぐためにフライトを取りやめ、「病気欠勤」とするのが通例だ。風邪薬を飲んだだけでも休む。このルールは、自己申告で保たれている。

 別の副操縦士(39)は、解雇の人選基準案にある「過去2年5カ月で合計81日以上の病気欠勤」にあたるとして対象に。風邪や、長時間飛行で腰を痛めて休んだ。「会社の指示通り休んだのに。こんなやり方では、今後は風邪をひいても誰も休まなくなり、安全に問題が出るだろう」と話す。

 「高齢」を理由に対象とされた57歳の機長は、「パイロットは経験が重要なはず。年齢の高い方から退職を迫るのはいかがなものか」と話す。

 子どもを抱えた対象者は家計への影響が気にかかる。

 3人の子どもがいる副操縦士(51)は、娘が大学受験の願書を出す直前、白紙の乗務スケジュールを受け取った。娘から「願書に、お父さんの職業を『日本航空』と書いていいの」と聞かれ、言葉に窮した。

 別の副操縦士(51)には2人の子どもがいる。住宅ローンも10年近く残っている。日航からもローンを借りている。「もし、退職したら家を失うかもしれない」

 一方、ある会社幹部は、苦しい胸の内を明かす。「整理解雇などしたくない。だが、人員整理は再建を助けてもらっている金融機関との約束事で、絶対に達成しなければならない。個々の能力で甲乙がつけがたければ、年齢や病欠日数など、客観的な基準で線引きせざるを得ない」と話す。今後、再就職先のあっせんなどに努めるつもりだ。

 ◆丁寧に説得を

 労働問題に詳しい君和田伸仁弁護士の話 経営再建中の日本航空が人員を削減するのが大事なのは理解できる。ただ、希望退職は労働者の意思を尊重しながら行うのが原則だ。パイロットに白紙の乗務スケジュールを渡す今回のケースは「あなたには居場所がない」と退職を強要しているとみなされるおそれがある。整理解雇の場合も、合理的な説明と丁寧な説得が必要だ。

 【写真説明】

今月の乗務時間が「0」になっている乗務スケジュール(下)。上は月間の乗務時間が60時間を超えているこれまでのスケジュール(画像の一部を加工しています)

を満たすことが必要と判例で定着している。