安全の「規制緩和」に待ったをかけなければ・・・・。

民主党の代表選が終わりました。

私がこの20年心配し続けてきたことは、「航空の安全」であり、その源となる「民間航空の政策」です。

もともと、国民の公共交通機関として存在すべき「航空」を「儲けのツール」とする考え方がはびこってきています。菅内閣における「新成長戦略会議」には、97もの「規制緩和策」があげられていると聞きます。

規制緩和が「経済の活性化」を招くとばかりの論調が支配している世の中です。

かつての自民党政権化では「経済財政諮問会議」からトップダウンの形で、国交省→航空局→航空産業へと「官僚主導の規制緩和」がなされてきました。

その中には、整備で言えば、「キャリーオーバースタンダード=不具合があった箇所を交換したり、直したりしなくても運航を続けてよいと言う基準」が緩められたり、「航空機の整備はエアライン自身が行う」という前提が「子会社への外注化」更には「海外アジアへの外注化」までも合法化されてきているのです。

この結果2005年には、ジャンボ機のエンジンを左右逆に取り付けて戻ってきた、その上この事実を半年も見逃して運航を続けていた、ことなどがあります。

また、客室乗務員でいえば、正規雇用から契約制、更には「丸ごと派遣でもOK」という仕儀になっています。現場体験から言えば、恐ろしいことです

解りやすくいえば、「規制緩和」の名の下で、「JAL」「ANA」「JAS」の3社体制から「スカイマーク」「エアドゥ」「スカイネットアジア」「スターフライヤーズ」などの国内競合社が生まれました。しかし、格安を競うあまりに「スカイマーク」などは、運航現場で考えられないようなお粗末な実態が生まれ、「事業改善命令」まで受けています。

これは、航空と言う産業が大きく儲けられるようにコストを削減できるように「安全運航の要となる法的規制」を緩め続けてきたことにも起因しています。

やはり、JALでは、いざと言うときに乗客を一瞬でも早く脱出させるために、非常ドアーが航行中は、いつでも開けば脱出シュートが展開するようになっていますが、このドアーモードを切り替えないまま、二区間もフライトを続けました。重大なのは、先任乗務員だけでなく6人全員がこうした基本中の基本の動作さえできていなかった、と言う事実です。コスト削減のための法的改悪が「安全の担い手の質を劣化させている」と言わざるを得ません。

JALを含めおよそ航空の現場では、乗客には言えないような「ひやり、はっと」が続いていても、公表されることは少ないのが現状ではないでしょうか。(私のところへは、多くのお手紙・メールが届いておりますが、公表されると困る・・・というのが主流です。

こういう、航空の安全への願いを反映させた「政策」が一日も早く、打ち出されることを期待し願うものです。

菅新総理は、50に及ぶ職種から民主党代議士は構成されていると演説されていました。

世界に誇れる「日本の空」への政策は、かつての大物ばかり並べて権威をつけて中身は官僚頼みだった「経済財政諮問会議」と同じわだちを踏まず、運航の現場の声や利用者の声に耳を傾けた「政策」実行をお願いしたいと思います。

なお、航空政策は、空港(基幹ハブ化・地方空港の有機化・発着枠・発着料)問題・また、日本のエアラインビジネスに押し付けられた高すぎる「公租公課」=空港着陸料、航空機燃料税の問題、運賃問題(価格破壊の安売り競争の一方で高くなる基本運賃)・コミューター(離島など地方の足としての路線)問題、外交政策下にあるオープンスカイの不平等問題、民間航空の航空路(過密化している空域)問題など多岐に渡りますが、この中で、「公共交通機関としての安全性確保」問題がすべてに流れています。

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