今宵の「報道STN」には、びっくり!!・・・・JAL再建問題

いまさら、「企業年金削減」に狙いを絞って、国交省と日本航空が手をつないでいたことなど披瀝しても何の「トクダネ」でもないのに

9月30日に放映された「報道ステーション」の内容には、びっくりしました。勿論、日本航空再建問題についてです。

9月15日に各社が国交省・日本航空から出された「高すぎる企業年金」報道から一歩も出ない内容だったからです。テレビ朝日の他の報道番組だけでなく、他局の報道は、より「赤字原因への追及」が進捗しています。

いまさら、「極秘の書類を手に入れた」といっても、「国交省と日本航空が裏でよく打ち合わせていたターゲットがどこにあったか」と言う切り口なら理解できますが、まとめとしては、どうしても「年金高すぎる」という主張から抜け出せないようです。

銀行が破綻しそうになって、国家が大量のお金を注入したことは、誰でも知っています。その際に、「年金問題が取り上げられた」こともありませんし、「年金をカット」したケースも、聞いたことがありません。

それなのに、なぜ、これほどにこだわるのでしょうか。よくわかりません。

現在の法律では、例え企業が倒れそうになっても手をつけられないように、預けた者が馬鹿を見ないように「年金法」で保護されています。それでも、3分の2の賛成があれば、動かせると言う規定もあります。去る9月16日の放送では、「年金を考える会」のコメントも挿入されていて、フェアーさを感じました。(受給対象者約9000名のうち3500名がウェブ上ですが、既に「NOの意思表示」をしています。「日本航空再建のための真因を追及せずに、年金削減で辻褄をあわせようとする」ならば、法律を改正することが必要になります。

日本航空の大赤字は突然浮上したものではありません。また、「多額の企業年金」というのが実は、「厚生年金」と「企業年金」を合算した額で、メディアにアピールした「国交省と日本航空経営陣」の意図的な「虚偽」であったことが、判明してきています。

視聴者からフェアーな報道と信頼されている「NHK」でさえ、似たような報道を行ったために日本航空機長組合から厳重な指摘と質問を受けて、別添のような回答を行っています。これとて9月15日の時点で、突然で何も情報がない時点の報道です。

私は、この日9月15日、出張でアメリカにおりましたが、テレビ朝日「報道STN」より、「高額な企業年金についてコメントを」ということで、電話取材を受けました。

その折に、「高額な企業年金」と言っているが、厚生年金と合算してあたかも「企業年金」だけのような報道がなされている面があり、間違っている。従って貴番組に寄せる視聴者の期待からしてそういう扱いは、しないほうが良い、と申しあげたところ、いくつかの質問を受けました。

私は、「大幅赤字の原因は、3000億円以上の損失を出した経営陣の乱脈・無謀経営にみなもとがあり、簡単に言えば、そのつけがまわって、これを隠蔽するために次々に資産を売却しては、つじつまを合わせてきたこと、機材更新を発注どおりに行うと資金ショートになるところまで追い込まれている状況であること」などこれまでに明らかにされていない日本航空の内的要因について誠実にお話を致しました。

私は、食事中でありましたが、緊急のことと伺ったため食事を中断、人を待たせて対応したものでした。約40分のコメントを発したのです。

「番組としては、現時点でそこまで言及出来ない」ということで、私のコメントは「なし」ということになりました。これは、報道ではよくあることですから、致し方ありません。

放送後の番組を後に視聴したところ、前述のように番組として「年金を考える会」のコメントなども取材されていて、私のコメントは採られなくとも、現状を伝えると言う点で報道としてのバランスの良さを感じ取ることができました。

ところが、その後事態が推移しても二度と「コメントの依頼」はありませんでした。「不思議だなぁ」と感じていたところに、この30日の報道でした。

98もの地方空港を作り続けた国の方針、不採算路線の引き受け、など日本航空の責任でない要因も次々に明らかになってきている現状の中で、「年金にこだわる」姿勢は、番組として明らかに偏向があると思えてなりません。

鋭い切れ味の報道STNらしくないものを感じたのは、私だけなのでしょうか。

以下は、「NHK」が「日本航空機長組合」の質問に回答した文書です。

「NHKからの回答」

   
                2009年9月15日

 
 日本航空機長組合
  執行委員長 清田 均 様

                         日本放送協会
                         報道局経済部長
                            大橋一三

前略

日ごろよりNHKのニュース・番組をご覧いただきありがとうございます。

このたびはNHKの報道に関して、弊協会福地会長宛にお送りいただいたご指摘を拝読させていただきました。今回の報道についての現場の責任者である小職より、取り急ぎご返事させていただきます。

貴組合よりご送付された質問にそって、まずお答えいたします。

①    「パイロットの適正な報酬はいくらと考えるか」とのご質問ですが、具体的なパイロットの適正報酬の水準というものが、私共の念頭にあるわけではありません。今回の報道でパイロットの報酬について言及したのは、政府が設けた有識者会議で、パイロットの給与について見直しを求める意見が出ていることなどを踏まえたものです。 
また、「全ての労働者の報酬は同一であるべきと考えるか」とのご質問ですが、働く人の賃金は、その企業の経営状況や
労働の条件など様々な要因によって決まるものであり、すべての勤労者の賃金が同一であるべきという立場はとりません

したがって、御社のパイロットの報酬についても、全日空やスカイマークなどの同業他社と、その水準を比較することはあっても、それだけで高すぎるとか、安すぎるとかを一概に判断できるものではないと考えています。

②    「パイロットの高賃金と年金が経営危機の最大かつ唯一の要因と分析しているのか」とのご質問ですが、そのようにはとらえていません。現在の業績不振の原因には様々な要因があると考えています。今回の報道でも、アメリカの同時多発テロや新型インフルエンザの流行による旅客の減少など、外部要因があることを伝えたほか、不採算な路線の見直しや人員削減なども経営再建の検討課題に上がっていることを伝えています。また、翌12日(土)の夜のニュース(ニュース7)では、組合の記者会見での貴職の発言(人件費のコストカットに頼った再建策は百害あって一利なし)も紹介し、この問題が多様な側面をもっていることも伝えています。

日本航空の経営悪化の要因については、上記で示した外的要因に加え、こうした外的要因に左右されやすい国際線の比重が高い経営構造、機材の大型化によって運航コストが高いこと、不採算路線を抱えていること、過去の債務負担が大きいことなど様々な要因があると思います。

私共としては、経営悪化の要因を人件費だけの問題として報道しようという意図はまったく持ち合わせておりません。もちろん、経営が危機的な状況になり、政府の支援を仰いで再建を進めようという中では、聖域を設けず、可能な限り人件費を抑制することも経営課題のひとつであり、再生中期プラン等で御社自らが指摘している通りだと思います。

私共は経営の再建には、資本提携に関わらず、幅広いリストラ、構造改革が必要だということを伝えたもので、「人件費問題が唯一最大の要因」と伝えたものではありません。

日本航空の経営問題は、日本の経済・産業への影響、さらには利用者の利便性や安全の面からも、広く一般の関心を集めていると考えています。経営再建について、私共としては、より幅広く取材し、様々な角度から、この問題を継続的に報道してゆく所存です。今後ともNHKへのご理解、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

草 々