「日航に2000億円の融資」はいいのですが・・・。

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~7月14日、朝日新聞がトップで報道~

経営再建中と言われているJAL日本航空に対して、主要な取引先である日本政策投資銀行やみずほコーポレート銀行などが総額2000億円の融資を計画していることがあきらかになりました。

 ところで、永田町・霞ヶ関また丸の内大手町などの金融関連の場では、「政策投資銀行主導のシナリオ」とか「国際協力銀行が機材更新の債務保証をするのでは・・」などということは、だいぶ前からささやかれていたことでした。「来るべきものが来た」というのが関係者の偽らざる感想と言えます。

少々解説を加えれば、昨年7月に実施した公募増資でも2000億を予定したものが、約1400億円しか集まらず、3月の転換社債の繰上げ償還分1000億円、5月の500億円に充当するのがやっとであり、この2000億円とて当面のキャッシュフローを安堵することに過ぎません。この4年間で7500億円の機材更新費用を必要としているともいわれており、まだまだ道は険しいものがあります。

~融資銀行のつける条件~

報道によれば、融資側は、更なる「合理化」を条件としているとあり、中でも「人件費の一層の削減」を求められているようです。銀行家の算盤どうりにすることが、果たしてそのまま「日本航空の明るい未来につながる」ものかどうか、「創業50年を越える日本航空、空の公共交通機関の雄としての日本航空」の舵取りをする経営者の判断にすべてがかかる正念場となってきています。

~労働意欲の減退は、もはや限界に~

社内を見渡せば、JASとの統合でできた賃金・役職・その他の勤務環境の不合理性や差別感、放漫経営で失った数千億円の損失のつけを社員に10パーセント賃金カットで負わせている実態、所属する労働組合による昇格や賃金の差別、現場の声をストレートに反映させない歴史、などで「やる気」を失わせることばかりが充満しているとも言われています。この上、「もっと賃金ダウンを」ということになれば、帳簿上の支出は、抑えられても現場が活気つくことなど残念ながら想定することは出来ません。

~「安全の経費には手をつけない」とのことですが・・。~

産経新聞の報道では、人員削減は安全性にかかわる航空現業部門は人員を維持しながら、」とありますが、JALでは、現在でも「MD機の客室乗務員を4名から3名にする」との問題がでています。4箇所の非常口に対して4名だったものを、1箇所の非常口には「客室乗務員」を貼り付けないと言う風に「削減」されてしまうことです。機内から脱出しなければならない場合、火災・クラッシュなどですべてのドアが使えないケースの方が多いのですが、助かる乗客も助からない「危険性」を高める人減らしです。

銀行からの融資と言っても、「利用者不在・安全性低下」を条件にするようではたまりません。今後とも、ウォッチが重要です。

                 みずほ・政投銀、日航に2千億円規模融資

 経営再建中の日本航空(JAL)に対し、主取引銀行の日本政策投資銀行、みずほコーポレート銀行を中心とする取引金融機関が総額2千億円前後の融資を計画していることがわかった。JALは現在、人員削減や不採算路線の撤退などを柱とした中期経営計画の策定を進めており、各行は一層の合理化努力を条件に融資に乗り出す。運航上のトラブルなどで顧客離れに苦しむJALには金融市場から厳しい評価が出ていたが、この融資によって当面の財務問題は解決される見通しだ。

 JALは昨年7月、中小型機の購入目的で公募増資を実施したが、2000億円の計画に対して約1400億円しか集まらなかった。同社は3月に償還を迎える約1000億円の転換社債の償還資金の手当てが必要になっていることに加え、今後4年間で約7500億円の機体更新費用が見込まれている。市場や顧客の信頼を取り戻すためにも、その財源を手当てすることが再建の条件となっていた。

 金融機関からの融資は2千億円規模が必要と見込まれ、主取引行が今後、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行をはじめとする大手行や地方銀行など10を超えるJALの取引金融機関に協調融資を呼びかける。多くの取引金融機関がこれまでのJALからの説明で、リストラを進めれば融資できる環境は整いつつある、と判断している模様だ。

 運航上のトラブルや経営陣の内紛などが続いたJALは国内線を中心に乗客が減少し、本業の航空部門の業績不振が続いている。07年3月期連結決算では、保有資産の売却や厚生年金基金の代行返上益などで当期利益30億円を達成する計画だが、本業の立て直しが急務となっている。

 そのためJALは2月6日に公表する中期経営計画で、(1)07~09年度の3年間でグループ全体の約5%にあたる約3000人を削減(2)不採算の国内路線の縮小(3)東証1部上場の商社JALUX株や系列ホテルの売却、グループ企業の再編、などを盛り込むことを検討している。国内線へのファーストクラス導入なども決めた。

 ただ、政投銀やみずほなど主取引行は「資産の切り売りでなく、安定的に利益が出る体質にならないと支援できない」との立場で、JALが黒字体質に転換するためにさらに徹底した合理化が必要としている。JALが実施中の基本給10%カットを上積みすることなどを求めている模様だ。

 金融機関側は、JALの中期経営計画が最終的に決定した後、融資額を確定して実施する方針だ。人件費の一層の削減を求める金融機関側の要求をJAL側が受け入れるかどうかなど、2月の計画決定に向けてはまだ詰めの作業が残されている。

0114.2007  朝日新聞(06:40)

<日航>早期退職者1000人募集 来年度


 経営再建中の日本航空(JAL)は9日、来年度に1000人を超す規模の早期退職者を募集する方針を固めた。2月6日に発表する新しい経営計画の柱として盛り込む。グループで約5万人の従業員を擁するJALは、人件費負担の重さが以前から指摘されており、大規模な人員削減で金融機関などの理解を得る意向だ。
 JALはさらに今後2~3年間に追加募集を実施し、最大約3000人を削減することも検討している。早期退職の募集対象は、「団塊の世代」やこれに近い高年代層の地上職が中心になる見通しだ。JALが大規模な早期退職募集に踏み切るのは、05年度に客室乗務員や地上職計200~300人を対象に実施して以来。
 新経営計画では、人員削減に合わせてグループ企業の再編も行う。本業と関連の薄いグループ企業のうち、東証1部上場の商事子会社「JALUX」を含む主要約15社は、売却などグループからの切り離しも含めて再編する。このほか、旅行、サービス事業会社の見直しも検討する。ただ、カード子会社の「JALカード」は、カード会員とJALに搭乗する優良顧客が重なる例が多いことから、戦略子会社と位置づけてグループ内にとどめる。

 JALは一昨年から昨年にかけて相次いだ安全トラブルや経営陣の内紛の影響で、国内線を中心に利用者が減少。06年9月中間決算で、本業の航空事業は34億円の営業赤字を計上した。今後の新鋭機の購入や借金返済に向けた負担が重いため、JALは昨年11月に、経営再建のために新経営計画を策定すると表明していた。
 新経営計画は、(1)人件費抑制など生産性の向上(2)不採算路線のリストラ(3)商品・サービス力の強化(4)グループ会社再編――を4本柱にしており、JALは既に、国内線の不採算約10路線の廃止や、サービスの充実に向け国内線へのファーストクラス導入などを決めた。計画以外でも、ホテルを年度内に売却することや、来年度からの役員定年の引き下げも実施する方針だ。

1月10日3時5分配信 毎日新聞

日本航空、3000人削減へ 「団塊」中心、早期退職も募集

 経営再建中の日本航空は10日、平成19年から21年までの新中期経営計画の期間中に、グループ社員のうち約3000人を削減する方針を明らかにした。定年退職による自然減に加え、早期退職制度による募集も行う予定。大規模な人員削減で人件費負担を軽減するのが狙い。

 人員削減は2月6日に発表する中期経営計画の柱のひとつとして盛り込む方針。グループ5万3000人のうち、安全性にかかわる航空現業部門は人員を維持しながら、間接部門やグループ会社などを中心に人員を削減する。まず19年度に1000人を削減し、その後も年間で約1000人程度の減を見込んでおり、3年間で最大約3000人程度の削減となる。

 今回、早期退職の募集対象となる部署や年齢層などについては現在、調整を進めている。日航では、17年度に地上職や客室乗務員らを対象に約300人規模の早期退職募集を実施しているが、今回の削減では、給与負担の重い「団塊の世代」など高年代層が中心となる見通し。 日航では、新中期計画では、生産性の向上▽不採算路線のリストラ▽商品力の強化▽グループ会社再編の4つの柱を元に、経営再建を進める方針で、人件費負担の軽減は財務体質の改善に加え、生産性向上にもつながるとして、金融機関などからの理解を得る考えだ。

(2007/01/10 19:24)産経新聞