~JAL・国内線にもファーストクラス?~
日本航空(JAL)が07年度から国内線にファーストクラス並みの高級座席を導入する予定であることが発表されました。単価の高い新座席にビジネス客を取り込みことが狙いとのことです。追加料金1000円で広い座席が利用できる「クラスJ」はそのまま存続する方針ということですから、JALの国内線は、国際線並みの3クラス体制となります。
利用者にとって、こうした「快適・使いやすさ」への進化は、大いに歓迎すべきことなのですが、少し「JALvsANA」の快適コンペティションの歴史を振り返ってみるのも一興です。
~ビジネスクラス7アブレスト(横列席数)を引っさげて・・~
思い起こせば、ANAが国際線に参入したのが、1986年。もう20年もたちます。当時私は、現役チーフパーサーのばりばりでした。当時の国際線の主力機材は、「ジャンボ機」正確に言えば、747-LRでした。ナショナルフラッグキャリアとして、国際線を独占的に運航してきたJALに対抗して、国際線にデビューするにあたって、ANAは、ビジネスクラスの座席を横7座席を打ち出しました。JALは、それまで8座席でしたから、「衝撃的」でした。旅客と毎日接する私たちが、大きな危惧を抱いていたにもかかわらず、当時の客室の現場の幹部たちも、驚き」を隠せませんでしたが、その一方で「JALの経験にかなうはずはない。」「コスト割れして、すぐJALに合わせるに決まっている」などと会社をあげてのんきなことを言っていたのが、未だに耳にこびりついております。そして、しばらくして旅客からのブーイングに我慢できず、逆にANAに追随することになりました。誠に恥ずかしい限りでした。
~国内線では・・・。~
JALがそれまでの「スーパークラス」から「クラスJ」へと方向転換したのは、2004年です。それまでの5000円から1000円でより広い座席に座れるという点では、好評を博してきました。しかし、「静かにゆったりと」という旅客からは、不評でした。この時、ANAの対応は、断固としたものがあり、正直に申し上げて驚かされました。一座席当たりの収益性、需要の動向をみますと、ANAの決断も理解できますが、JALに合わせず独自の方針を貫くと言うのは、勇気がいることです。当時、私は、両社に対して「それぞれの思惑」について、かなりしつこく取材しましたので、記憶が鮮明です。時の流れに沿ってみますと、結果的にそれまでの「スーパークラス愛用者」は殆どJALからANAへ流れたのでは?と推定されます。
~つまり、国内「スーパーシート」の復活ですね~
今や、エアライン各社の収支の具合いは、国際線では、エコノミークラスは、運賃の値崩れで大した利益は見込めず、座席に限りがあるファーストクラスは、頼りにならず、もっぱら『ビジネスクラス」にターゲットを絞っての競争となっています。国内線においても、「スーパーシート」「クラスJ」などが収益性という点で、重要なファクターとして見直されている訳です。ANAの戦略に立ち遅れた形となったJALは、「プラス1000円でゆったりできるクラスジェイ」を温存し、「かつてのスーパーシート」を化粧直しし、「スリークラス」で勝負してゆくことになりました。
~利用者の声は大事です~
こうした競争は、基本的に狭すぎた「国内線のシート」が底上げされてゆくことにもつながります。利用者としては、「安い」ことだけではなく、「リーゾナブルな運賃とリンクして最低限の快適性」を備えているか、厳しくチェックしてゆかねばなりません。


