~ANAのホテル売却の「深層」~
ANA全日空が「ホテルを売却!」というニュースを車の中のラジオで聞きました。耳をそばだてて聞いていますとどうやらポイントは、「売却代金は、新機材購入にあてる。本来の航空運送という本業に専心する。」このことで「激化する競争に備える」というものでした。
私は、耳を疑いました。本業以外の資産を売却して、利益を計上する方法は、JALでも幾度となく行われてきましたので、珍しいことでもないのですが、 「本業に専心する。」ということに「重心をおくことが大事」という航空会社としての態度・方針表明というのは、ついぞ聞いたことがなかったからでありましょう。従って今回の「売却に当たってのコメント」は、大変新鮮に響きました。
~JAL・ANAの決定的違いは?~
ご承知のように、現在ここ数年のトラブル続きもあり、JALは利益という点では、ANAに水をあけられています。過去の「本業から逸脱した多角経営」という点では、JAL・ANAともに少なからず失敗しています。
例:
☆ANA
・1997年、全日空開発(ゴルフ場開発会社)の破産状態を全日空ビルディングが151億円を肩代わりした。
☆JAL
・ドルの先物予約で2200億円以上の損失
86年~96年、変動の多い相場であるのに10年も先物買いをした。オーダーした航空機はすべて割高購入せざるを得なくなった。
・ニューヨークのホテル「エセックス ハウス」の購入・運営で多額の損失。500億円(3億7000万ドル)以上で購入し、一度も黒字に出来ず、安価で売却した。
・ハワイに新規ゴルフ場建設で30億円投資。その後売却。コオリナゴルフ場・ホテルイヒラニなど。
・HSST計画の破綻。52億円投資し、1億2000万円で売却。
・その他:JAPANユニバーサル航空(JUST)、シティーエアリンクなどの失敗。
さて、私が現役でフライトをしていた頃からですから、1990年代です。
●200社を超える子会社を作って、ホテルやゴルフ場を建設し、その結果は大きな赤字損失を出している。そして安全への経費を削ったり、運賃値上げで帳尻をあわせようとしている。利用者にとっては、大変な問題だ。
●本業に専心し、公共交通機関としての社会的使命を果たすべきではないか。
と強い指摘があげられていました。こうした現場の声に、ANAは、10年の歳月を経て、ようやく「応えた」ようにも見えます。
阿部総理は『美しい日本』をつくると表明されているようですが、私は、一刻も早く、大事故の起きないうちに「安全」で「快適」な「美しい日本の航空」の実現を望む心境にあります。
ANA ホテル売却 優良資産踏み台に飛躍
■一気にJAL引き離し
全日本空輸(ANA)が8日、直営13ホテルの資産売却する方針を決めた。ホテル事業はこれまで、中核事業と位置付けられ、ブランド戦略でも大きな役割を果たしてきた。しかも業績は順調だ。不振事業を切り捨てるのではなく、中核事業の再編に踏み込むことで、本業の「航空」に経営資源を集中する強い姿勢を示したといえる。
これに対し、ライバルの日本航空(JAL)もホテルや社員寮など資産売却を急いでいる。ただ、JALの場合は経営再建に向けた“公約”である2007年3月期の黒字を確保するための苦肉の策に過ぎず、その差は明白。ライバルがもたつく間に国内線の地盤をさらに強固にし、一気にJALを引き離そうという思惑も透けてみえる。
ANAではすでに英国系インターコンチネンタル・ホテルズ・グループと設立した合弁会社に運営を委託しているが、新たに土地、建物を売却する。売却後も合弁会社が運営を継続。今年度中に入札で売却先を決定し、売却額は1000億円程度を見込んでいる。
ホテル事業は06年3月期に46億円の営業利益を上げているが、それでも、あえて手放す背景には、本業の航空事業の競争環境が一段と厳しくなるとの危機感がある。
2009年には羽田、成田空港が相次ぎ拡張される。自らのビジネスチャンス拡大の機会であると同時に、これまで十分な便数を確保できていなかった国内外のライバルが一気に攻勢をかけてくるのは確実だ。ANAとしても高効率の最新鋭機の導入などを急ぎ、競争力はさらに高める必要に迫られている。
不動産を切り離すメリットはほかにもある。大手総合不動産の幹部は、「保有不動産の大胆な処分は、国内大手企業で共通した動きになりつつある。そのきっかけは、村上ファンドによる阪神電鉄の買収だった」と指摘する。村上ファンドが阪神に目を付けたのは、有効活用し収益性を高めても売り払っても、多額のリターンが期待できる優良不動産を多く保有していたことにある。
保有する不動産を有効活用できないでいると、ファンドなどによる買収リスクは格段に高まる。そんな危機感が企業を不動産売却へと駆り立てている。
ANAの売却資産について、すでに多くの総合不動産、大小の不動産投資ファンドが強い関心を示している。高い収益が期待できる優良物件は都市部で枯渇しているだけに、好立地の東京全日空ホテル、大阪全日空ホテルなどは、落札価格が跳ね上がる可能性が高く、「売り時」であることは間違いない。
ANAに限らず、経営から不動産を切り離そうという動きは今後も一段と加速していくことになりそうだ。(高山豊司)
(フジサンケイ ビジネスアイ) – 12月9日8時32分更新<JAL>保有する6ホテルを売却予定 社宅や株の売却も
日本航空(JAL)が保有する国内外の6ホテルを売却する予定であることが7日、明らかになった。社宅や株式の売却も含め、今年度下期で計約100億円の資産売却益を特別利益として計上、今期連結決算で目標としている最終黒字30億円の達成を目指す。
売却を予定しているのはJALプライベートリゾートオクマなど沖縄の3ホテルや北海道、ロンドン、サイパンの計6ホテル。売却によってホテルの所有権は失うが、運営は引き続きJALグループが行い、名称も変更しない。JALグループは63ホテルのうち57ホテルについて、すでに資産を売却し運営に特化しており、6ホテルの売却が完了すればグループの所有ホテルはなくなる。
下期には、千葉県成田市内の社宅なども売却し、ホテル分も合わせ固定資産売却益として約60億円を見込む。保有株式も売却し約40億円の利益を計上する予定。さらに、厚生年金のうち、国に代わって運用してきた部分を国に返上することに伴い約250億円の利益を営業利益に計上し、航空事業の赤字を穴埋めする。【増田博樹】
(毎日新聞) – 12月7日18時49分更新
