「787」運航再開へ「超えるべき二つのミニマム!!!

アメリカでは、ボーイング787型機の安全性について2007年、FAA(連邦航空局)がこれを認可しました。参考:2011年のFAAプレスリリース

今、アメリカでは、ロイターの調査に基づき、「2007年のFAAの認可が果たして適正だったのか?」という議論が湧き起こり、上院運輸委員会がFAAを呼んで公聴会を開く情勢とも伝えられています。(詳しくは下記に)

発火しやすいと認知していて「リチウムイオン バッテリー」をなぜ認可したのかという理由に驚きます。

発火した場合でも炎抑制・煙排出システムが爆発性のガスや有毒ガスをコントロールするのに十分」であれば良い・・・という条件です。さすがに、

国際航空パイロット協会(ALPA)は、当時「航空機火災の危険性を強調」していたこともうなずけます。

二つのミニマム とは・・。

現在は、火災の源となった「バッテリー問題」に話題が集中していますが、「燃料漏れ」とて、「墜落事故へ直結する」重大なトラブルです。運輸安全委員会がリークを起こした「バルブ関連」を担当した英国の会社に調査を派遣したと聞きます。

787を運航する「JAL・ANA」にとっては、運航停止は運賃収入は言うに及ばず、エアラインの安全性への信頼を失う問題でもあり、大変な損害と痛手です。早く「運航再開」を望む気持ちも理解できますが、「バッテリー問題さえ解決すれば・・・」という声も聞かれることにやや危惧を感じます。

「「787機に対する利用者からの疑問や不安」に真っ向から余さず応えてこそ信頼の回復はされます。中途半端な「運航再開」は逆に、787の未来を奪い、開発製造に携わった日本企業への経済的影響も計り知れません。

マイナーと言われる初期トラブルは、運航しつつ改善改良をしてゆくにしても、「墜落・爆発炎上」などに直結する

  • 火災→バッテリー・電気系統のシステム
  • 燃料漏れ→燃料漏れの原因・コックピット計器不認識の原因

の調査解析改善 は、「ミニマム」条件だと考えます。

「運輸安全委員会」とは、どういう機能を持つべきか

アメリカのNTSB(国家運輸安全委員会)は政府から独立した事故調査の機関でその規模と権限は、日本の機関(国土交通省航空局に置かれた運輸安全委員会)とは比べ物になりません。高松空港へ趣いた事故調査官が「バッテリーのことは素人なのでなにもわからない」と発言して一時物議をかもしていました。もともと「鉄道・航空事故調査委員会」が看板を変えただけと言われる脆弱な「組織」に多くを期待することが無理なのかもしれませんが、この事態は、国家として危急存亡の時でもあり、世界が日本の安全管理に注目しているものです。政府として財政的「テコ入れ」を基礎にして、政府から独立した「航空専門事故調査委員会」をスタートさせるべきと感じます。もちろんいわゆる航空工学などの有識者だけでなく、運航経験をたっぷりもったスタッフを豊富に揃えてという条件を満たしていなければなりませんが。

 

 

焦点〕米ボーイング787型機電池トラブル、FAAの認可の適切性めぐり議論

2013年 01月 23日 17:23 JST ロイター
ロイターが入手した文書によると、米規制当局は2007年、米ボーイング(BA.N: 株価, 企業情報, レポート)の新鋭中型機「787(ドリームライナー)」について、非常に燃えやすい性質を持つリチウムイオン電池を使用することを許可したが、それは、当該電池が飛行中に発火したとしても、燃え広がらないような仕組みや、煙を排出するシステムを備えている限りは安全との判断に基づくものだった。

航空機で火災が発生するリスクは常に大きな懸念材料だ。特に、航空機が積んでいる燃料の量や、ジェットエンジンから発生する熱を考えると、懸念するのはもっともなことだと言えよう。そのため、米国の航空規制は、航空機に多数の消火システムを搭載するよう義務付けている。しかしロイターは今回、公式文書の検証や専門家とのインタビューの結果、米連邦航空局(FAA)が「787」型機について「特別な条件」を設定していたことを発見した。FAAはその際、「極めてまれ」な状況以外においては、787型機の炎抑制・煙排出システムは爆発性のガスや有毒ガスをコントロールするのに十分との判断を示していた。

787型機2機のバッテリーが相次いでトラブルを起こしたことを受け、FA
Aの2007年の決定が適切だったのか議論が巻き起こっている。1月7日には、米ボストン空港で日航運行機の補助電源から発火する事故が発生し、その翌週には、全日空便が高松空港に緊急着地した。

米上院商業科学運輸委員会の関係者が22日、ロイターに述べたところでは、同委員会は、787型機のリチウムイオン電池使用をボーイングに認めたことなど安全管理体制について数週間以内に公聴会を開く。調査を待つ間、FAAは787型機の運航停止を命令。世界各国の航空当局もそれに従った。これにより、50機すべての運航がとまった。

米運輸安全委員会(NTSB)は現在、ボーイングのほか、バッテリー・メー
カーのジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)(6674.T: 株価, ニュ
ース, レポート)、FAAの協力を受けて、787型機の調査を実施している。787型機の調査は、欧州のEADS(EAD.PA: 株価, 企業情報, レポート)傘下のエアバスなど、その他の航空機メーカーにも幅広く影響が及ぶ可能性がある。たとえば、エアバスは「A380」にリチウムイオン電池を使用しているが、FAAの「特別な条件」を満たしたうえで使用許可を得ているからだ。

FAAの報道官は「最悪の事態が起きても他のシステムへの波及を防ぐための仕組みが備わっている」とし、2007年の判断を擁護した。

一方、ボーイングによると、787型機のバッテリーシステムには、バッテリ
ーの過充電を防ぐため4層のプロテクションが備わっており、発火の恐れは非常に小さい。また万が一発火したとしても、燃え広がるのを防ぎ、煙を排出するためのシステムがあるため安全、としている。

ボーイングの広報担当者、マーク・バーテル氏は「選択肢を入念に検討した結果、リチウムイオン電池が787型機の性能と設計にとってベストとの判断から採用した」と強調。「現時点でわれわれが把握しているすべての情報を踏まえても、その評価に変わりはない」としている。

787型機のバッテリー事故の原因はまだ分かっておらず、調査官は現在、炎抑制・煙排出システムがどう作動したのか解明を急いでいる。ただ今回の事故でリチウムイオン電池の安全性をめぐる議論が再燃、FAAが同電池の使用を認めるべきだったのか疑問の声も上がっている。

米下院航空小委員会の幹部メンバーに22日に指名されたリック・ラーセン議員は、FAAが787型機に対して「特別な条件」を設定したのは適切だったとの見方を示した。しかし「現在の問題を考えると、認可の適切性を検証することも必要になるかもしれない」と指摘した。FAAの報道官は、NTSBの調査完了の際には、バッテリーについて新たな要件を課すかもしれないと述べたが、詳細への言及は控えた。

調査の結果次第で、ボーイングは航空会社への賠償や、バッテリーや電気系統の再設計・再認可など多額のコストが発生する可能性がある。

<安全性への懸念はかねてからあった>

リチウムイオン電池は従来型の電池に比べて軽量で、再充電にかかる時間も短く、容量は大きい。しかし、安全性を懸念する声は以前からあり、消費者向け製品への使用を疑問視する専門家も一部には存在する。

FAAが07年、787型機へのリチウムイオン電池使用を許可するか検討を
行していた際、当該電池は他の種類の電池に比べ発火「可能性が相当高く」、消火は困難との見方を示していた。また認可の際には「金属リチウムは発火の可能性があり爆発の恐れもある」としていた。

FAAの規制では、リチウム電池はカバーされていない。そのため、FAAは
2007年、安全性を確保するためにボーイングが満たすべき9件の「特別な条件」を設定した。FAAはその1年前にも、エアバスに対して同様の条件を設定している。「特別な条件」の設定は、規制がまだできていない新しい技術を認可する際に広く使われる手法という。

国際航空パイロット協会(ALPA)は、ボーイングとエアバス両件の認可手
続きの際、航空機火災の危険性を強調。リチウムイオン電池の発火を消し止めるため、乗務員に消火器を持たせたり訓練を施すことを義務付けるよう要請した。787型機の認可手続きの際には「こうした機器の発火はいかなる状況においても受け入れられない」と主張した。それに対してFAAは、バッテリー発火を防ぐ仕組みはすでに備わっているとして、特別な消火器の設置や訓練の実施は義務付けなかった。ALPAは22日、787型機のバッテリー事故に関する調査を見守っているとした。ただ、調査継続中はコメントしない、としている。

航空安全コンサルタントで、日本航空(9201.T: 株価, ニュース, レポート)の
運航・整備・安全推進部門での現場経験を持つ佐久間秀武氏は、結局はなぜ認可されたのかという点に行き着くと指摘。当然、本当に安全なのかという声もあったが、(FAAは)認可し日本の航空各社も疑問視しなかったと述べた。

<判断急ぐべきではない>

一部の専門家は、リチウムイオン電池の判断を急ぐべきではないと強調。重要なのは事故率を見極め安全システムを設計することだという。航空ジャーナリストの青木謙知氏は、こうした危険性は皆が承知していたが、何度も試験が行われたからこそ、最終的に採用された、と指摘。安全でないのであれば認可されなかっただろう、と話している。

電気自動車の試験規格策定に関わり、米サンディア国立研究所で27年にわたってバッテリー技術を研究してきたダニエル・ダウティ氏は「こうした発火事故があっても、リチウムイオン電池を航空機に載せるべきではないとは思わない。これは誤った方向だ」との見方を示した。しかし、ダウティ氏など専門家も、FAAの判断に関しては検証が必要だ、としており、ダウティ氏は「認可プロセスについては、FAAから何らかの説明、釈明があってしかるべきではないか」と述べている。

(Alwyn Scott記者、Mari Saito記者;翻訳 吉川彩;編集 佐々木美和)