~「ガイヤの夜明け」6月29日OAを見て、唖然としました。~
国際線の赤字の原因は、どこにあるか、と言えば、本質的に運航経費さえ賄えない「価格破壊」の「低運賃構造」に産業としての問題があります。これは、JALだけの問題ではなく、日本ではANAでも抱えている根本的な問題です。
更に、一見「満席の搭乗率」で運んでいても、「代理店への支払い・トランスポーテーションへの支払い」などを引いていくとどうみても、ハワイ線などは、1~2万円の売り上げしかないことになり、その上、「マイレージ利用者」が搭乗すれば、実質的な収入は、大きくダウンします。利用者にとって魅惑のマイレージも、エアラインの収支から言えば、帳簿外にある「いつ行使されるかも予見できない帳簿外の債権」になる訳で、自社のカードで乗客を囲えば囲うほど、この債権も膨らむという矛盾を抱えているのです。
国際的にも、世界のネットワークを広く持つナショナルフラッグ級のエアラインが共有する問題でもあり、現にアメリカでは「チャプターイレブン=連邦破産法」の助けを借りなければ、大エアラインは、立ち行かなくなっています。
ヨーロッパでは、「EU」と言う経済圏で、こうした危機に対応し、「エールフランスとKLMオランダ航空、ルフトハンザとスイス航空」と言うようにナショナルフラッグにこだわらず、統合協力が進んでいます。
更に、すべての路線を自社で飛ばすよりも、「アライアンス」の助けを借りることで、路線の見直しが行われているのであり、10年も前から激動の動きをしています。
その中で、「JALは?」と言えば、こうした情勢に対応できず、と言いますか「JAL中心のアライアンスでなければ・・・というような経営者の驕り」から、世界の航空の流れに取り残されました。
ちなみに、ANAは、こうした流れをキャッチして、JALに先行すること8年、現在もっともアライアンス効果があるといわれる、「スターアライアンス」に加入してきました。まさに、経営の能力・センスの差と言っても過言ではないでしょう。
現在のJALの動向は、国際線10便撤退という再生案がでていますが、国内線と違って国際線の場合は、収支のプライマリーバランスが合っても、路線を縮小すれば、「ネットワーク縮小」という信頼性・利便性を欠くことになる問題もあります。事業事態がシュリンクしてしまうのです。ここが「アライアンスと掛け合わせて考える」場面で、大変難しい局面です。
参考までに言えば、ANAの伊東社長は、「JALの国際線を引き継ぐ意思はない。効率・社内風土を考えれば、国際線はANA自らの選択で路線を拡大してゆく」と言う趣旨で内外に社としての考え方を明らかにしています。(文春6月号)
番組では、「去りゆくジャンボ機」」という映像が映し出されていました。JALマークが消されて白い塗装が施されてゆく事態に接する担当整備士の気持ちはいかばかりか、と言う思いがいたしました。
1970年にグループ運賃で大量輸送を成し遂げた機体は、JAL発展の礎ともなったツールでもあります。
「燃料効率が悪い」という口上で、叩き売られてゆくのは、逆に言えば、この機体を購入して活躍させる場があるということでもあります。「会社が破綻」している中で、莫大な費用を要する新機材購入ばかりを考えるのは、本当に正しいのでしょうか。大いに疑問のあるところです。
さて、私が「驚き!」「呆れた・・・。」のは、・・・・・??
精鋭の現場幹部で編成した「特命チーム」なるものが出していた問題提起です。
客室乗務員が「ホノルル線」について、調査し、再生への新たな問題提起をしている場面がありました。
ホノルル線は、かつてJALにとって最大のドル箱路線でした。JALで運び、JALPAKなどのツアーで囲い、おまけにツアーでは、JAL系ホテルに泊まらせ、デューティーフリーもJAL系列、更に機内では機内販売、とすべてが「JAL」に集まってくる仕組みでした。旅行代理店に対しても供給座席より需要が上回るという「JALの売り手市場」でした。
従って、費用対効果など考えず、あらゆる思いつきを数十年も繰り返してやってきました。エコノミークラス需要は、当然「家族連れ」でした。
私がさらっと思い出せるだけでも、「アロハキャンペーン」「ジャロハキャンペーン」「インスタントカメラで乗務員と写真を撮る」「空港職員と乗務員がアロハやムームーを着用する」更に「リゾッチャ」なる造語でキャンペーン、などなどです。
その年ごとに同じようなことをやって、実際の現場では「そんな金をかけて、本当に集客に効果があるの?」という声があっても、費用対効果など「うやむや」で、そのキャンペーン担当リーダーが昇格してゆく、という歴史です。
場面は変わって、JALとしていっときは、毎日、日本各地から11便がハワイへ向かっていたというほど、由緒ある路線でした。しかし、タイ人CA主力の子会社「JAZ」路線となり、もはや外国各社と機内にたいした違いはない状況になっていました。ちなみに、ANAは一日一便で永らくやってきています。JALの牙城に入り込める要素などなかった訳で、大事な発着枠は、北米・ヨーロッパなどに向けられてきました。
本題に戻りますが、この精鋭特命チーム(クロスファンクショナルチームというらしい)の一員である、CAが、ぱらぱらと「旅客からのコメント」リストを見ながら、「子供に関するお客さんからのコメントが多いことに気がつきました」とあたかも大発見をしたように語っていたことです。何を今更いっているのでしょうか。更に、「機内で保育士や看護士の資格を持っている人はバッチをつける、とかして独自性を出して、客とのコミュニケーションをはかったらどうか」などと語っていたことです。
散々、選べるワインの数などありもしないのに、「ソムリエ」バッジをひけらかすあのやり方は、とっくに破綻・形骸化している教訓などはは身に着けていないのでしょうか。
更に更に、この「特命チームの会議」では、空港職員と機内のCAとが同じ雰囲気を出すために同じ服装やハイビスカスを胸につけるなどをするのもいいね」などと本気で話し合っていることでした。アロハやムームーなどJAL本体が運航している1990年代から莫大な制服費用をかけてやっていました。
羽田空港で、ハワイ観光局が「フラダンス」を提供していることに、このチームの一員が何か感動したりしているのも異様でした。ホノルル空港内では、古くはシップサイドでフラの出迎え、今の空港内では、日常茶飯事的に「フラダンスやハワイアンソング」のミニショーが行われているじゃないですか。
とても、エアラインの社員とは思えない発想です。ハワイアンエアラインとハワイ観光局が手を組んで羽田ハワイ路線の需要をごっそりいただこうと言うのは、当たり前です。
昔から今日に至るまで、ホノルル路線の問題点は、
●ホノルル空港に各国から集中的に、早朝に到着するため、イミグレーションが大混雑する。チェックインバゲッジもエコノミークラスは相当時間がかかる。
●旅行代理店は、ホテルチェックインタイム(大体が14時以降)まで、バスによる市内観光 でツアー旅客を引っ張る。そのためには、機内で朝食を済ませてもらわないと困ると言う要望を出す。一方で、旅客は、到着ぎりぎりまで寝かしておいてもらいたいという要望が強い。このため、朝食を出したり、やめたり、パンなどをテイクアウトしてもらったりを繰り返している。
などが、ポイントなのではないでしょうか。
●JTBに相談に行ったりしていますが、JTBも日本交通公社以来のホノルル線のツアーパッキングは、もう容易く儲けられる黄金時代は終焉しており、逆に旅客の動向を聞きたいくらいだと思います。やっていることが、的外れのような気もいたします。
逆に「JALの内規が邪魔をしている」などといわれる始末で、もう、情けないの一語に尽きる状況です。内規とはなんでしょうか?かつてもめていたのは、機内の朝食をお持ち帰りにした場合、その内容にもよりますが「旅客が携行した食品の衛星管理上の責任」と言うことだったように記憶していますが、このようなことを指しているのでしょうか。
●「リゾート路線が盛り上がらない」などと言っていましたが、当たり前です。JAL本体が運航せずに子会社「JAZ」にあの「唯一ファーストクラスのある伝統の72便まで」運航させるようにした、つまりコストカットした経営の方針が厳然としてあることには、言及することもできないのです。なにか「付加価値」をつけてなどと言っていましたが、そんな子供だましでいっときは誤魔化せても、今時の旅客の商品を見る目は、甘くありません。
更に、子供の遊びと思いつきのような問題提起を、経営側に提案をしたら「なかなか評判が良かった」などといっているというではありませんか・・・・。
経営とは、いったい、誰の事を指すのでしょうか。稲盛会長個人を指すなら、航空の歴史にまだ明るくない、ということで理解もできますが、JAL経営陣というなら、なんともお粗末なお話です。
エアラインにいながら「過去の歴史と教訓」も把握できない社員と何もわからない持ち上がり経営陣、これは、映像の切り出し方なのかもしれませんが、IATAの会議で他の外国エアラインから殆ど同情的にいろいろ挨拶されて、ひたすら「サンキュー」しかいえない社長の器ぶり、これもまた、情けないと感じたのは、私だけなのでしょうか。
40年も前から現場が出し続けてきた意見も、旅客の書いたコメントは、1968年当時から今に至るまで専門の部がこれを管理し、まとめていると思います。そういう、記録や傾向は、どのように現場にフィードバックされているのでしょうか。
自分の会社でどの路線でどういうことが行われてきたのかということも、恐らくまとめられていない様子。そして、何も知らないことに疑問を持たない社員群、この現状に、「絶句」開いた口がふさがらないままでした。
この番組は、当然JAL協力の下に撮影され放映されることになったのでしょうから、JALとして事前に内容を知っていたと推察されますから、なおさらのことです。
大体、営業・運航(パイロット)・客室などから集められたチームのようですが、どだい、これまでの経営方針に社内で異議を唱えたこともなく、問題提起さえしたこともない方々で構成されているに違いないでしょうから、(そうでなければこのような場面に起用されることもないはずですから)「なるほど・・・。」という場面は、はじめから期待できないと言い聞かせてはみたものの、なのですね。
従って、会社自体の経営方針のどこに誤りがあったのかということも共通認識がないことから、「再建へ向けて、社内からは、何の反省も総括も出ては来ないだろう」と思いましたが、あまりの「稚拙さ」と「問題意識の浅さ」に、「こりゃあ、駄目だ・・・・。」と改めて深いタメ息をつきました。