公的資金を仰いでの「日本航空再建」に対して、ANAも既に「赤字計上」をしていることもあり、月刊「文芸春秋6月号」誌上や、内外への記者会見での「ANAの社長発言」は、殆ど的を射ている様に感じます。
その中で、特に、「公租公課が高すぎて日本の空港をホームとしている日本のエアラインは、収支上のハンデが高すぎる」と言う問題は、航空経営がこぞって指摘要求すべきテーマだと思います。これまで、声高に「日本の税制度是正」を発信してきたのは、なぜか、ANA経営のほうが目立っています。
なぜ、JALも航空経営としての立場に立って、ANAと連合してでも強く主張しないのか、常々訝しい思いをして参りました。
日本航空:着陸料など公租公課軽減の要望書提出
毎日 6月17日
会社更生手続き中の日本航空と、同社の管財人を務める企業再生支援機構は17日、航空機燃料税や着陸料などの公課負担の軽減と、路線運航費補助拡充に関する要望書を政府に提出したと発表した。要望書では、日航が08年度に支払った公租公課が1722億円に達し、売り上げの1割を超えたと説明。世界的にもまれな航空機燃料税や、海外主要空港に比べて高い着陸料について「自助努力の及ばない問題」と大幅な軽減を求めた。また、一部路線で補助を受けながら恒常的に赤字の離島路線についても、「航空会社の財務を棄損しない程度」の補助拡充を訴えている。 14日に菅直人首相と財務、国土交通、総務の3閣僚あてに提出した。日航は8月末に提出する更生計画案のとりまとめを急いでおり、会社としての考え方がまとまったため、要望書を提出した。
しかし、「日航破綻に至るまでのヒストリー」をよく吟味すると、巨額赤字の原因は、
☆政治と官僚にいいように翻弄されてきた空港整備勘定で税金を徴収し、98の地方空港
を作り続けてきた。こうした中で「政治・官僚」との馴れ合い癒着から生まれてきたもの
1.98の空港建設とJAL(JAS)ANAへの就航路線確保
2.国際国内とも、あくまで発着枠認可は、航空局の手にある
☆JAL兼子社長時代の「放漫経営」とその経営方針と染まってきた幹部の責任は、
いまだに問われることもありません。
放漫の中身とは、
ギャンブル
●80年代、「10年固定のドル先物買い」で2000億円以上の損失・・兼子元社長体制
●2008年「燃油ヘッジファンドの先物買い」で2000億円以上損失・・西松元社長体制
営業方針の誤り
●国際・・・「航空アライアンス」加入拒否/ANAに遅れること8年で削減できた額は
換算すれば、1000億円単位になるだろう。
●国内・・・「クラスJ」創設「スーパーシート廃止」。上顧客をすべてANAに獲得される
結果となり、JALの国内線衰亡のはじまりとなった。対費用効果、顧客の動き
など発表公開もなく、誰も責任を取らず。(現在の取締役・部長クラスが
企画した)
●国内・・・「JAS統合」 「破綻への引き金」・・・・兼子元社長体制が推し進めた
ちなみに、ANAの主張に対して、公の場で日本航空側が反論ひとつしているのを拝読したことがないは残念です。
現在、「再建」に当たって、メガバンクの感覚的感想に怯えて、「日本のナショナルフラッグとして日本の足を背負ってきた苦悩と高額新鋭機材多量購入などに際しての
純民間エアラインでは想定できない政治的の問題も、すべて、明らかにして、「国と官僚
の責任」を明らかにすべき時が来ているのではないでしょうか。
もはや、居残った経営幹部」では、そういう機能も作動できない状況になっているのでは
ないかと不安がよぎります。
それにしても「日本の国民の足となる国際線のエアラインは、どうあるべきか。」という
「基本的青写真」のないまま、路線縮小・大幅現場人員カット・パイロット訓練停止など
だけが、メガバンク・財務省の「コメントとささやき」で遂行されてゆくのは、
「亡国・亡航空」の営みと憂うるばかりです。
羽田空港:米国路線枠で攻防…全日空と日航
毎日新聞 2010年5月26日
羽田空港に10月末、国際線定期便が就航するのを前に、米国路線の発着枠配分を巡る全日本空輸と日本航空のさや当てが起きている。日系航空会社の割り当ては1日4便で、これまでなら日航と全日空が2便ずつ分け合うのが普通だったが、全日空は「日航の経営悪化の元凶は国際線」と全4便の割り当てを求めている。全日空は公的資金を投入された日航への批判を強めており、2社のバトルは当分続きそうだ。【寺田剛】全日空の伊東信一郎社長は26日の定例会見で「(米国路線の)羽田枠はすべてやりたい。(会社更生手続き中の)日航が展開することへの異議、航空連合のバランスをかんがみて要請した」と述べ、国土交通省に4便すべての割り当てを求めたことを明らかにした。このほか、シンガポール便などの開設も検討する。
羽田の国際線はアジア向けチャーター便に限られ、成田空港とすみ分けしてきたが、滑走路増設に伴って1日80便の国際線定期便枠が設けられることになった。米国路線8便は日系と米系が半分ずつで、既に日航はサンフランシスコ便とホノルル便の開設を表明。しかし、全日空はこれに「待った」をかけた。
全日空が全便の割り当てを求めた背景には、航空連合間の競争がある。米系の4便枠は、日航と同じ国際航空連合「ワンワールド」に所属するアメリカン航空(1便)など計3社が米航空当局から認可されている。全日空と同じ「スターアライアンス」のユナイテッド航空は外れ、米国路線を「成長ドライバー」と位置付ける全日空の危機感が強まった。
一方、日航の大西賢社長は25日の会見で、「(日航は)米国線の発着枠で過度な要求をしているというが、グループ再生に必要だ」と主張。国交省は両社に2便ずつ割り当てる方針で、全日空の主張がどこまで認められるかは不透明だ。
一方、日航に投入された公的資金の使い道を巡るせめぎ合いも過熱している。
伊東社長は、公的資金の使途は路線維持などに限り、競争力向上につながる機材更新は抑制すべきだとの立場で、使い道の情報は公開されるべきだ」と指摘。日航の瀬戸英雄管財人は25日、「新機購入は再生に不可欠だ」と主張し、両社の意見は対立している。
発着枠
滑走路などの設備に応じて空港ごとに発着回数が決まっており、就航を希望する航空会社の申請に基づいて国土交通省が認可する。羽田空港の国際化では、政府と海外の航空当局は1日あたり昼間40便、深夜早朝40便の計80便を国際線に割り当てることでほぼ合意。日系航空会社と外資系航空会社が40便ずつ分け合い、日系は国交省が、外資系は相手国の航空当局が認可する。国交省は9月にも日航と全日空から事業計画の提出を受け、9月末までに認可する見通し。

確かに日本の航空会社には長年に渡る官からの多大な押し付けが負担である事実は否めません。しかし元はと言えば、やはり20世紀最後におきたアメリカの航空自由化が全ての発端なのではないかと考えます。
航空自由化が悪いと言うのではありません。むしろここ2~30年の間、何も変わらぬ事のなかった日本の航空行政と、それにぶら下がってきた航空会社がいけなかったという事なるのでは?
アメリカでもEUでも、過剰なまでの消費者保護と航空に対する環境への負担は大きいもので、良かれ悪しかれ航空再編の契機となっている部分はあると思います。
日本は官も民も甘えすぎたのでは?
従って今、ドラスティックに変貌をプランし実行しなければ、このまま衰退していくしか道がないと思うのです。
一外航勤務者さま
投稿ありがとうございます。
カーター政権時に、始まった「米国あげてのデレグ」に端を発していること、仰るとおりだと思います。