星降る夜に!(8)いなくなって、初めてわかったその偉大さ

~必ずよみがえるコンコルド~
日本人旅行者の気持ちになって、あらためて、「その場所までの距離感」というのを考えてみると、「日本から何時間で行けるのか」というのが、体感的「遠さ」の基本感覚のように思えます。
例えば、ハワイまでの時間的距離感覚は、少し旅なれた人であれば、「平均で6~7時間ぐらい?でも、行きと帰りが随分違っていたなぁ。」、更にハワイ好きの人なら、「冬は、6時間を切ることもあるんじゃないの。ジェット気流の追い風が強くて。でも、帰りが向かい風で8時間ぐらいかかるからねぇ。」ぐらいの認識があると思います。
さて、この、日本人がこよなく愛し続けてきた「ハワイ」もお手軽ハワイの代名詞とも言われる「グアム・サイパン」と較べられると少し「遠い」のです。
しかし、もし「コンコルド」が日本/ハワイ線を飛んだとしたら、3時間を切って行けるのです。日本の国内最長フライト「札幌/沖縄」が3時間30分かかりますから、体感的にこの速さを実感できるのではないでしょうか。
10月24日、ジャンボ機の2倍以上のスピード(マッハ2)を誇った、夢の超音速コンコルドは、ニューヨーク・ジョンFケネディー空港からロンドン・ヒースロー空港へ帰着しました。一応、これが怪鳥コンコルド27年間をしめくくるラストのフライト、となりました。コンコルドに対する私の気持ちを表現せよといわれれば、「いなくなって、はじめてその大きさを知った。」というのがぴたりです。
30年間、空を飛んできた者の実感としても、その速さは、「凄い!」の一語に尽きます。人類の知恵が集大成して作られた、旅客機最速のコンコルドは、近い将来にコスト、騒音問題をクリアーして、再び私たちの前にその姿を現わすだろうと、私は確信しています。
注)画像は、1984年ニューヨーク・JFK空港で筆者が撮影。
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「マニフェスト」に想う

~「O(おー)」がないだけで、おーちがい~
マニフェストは、「MANIFEST」であり、私にとっては、30年の愛着があります。
飛行機の出発(離陸)間際は、一瞬一瞬に運航関係者の緊張がみなぎっています。
到着した飛行機を次の出発へむけて整備、短時間・集中型の機内清掃、CIQ(通関・出入国管理・検疫)を通過した乗客を、飛行機に搭乗させる、航空貨物・チェックインバゲッジの搭載、食事・飲料の搭載、搭載物管理(ウエイト&バランス)などなど各担当者が「定時出発」へ向け、忙しく立ち回ります。
 一方で、コックピット(運航乗員)は、機体内外の点検、コックピット内でフライトの準備に入っています。客室乗務員は、各セクションからの報告を受け取り、管理し、最終的に、「機長」に報告します。あとは、管制官からの離陸許可を待って、ready to take off になります。 
さて、ここで「MANIFEST」とは、(航空機の)積荷目録のことです。
旅客の場合は、パッセンジャー マニフェスト(パッセンジャー インフォメーションともいいます。)
貨物の場合は、カーゴ マニフェスト です。
ついでに言えば 積荷全体の目録のことは、ジェネラル デクラレーション、燃料と積荷の重量と積載場所 のことを、ウエイト エンド バランス といいます。
チーフパーサー(DC-8のころは、パーサー)として、毎フライト、必ずおつきあいしたのが、「MANIFEST」でした。
さて、最近のはやりの「マニフェスト」は、語尾の発音がちょっとちがうほか、スペルも「MANIFESTO」で「O」がついており、その意味も、「宣言」とか「声明書」のことをいいます。ここから「政権あるいは政党の公約」に使用しているようです。
先日、NHKの番組「明日を読む」では、マニフェストは、もともと積荷の目録のことと言っておりましたが、MANIFEST と MANIFESTO は、明らかに違うと思うのですが・・。
「政党」たるものが国民・選挙民に対して、政策を明らかにしてその実行に邁進することを、おおやけに約束することは、議会制民主主義では、当然のことであり、いまさら言葉を横文字にしたからといって、目新しいかのようにクローズアップする昨今ですが、これは、国際的視野に立った場合、やや異常のような気がします。
ともあれ、世界から、三流といわれ続けてきている日本の政治・外交も、国民の前に「具体的公約を示す」ことを迫られてきたことは、「一歩前進」と言えるのかもしれません。

「ふれあい!」 in the Cabin 「田村正和」さん

~「ニューヨーク恋物語」~
「フルーツは、パパイヤ、いちご、梨とございますが、いかがしましょうか。」
成田/ニューヨークのフライト。離陸して約4時間、ファーストクラスの昼食サービスもデザートに入っていました。
スチュワーデスがお客様に伺っています。
いつも、ニューヨーク便は、ファーストクラスでも満席に近いのが普通なのに、この日の客況は、8人ほどで、私の目も隅々まで行き届いていました。
その方は、なんと 
「ン――ン・・・。パパイヤ。」
と期待していた、いつもの、ドラマで見る言い方、そのもので答えていました。
13時間からのフライトですから、手足をのばすこともあって、その方は、私達が一息入れているギャレーにきて、2、30分おしゃべりを交わしました。
「今回は撮影で?」ということから、ニューヨークの街のこと、趣味の話まで、静かに話すのです。いわゆる、芸能人ということを感じさせない、知的さに率直にいって感心したことをよく覚えています。
来春には、「ニューヨーク恋物語」特番で復活とのこと、うれしい限りです。
陽水の「リバーサイドホテル」が、かなたから聞こえてくるような気がいたします。
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【 夕刊フジ9.18.2003より 】
俳優の田村正和(60)がエリート商社マンを演じ、大人の恋模様を描いたフジテレビ系ドラマ「ニューヨーク恋物語」が来春、スペシャル版で16年ぶりに復活することになった。脚本は大石静さんで、前作の主題歌で大ヒットした井上陽水の「リバーサイドホテル」も劇中で流れる予定。物語は前作の15年後、商社を辞めた田島(田村)が、ニューヨークで経営する日本人相手のバーが舞台で、ヒロインを女優の竹内結子(23)が演じる。同ドラマがお気に入りだった田村は、「田島のその後の生き様を自分自身知りたかったし、実現できて大変興奮しています」と話している。前作は全編ニューヨークロケを行い、昭和63年10-12月に放送。岸本加世子、桜田淳子らが共演し、ドラマに登場したスポットが日本人に人気になる現象も起きた。

星降る夜に!(7)~Aurolaは、アローラ~

太陽から磁力線が地球の南北極に集まり、そのとき、オーロラが発生、といわれています。
私は、恥ずかしいのですが、つい最近まで「オーロラ」が英語だということを知りませんでした。オーロラは、「Northern lights=ノーザン ライツ」だとばかり思いこんでいました。しかし、NHKの番組宣伝「南極と北極でオーロラの同時中継」というのを見まして、
「ちょっと、待てよ?南極のオーロラって見たことない!」
「南極なのに、Northern lights というだろうか?」と不安がよぎりました。
辞書をひけば、ありました。オーロラも英語でした。
でも、発音は違います。「アローラ」なんです。その意味は、「極光」「曙」です。もともとローマ神話、ギリシャ神話のなかの女神の名前でもあります。なるほどです!
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従って、北極光は、ノーザンライツ。南極光は、サザンライツ(Southern lights)なんですね。
まあ、間違ってはいなくても、南極廻りのフライトの経験がないこともあり?で、(どこのエアラインでもいいのですが、いわゆる、定期便で南極のオーロラが見えるフライトというのが、あるのか、追求したくなりました。)長い間、例の「妖艶不思議」の姿ばかりに見とれていまして、つっこみ不足を知りました。
また、北廻り路線ヨーロッパがなくなった今、あれだけ接近戦でお会いしたことが、貴重なものになっていることも、自覚いたしました。
そういうわけで、NHKのオーロラ中継番組は、私を、原点に戻してくれました。
大変感謝しております。

星降る夜に!(6)~妖艶不思議のオーロラ~

私もこれには、”こころ”をくすぐられました。
34,5年前はじめて、オーロラを見たとき、北廻りヨーロッパ線アンカレッジからヨーロッパへ向かうとき、キャビンはどこを見ても、そろそろフライトタイムの長さが効きはじめ、ぐっすりと快適な眠りについている人ばかり、窓のシェイドをそっと開けて外をのぞけば、それこそ満天に星が輝く空がひろがっています。時速900キロで飛んでいるはずなのに、この瞬間は、時間がとまっているような気配を覚えるから不思議です。
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そのとき、静寂をやぶるようにコックピットからのコールがなりました。
「右手下に、オーロラが見える。綺麗だ。今日は、白いね。起きているお客さんには、教えてあげて!」
いつまでも、遠ざかるような、近づいているような、距離感のできない、不思議な空間に大きくて白い、カーテンが揺れながら踊っています。
その後、あふれるフライトの中で、オーロラを幾度となく、とらえました。
ブルー、グリ-ンだけでなく、軽く白が混ざったり、それは、さまざまに踊っていました。
しかし、この「妖艶不思議な」ものへの感触は、はじめて会ったその感動に勝るものなく、私の頭の中に永遠のフォルダーとなって、残存しています。