「LCC礼賛の安全規制緩和」も見直ししていただきたい!!

今回の悲惨な「バス事故」は、その原因をたどれば、「路線バス運行」のような厳しい安全責任を問わない「格安ツアーバス」運行の業者の参入に道を開いた2002年の「道路運送法」の改定にあります。市場万能主義を交通政策上にも落としたもので、安全面を軽視したものであったことは、総務省が国交省に勧告してきたことからも明らかです。

「670時間を一人で運転することが可能」が明らかにされて初めて多くの国民がその無茶に気がつくことになりました。

起こるべくして起きて「多数の犠牲者」を出してしまったこの間、メディアは、どういう警告を発して来たのか?ということも考えなければいけない重要な問題です。

航空では、事故となれば、一瞬にして「生命の助かることの少ない」場面と遭遇します。

今、「LCCで活性化」という大義名分を立てて、航空でも「安全への規制緩和」が着々と進められています。

ついでですが、本日のTVのニュースでは、国交省主導の「安全規制緩和」の委員をしている方が、他方で「バスの安全規制緩和は、けしからん」というような趣旨の発言をしているのを視聴しました。「一体、これはなんなんだ」と驚くばかりでした。

「人身事故で多くの犠牲が払われなければ、『安全』と向き合わない」あるいは「一過性で済ませる」姿勢は、とても容認できません。

バス運転中に睡魔9割 総務省の貸し切り運転手調査 距離上限、勧告後も改善せず

朝日新聞 2012.5.1

総務省が2009年に貸し切りバス運転手を対象にしたアンケートで、約9割が睡魔に襲われたり事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」の体験をしたりした、と答えていたことがわかった。総務省は10年、運転手1人の1日の最大運転距離の基準を「670キロ」とする国土交通省に距離の短縮を含めた措置をとるよう求める趣旨の勧告をしたが、改善されていなかった。

29日に群馬県藤岡市の関越自動車道で起きた高速ツアーバス事故では、金沢市から千葉県浦安市までの約545キロを1人で運転する予定だった運転手が病院への搬送前に「居眠りをしていた」と説明しており、国交省は基準の見直しを検討するとしている。

07年2月に大阪府吹田市でスキー客ら27人が死傷したバス事故後、国交省は670キロの基準をつくる一方、総務省は運転手500人を対象に勤務実態などを調査。回答した136人のうち122人(89・7%)が運転中に睡魔に襲われたり、居眠りをしたりしたと答えた。ヒヤリ・ハット体験も9割を超える130人(95・6%)が認めたという。

調査では安全運行できる乗務距離についても質問。高速道と一般道の両方を走る場合、昼間が平均「531キロ」、夜間が平均「439キロ」で、国の目安を大きく下回っていた。

貸し切りバス事業者に対する調査では、670キロ以下でも交代要員としての運転手を乗せる会社があることも判明。そうした実態があるのに、上限を670キロとする国交省の基準に対し、総務省は10年9月に「運転手の健康面を考えておらず、運転手や有識者らの意見もくんでいない」と指摘、行政評価に関する権限を定めた総務省設置法に基づいて改善を勧告した。

だが、国交省は10年9月まで実施したバス業界などとの私的懇談会で「変更の必要がない」との方向性を出したことなどを踏まえ、改善していなかった。国交省安全政策課は取材に「上限距離の変更より、それが守られているのかの事後チェックを重視してきた。今後は基準の見直しを検討したい」としている。(川見能人、黒川和久)