羽田空港では、「バード ストライク」が急増!

羽田空港の4本目の滑走路(D滑走路)がオープンして以来、バードストライク(離着陸時にエンジンに鳥を吸い込んでしまう状況)が急増しているという。

1月18日朝日新聞夕刊の報道によれば、発着回数の増加が1.3倍に対して、「鳥との衝突」は「1.6倍」に増えている、という。

こうした数字は、いずれも航空会社からの報告を国交省がまとめたもの。

特徴的なのは、「夜間」の衝突は、「3倍」にも及んでいることです。

こうした事態を受けて去年の12月には、「DNA鑑定で鳥の種類を割り出して、鳥の習性を研究した対策を取る」というのが国としてのおよその対策です。

D滑走路完成で、約9万回の発着増となってこういう事態ですが、2009年にニューヨークJFK空港では、この「バードストライク」が原因で、エンジンが停止し「ハドソン川」に奇跡の着水をしたという事態がありました。

その後、「鳥を威嚇したりするだけでは、事態を防げない」という観点で研究が進んだようです。

羽田は、2013年には更に発着枠を6万回増やす計画ですから、日本においても「自然と共生しながらも安全な対策を講じる」ための調査・研究を深く進めてもらいたいと感じます。

以下は、参考の報道です。

2009年のバードストライク、上海 。 「ハドソン川の奇跡・NYC」

航空機と鳥の衝突回避へ、DNA型鑑定が威力 判明種類2倍に

2011.12.18
 航空機の離着陸時に鳥と衝突する「バードストライク」対策に、警察の捜査などに用いられるDNA型鑑定が威力を発揮している。国土交通省が全国の空港で導入したところ、一部の空港では判別できた鳥の種類が2倍以上になったという。従来は空砲で追い払うなどの一時的な対策しかできなかったが、国交省は「鳥の生態に合わせた対策が可能になる。今後分析を進める」と話している。

 鳥の衝突でエンジンや機体が損傷し、途中引き返しや滑走路の一時閉鎖につながるケースは少なくない。昨年は過去最高の1745件を記録。このうち49件で航空機が損傷した。このため、国交省は平成22年2月以降、国内13空港でDNA型鑑定による鳥の種類の調査に乗り出していた。

 国交省によると、発生件数が最も多い羽田空港では鑑定の結果、ヒバリやサギ、シロハラ、キジバト、アジサシなど18種類の鳥が確認された。21年まではスズメやカモメ、トビなど7種類にとどまっており、担当者は「有名な鳥しか分からなかったが、種類の多さに驚いた」と話す。

これまでは鳥の死骸が見つからないと判別ができなかったが、機体に付着した血痕やエンジン部分に残った羽根だけでもDNA型鑑定は可能。13空港で昨年10月~今年3月に検体を回収できた80羽のうち約9割の種類が判明した。

 国交省はさらにデータを集積し、鳥の種類別に飛来する時期や活動時間帯などを分析。空港周辺でエサとなる草を除去したり、天敵の鳴き声を流したりするなど生態に合わせた対策を取り入れていく方針。

 各空港では職員が滑走路付近をパトロールして、空砲や花火で鳥を追い払うほか、鳥の巣を駆除するといった対策が主流だったが、効果は一時的。羽田空港では来年度に鳥を検知するレーダー装置が約10億円かけて設置される。

 バードストライクをめぐっては、平成21年に米ニューヨーク市で離陸直後に航空機のエンジンが止まり、ハドソン川に不時着した事故をきっかけに改めて危険性が認識された。

レーダーで鳥の飛来つかめ 羽田、航空機との衝突防止

’11/12/14  中国新聞

 羽田空港で、航空機に鳥が衝突し大事故につながりかねない「バードストライク」が増えていることを受け、国土交通省は来年4月から、鳥の飛来を捕捉するレーダーの運用に日本国内で初めて取り組む。これまでは監視員が巡回し見つけるたびに追い払っていたが、今後は群れの移動をモニターで確認し効率的に対処できると期待。被害軽減に効果があれば、ほかの空港への設置も検討していく考えだ。
 国交省によると、空港の敷地内に2基の水平レーダーと4基の垂直レーダーを設置して約300メートル上空まで監視。鳥の位置と高度を測定するほか、レーダーの反射面積でサイズを判別し、どんな種類かも推定する。
 これらのデータをコンピューターに送り、空港と周囲を表示させたモニター画面上に、ハトは青、カモメは赤などと色分けした点を表示。監視員は、小型端末を携帯して鳥の居場所や数を常に把握できるため、飛来コースを予測して出動し、集まってくる場所に先回りしてスピーカーによる威嚇音で追い払うことが可能になるという。

 多摩川の河口にあり、東京湾に面した羽田空港の周囲には多くの野鳥が生息し、渡り鳥も飛来。バードストライクは年々増えており、昨年は過去最多の171件、今年は1~9月でそれを上回る176件発生した。
 昨秋には国際定期便が再開し夜間も頻繁に発着があるため、鳥衝突防止のパトロールは24時間態勢に。夜間も暗視ゴーグルを着けた監視員が車で巡回し、鳥を見つけるたびに威嚇音を鳴らすという地道な作業を繰り返している。
 レーダーの導入は、こうした作業の負担を軽減するほか、鳥の行動パターンを調査する狙いもある。国交省の担当者は「種類ごとに飛行ルートを分析し、どうすれば滑走路に近づかなくなるか考えたい」と話す。 レーダーによる鳥対策は2006年ごろから、米国やカナダの空港で導入されている。

鳥衝突防止に新兵器 羽田空港、レーダー監視へ 効果あれば全国で 

2011年12月14日   西日本新聞夕刊
 羽田空港で、航空機に鳥が衝突し大事故につながりかねない「バードストライク」が増えていることを受け、国土交通省は来年4月から、鳥の飛来を捕捉するレーダーの運用に日本国内で初めて取り組む。これまでは監視員が巡回し見つけるたびに追い払っていたが、今後は群れの移動をモニターで確認し効率的に対処できると期待。被害軽減に効果があれば、ほかの空港への設置も検討していく考えだ。

 国交省によると、空港の敷地内に2基の水平レーダーと4基の垂直レーダーを設置して約300メートル上空まで監視。鳥の位置と高度を測定するほか、レーダーの反射面積でサイズを判別し、どんな種類かも推定する。これらのデータをコンピューターに送り、空港と周囲を表示させたモニター画面上に、ハトは青、カモメは赤などと色分けした点を表示。監視員は、小型端末を携帯して鳥の居場所や数を常に把握できるため、飛来コースを予測して出動し、集まってくる場所に先回りしてスピーカーによる威嚇音で追い払うことが可能になるという。 多摩川の河口にあり、東京湾に面した羽田空港の周囲には多くの野鳥が生息し、渡り鳥も飛来。バードストライクは年々増えており、昨年は過去最多の171件、今年は1-9月でそれを上回る176件発生した。   ◇   ◇

 国土交通省航空局によると、福岡空港の2010年のバードストライクは54件で羽田空港に次ぎ全国で2番目に多い。福岡空港では1日数回、滑走路周辺を巡回する「バードパトロール」を行い、巡回車のスピーカーから鳥が絞め殺されるときの声に似た「ディストレスコール」を流し、空砲を発射するなどして鳥を追い払っている。福岡空港事務所は「対策の決定打はないが効果はあり、幸い事故は起きていない」と話す。

 200種以上の野鳥が飛来するといわれる曽根干潟(北九州市小倉南区)に近い北九州空港でも06年の開港当初からバードストライクが多発。09年には野鳥の専門家などを交えた対策研究会を開き、空港近くの水場を埋め立てたり、大きな野鳥の餌となるネズミなどの小動物を駆除したりして、同年の54件から10年は24件に半減させた

 ▼バードストライク 鳥が構造物にぶつかる事故の総称で、主に航空機との衝突を指す。国土交通省によると、羽田空港のほか福岡、佐賀、新千歳など全国の空港で問題になっており、昨年は計1745件発生。うち49件でエンジンなどの機体が損傷し、航空業界の年間の被害額は数億円規模とみられている。米ニューヨークで2009年1月、エンジンに鳥を吸い込んで推力を失った旅客機がハドソン川に不時着し乗客乗員155人全員が救出されるなど、深刻な事故も起きている。

鳥の好物は空港の虫? バードストライク対策に悪戦苦闘

2009年11月25日0時31分 asahi.com      

 航空機のエンジンなどに鳥が衝突するなどして運航に支障をきたす「バードストライク」が福岡空港や佐賀空港で多発している。福岡空港は10、11月と滑走路脇の緑地帯の草刈り時期となり、虫目当てにいつもの数倍の鳥が降り立つという。「草を刈らないわけにもいかない」と、担当者らは頭を抱える。

 10月中旬、福岡空港の滑走路。離着陸を繰り返す航空機の脇で、草刈り機が走り回る。機械が通った後ろの草地には、カラスやハクセキレイ数十羽が群がり、一心不乱に地面をつつく。耳をふさぎたくなる航空機の音にも、おびえるそぶりはない。

 「虫を狙っているんです」。福岡空港事務所の春名昭宏次長が説明する。空港では年3回、2カ月かけて草刈りをする。外観を良くするためと、侵入者が隠れにくくする保安上の目的がある。草を短く刈ると虫が見つけやすくなるため、鳥が舞い降りてくるという。空港周辺には住宅街や「博多の森(東平尾公園)」があり、そこから集まってくるらしい。 同空港によると、06~08年の3年間で、バードストライクの平均発生件数は年64回。うち10月の平均は、1年で最も多い8.3回だった。11月は6回で、3番目に多い。

 今年も10月16日、福岡発石垣行きの全日空便に鳥2羽がぶつかり、同便は福岡空港に引き返した。空港事務所の担当者は「空の玄関口の空港が草ぼうぼうだと言われても困るし、刈らないわけにはいかない」と話す。 同空港では1日4~5回、滑走路周辺を巡回する「バードパトロール」のほか、実弾や空砲、大きな音が出る花火を発射して鳥を追い払っている。巡回車の上にスピーカーを備え付け、鳥が絞め殺されるときの声「ディストレスコール」を流したり、4分置きに「バン」という爆発音が流れる爆音機を設置したりするなどしているが、鳥もだんだん音に慣れ、完全に追い払うことは不可能という。

 国土交通省によると、08年の各空港のバードストライク件数の上位は、羽田135件、大阪(伊丹)62件、那覇59件、福岡52件、佐賀37件だった。

 佐賀空港の場合、離着陸回数1万回あたりに換算すると44.36件(08年)で全国1位。南に有明海の干潟、東に筑後川河口、北に田畑があり、様々な鳥が飛来する「鳥の楽園」とも言われる。

 同空港事務所によると、機体にぶつかる鳥の半分は、夜間に干潟から来るシギという。同事務所は「夜間にバードストライクが起きるのは、うちくらいではないか」。夜間は時折しか行っていなかった滑走路の巡回を、今年度からは毎日実施している。

 一方、北九州空港は、バードパトロールが徐々に効果を上げている。06年10月から、航空保安協会の職員が滑走路を巡回して鳥を追い払っている。06年は52件だったのが、07年35件、08年28件と減ってきている。

 各空港の担当者は「こまめに追い払うことしか、方法はないだろう」と口をそろえる。(岩本美帆)

One thought on “羽田空港では、「バード ストライク」が急増!
  1. バードストライクはジェットエンジンに限らない。先週福岡?で海上保安庁所属の双発プロペラ機(ボンバルディア製)鳥と機首が衝突し海保の機首が壊れることが発生! 機首はなんで?と思われるほど割れとへこみが大きくこんなにチャチな作りかと再び驚かされた。

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