「JAL再生タスク フォース」の矛盾・航空政策の矛盾は一夜にしては、なおせない。

~59年の航空政策の「蛇行」の軌跡を糾さずして、「バンデージ オペレーション」では~

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本日10月25日、正午から放映されたテレビ朝日「サンデースクランブル」に録音によるインタビューを受けました。

私が申し上げたのは、タスクフォースがどうであれ、今、弊ブログ上でも再三再四明らかにしておりますように、JAL再建の要(かなめ)は、

1.国内地方航空整備に顕著となっている「空港整備特別会計」の問題、ここの源泉になっている国内基本運賃決定にあたっての「公租公課」税金(です)など、政府の航 空政策の失敗が「JALの赤字の原因とどう結びついているのか」

2.国際線を持つナショナルフラッグキャリアであれば、どの国も国家が支援することに例外はないのに、JAL(ANA含め)を支援することにメディアを含めなぜ過剰に反対するのか、理解できない。一機100~200億円もする航空機を保有し、常時安全運航の体制を保持して当たり前というのが航空産業である。

儲けるだけの一般的産業と同一視してビジネスにならないと論じることそのものが間違っている。こんなことで諸外国と競争など出来るはずがない。この問題は、また、オープンスカイやアジアゲートウェーで触れなければならない。沖縄基地問題にも、航空路問題にも通じるのである。

3.7~8代にわたる官僚天下り・自民党運輸族議員と日本航空経営陣と日本航空特定労働組合幹部との癒着で使い込まれた4000億円にも上る乱脈経営のつけ

などにメスを入れてはじめて、「再建策」となり得る」とお話しました。

~あくまで銀行団が「年金」にこだわる理由は、実は、ここにあります~

週刊エコノミスト10月20日号の「未認識債務ランク」によれば概ね以下の状況です。

第1位  三菱UFJ銀行  7938億円

第2位  みずほ銀行   6805億円

第3位  FUJITSU     4002 億円

第4位  三井住友銀行 3557億円

中略

第6位  JAL       3315億円

 

参考までですが、かつて年金は、会社と個人が半々で支払っていたりしましたが現在では、個人が支払うようになっているのが大半です。

上記の表を見れば明白ですが、仮に「JALの年金制度を削減できれば、まず銀行の社員・従業員の年金制度も簡単につぶすことが出来る」そして、次に不況で遣り繰りに困る多くの企業の年金制度が壊されるという縮図を含んでいるのです。しつこいほどに個人が貯めてきた年金にこだわる最大の理由であることが理解できます。

聞くところによると、「全国的に年金基金が破壊できれば、次は企業の健康保険」ということですから、考えることが底なしです。

大体、年金基金が「株」などでギャンブルできるようになったのは、「小泉政権下」の「規制緩和」によるものです。「殆どの日本の年金基金機構は、リーマンはじめとした証券会社の上顧客で水面下で大きな火傷をしている」といわれています。表に出ているだけでも有名大学の運用損が報道されています。こんな危ない「規制緩和」さえなければ、おおきな被害も受けていなかったはずなのです。まして、銀行などには、バブル以来公的資金がどんどん注入されていたわけですから、「航空」政策の過ちから政府自らが招いた損失を救うぐらい「えらそうなこと」を言える立場でもなんでもありません。

ただし、経営陣の腐敗、政治と官僚の癒着で使い込んだ4000億円もの資産への責任追及をそのままにすることは、断固ゆるされることではありません。

なぜならば、そのままにすれば、「また同じことが繰り返されるからです」

無責任な先生方は、この辺をうまくカモフラージュして、あたかも一般社員の責任かのようにしたてておりますが・・・。

莫大な、乱脈経営の果てのツケは、毎日有利子となって会社を苦しめらているのに、この問題は、素知らぬ顔をして、「年金・年金」と騒ぐようでは「経産省官僚・銀行団」「タスクフォース」の思惑のままに動かされるだけで、ゆくゆくは全国のサラリーマンを不安のどん底に陥れることにもなりかねない結末さえ呼ぶことになります。

~ちなみに、「年金」は、個人が積み立てたものですから・・・~

従来どおり給付していれば年間75億円ほどで済んでいる問題でもありますが、経産省や国交省やタスクフォースが国民年金まで含めてあたかももらいすぎのような報道まで仕立てて騒ぎ立てたことで、逆に、一時的に整理すると「詐欺」にならないためには「退職金などを預かった部分を返却しなければならず」2000億円はかかることになってしまうという皮肉な現象も発生しています。

「高コスト体質」という騒ぎは、従業員側にあるのではなく、そういう体質があるとすれば、国家の航空政策と官僚と一握りの経営陣から生まれ、隠され、温存されてきたものです。

こういう問題が白日の下に曝されるときを迎えているのではないでしょうか。

「ハブ空港問題」「不採算路線問題」「国民の足となっている路線問題」など航空固有の問題もありますが、「規制緩和」で「国民の安全が脅かされたり、財産が荒らされる」という点で、「郵政」や「ダム」や「沖縄基地」問題と根本的に問題がひとつであると言わざるを得ません。

~「規制緩和の旗を振ってきた方々は、反省すべき」なのに~

航空の問題でも、99もの地方空港を作り続けてきた「空港整備特別会計」のあり方や、「航空運賃・航空協定・オープンスカイ」などになんらの批判もせず、「航空会社は儲ければ良い、競争力とはそういうものだ」という理論で「現場の意見もろくに聞かず」、「安全の規制を緩和」することばかりに目を向け「ひたすら国交省の書いた筋書きに協力してきた」先生方が平気で「飛行機が止まっても、日本航空はつぶすべきだ」などと無責任な発言を繰り返しているのを散見いたします。

日本という国家が、世界にアジアに誇れる「航空会社」を確立せねばならぬとき、既に20年の遅れを取っている空港群を持てる駒でどう戦うかという戦略を練らねばならぬとき、

日米中外交の中で、航空の戦略をどう位置づけるかを背後に考えねばならぬとき、アメリカがEUが、日本の国内線まで「オープンスカイ戦略で狙ってきているとき」、この重要な局面に、オバマ政権が事実上反省総括し、とっくに見放した「規制緩和諸策」を、それを推進してきた方々が何食わぬ顔をしてメディアで無責任な発言をすることが許されていることそのものが混乱の世界といえます。

~「安全」なくして「繁栄」なし、これが「航空の世界」です~

今日の最後に、「ハドソン川の奇跡の着水を成し遂げた」といわれたあのサレンバーガー機長は、 公聴会で「労働条件が低すぎて自分の息子さえもパイロットにはなりたくない。という現状であり、これでは安全は守れない。」

と証言しています。皆の命を救った英雄にして議会の公聴会で勇気あるこの発言です。アメリカの空の深刻な実態が推察されます。さて、日本の空はどう歩むべきでしょうか。

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