橋下知事「伊丹廃止」発言について

JAL・ANAなど各航空会社が関西空港への減便を決断したことを受けて、「橋下知事は、大阪伊丹空港の廃止」という趣旨の発言をしたことで内外から強い反応を受けています。

私も以下の点で、意見を申し上げたいと思います。

○関西空港は、もともと完全民営の国際空港ということが売り物で建設を開始した。ところが実際は、国と自治体と民間の構成であった。毎年90億円の補助を受けていても赤字を10年続けてきたが、近年単年度では、黒字までこぎつけていた。

○日本の持つ24時間離発着可能なハブ空港としては、重要な位置ずけといえる。

○しかし、需要と自治体の負担を考えれば、二期工事の強行は、原油高・旅行の冷え込みなどに対応できる体力という観点では、失敗したことといえる。

○関空・伊丹の住み分けでも難しい問題であったところを、「神戸」を開港し、一経済圏に三空港という難題を黙過した。

○もともと、巨大な空港建設は国家的な課題であり、「空港整備特別会計」に大方をたより、自治体に負担を求め、営利を旨とする民間経営に重心を置いて来たことに、「問題の核心」があり、「ミクロな補助金」についてを超えて、こうした点を「政府」に主張すべき立場なのではないか、と考える。「関空が沈むことは、日本が沈むこと」というフレーズは、「年金が沈み、道路や官僚機構や防衛が腐ることは、日本が沈む」ということと同工異曲という点では、当たらないこともない。

○こうしたことから、騒音問題で「大型航空機」「便数」などの制限下にあるとはいえ、大阪伊丹空港は大阪市街への利便性では多大なものがあり、「関空」盛り上げの犠牲にすることなどは、問題外であると思います。これまで航空機の利用者が、伊丹から関西に転じたことで、若干時間はかかっても到着後の利便性を鑑みて「鉄道・新幹線」を利用する傾向(私もそうしています。)にあるなかで、方向を間違った発言と感じてしまいます。

「知事の良識疑う」伊丹廃止検討に地元から非難噴出
7月31日22時29分配信 産経新聞

 「あまりに唐突だ」「知事は大阪空港が果たしてきた役割をご存じないのだろう」-。
 大阪府の橋下徹知事から飛び出した大阪空港の廃止検討発言を受けて、地元自治体には31日、戸惑いと批判の声が広がった。前日の30日には「大阪国際空港周辺都市対策協議会」の20年度総会が兵庫県伊丹市内で開かれ、「国が直轄管理・運営する基幹空港としての機能維持」などの運動方針を採択したばかり。「空港存続の前提で話し合ったはずだ…」。
 一方で「伊丹存続はそもそもルール違反だった」と発言を歓迎する自治体も。橋下改革は、隣県まで含めた新たな火だねを抱えたようだ。
 同協議会には、伊丹市や大阪府豊中市など周辺11自治体が参加。空港の活性化策や騒音軽減などを国に求めてきた。30日に採択した20年度の運動方針では、「基幹空港としての機能維持」「空港と地域の調和につながる『まちづくり』」などを採択していた。
 同協議会会長で伊丹市の藤原保幸市長は「今後とも国が直轄で管理・運営するべきとの考えに変わりはない」とコメント。西宮市の担当者も「総会は空港の存続を前提に話し合っていただけに驚いた」と当惑し、「廃止になれば空港によって生活している人への影響も大きい。そうした配慮が橋下知事にあったのか疑問だ」と話した。
 また、豊中市の浅利敬一郎市長は「唐突な話で驚いている。豊中市としては空港を活かしたまちづくりを進めており、知事の発言は理解できない」。大阪府市長会長でもある池田市の倉田薫市長は「特に現段階では申し上げることはない」としながらも、「知事からお問い合わせがあれば、私の意見は申し上げたいと思う」とコメントした。
 大阪、兵庫両府県の事業所や団体でつくる「大阪国際空港及びその周辺地域活性化促進協議会」会長で、伊丹商工会議所の松谷英次郎会頭も「橋下知事は近畿経済に大阪空港の果たしている役割をご存じないのだろう。良識を疑わざるを得ない」と痛烈に批判した。
 一方、航空路線の減便が進む関西空港側では、橋下発言に歓迎ムード。関西空港会社の村山敦社長は「知事自らが関空シフトの観点からイニシアチブをとろうという発言をしてもらい大変ありがたく、心強く思っている。関西3空港のあり方についてのコンセンサス作りにできる限り協力していく」とのコメントを発表した。
 また関空の“おひざ元”の泉佐野市幹部は「伊丹空港はもともと関空誘致のときから廃止対象になっていた。当市としては歓迎する発言」とした。同市は伊丹存続が決まったときも「当初決めた“ルール違反”ではないか」と遺憾を表明していた経緯がある。
 この幹部は「関空会社の経営不振から連絡橋の買い取り問題などが浮上して、市としては憤慨していた。当初のルール通り伊丹を廃止していれば関空も現状のようではなかったのでは」と話した。
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 大阪空港の利用客からも批判の声があがる一方、存続を疑問視する声も聞かれた。
 月に1度出張で利用するという大阪府豊中市の会社員、波部和良さん(59)は「アクセスのよさから大阪空港の廃止には絶対反対」。
 熊本県から旅行で大阪に来ていた主婦の小谷久子さん(60)は「京都や奈良を旅行するのに、関西の他の空港より大阪空港が一番便利」。仙台市の会社員、大久保賢さん(31)も「オフィスが多くある大阪市内に行くために大阪空港が一番使われている。他府県の人にとっては、廃止されたら間違いなく困る」と話した。
 これに対し、大阪市住之江区の会社役員(53)は「関空ができたときに大阪空港はなくなると思っていた。橋下知事も理由があって発言していると思う」と、空港のあり方について再度検討を求めた。