問われる「エアラインの品格」!JALのCA「監視ファイル事件」

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~私も、逐一監視ファイルに書かれていた!~

現役当時、誰よりも日本の翼を愛していた私は、当時の会社方針に対しては、労務であれ、営業であれ、政策(ポリシー)に対しては、厳しい意見を公にしながら提言し続けていました。

上げ底や看板に偽りアリの営業方針や宣伝広告に、また「疲労困憊したパイロットやCAを乗務に貼り付けてきたり」「年々緩くなってきた整備の規制にとまどうメカニックの現場」の声を率直に反映させた意見でもありました。

勇気を出して「ものを言う」というバックボーンは、「劣化する安全・サービスを提供する」ことは、そのまま、「旅客をあざむくことになる」「良質な商品を提供し、永いご愛顧を願う」というスピリットがすべてでもありました。

今回露見した「会社・労働組合」合作の監視ファイルは、JALの客室乗務員であれば、誰しも、うすうすは、推定していたものと言われています。
しかし、実際にそのファイルを目の当たりにしますと、「会社の品格」とはなにか「エアラインの品格とはなにかをとあらためて考えさせられることとなりました。

公開を阻みたくなるような、個人のプライバシーの数々、悪口雑言の数々が詳細に記録されていました。
私の場合も、「えっ、こんなことまで・・・!」ということが実際に書かれておりました。勿論事実と違うこと、私生活に至るまで、堂々と、記載されているのでした。記載した者も推定できる中味でもありました。

この件については、どうも会社中枢は「労働組合が情報収集したものだから」と該当組合に責任転嫁し、「合作したのは一部の者が」と組織的関与を否定、また組合側は「漏洩したのは問題だが、情報を集めて何が悪い」というような開き直りの反応のようです。

事態を認めれば、これまでの社内の常識(組合とは、会社と対立してはならない。そういう組合の役員をしてきた者だけを、管理職とし、役員とする。)は総崩れとなり、役員を含めて責任を取らねばいけなくなることを危惧しているからに他ならないといわれています。

まるで「防衛省」と「山田洋行」の写し絵のような話です。

こうした風景を山崎豊子さんは膨大な取材を基に「沈まぬ太陽」に描かれたと聞き及んでいます。監視ファイルでは、この「沈まぬ太陽」を読んでいることだけでリストに書き込まれるわけですから、まるで犯罪扱いしていることから推察しても、「もっとも明らかにしたくない実態」なのかという推定もできますね。

能力や適正に関係なく、自分の出世や保身ばかりが横行する体質には「手つかず」ですから、「銀行やマスコミ向け」の「リストラ」「社員の給料・ボーナスカット」「現場の人員カット」を繰り返しても、抜本的な「再生」は難しいものとならざるを得ないと思えます。

やがて、現場の「品質」を下げられて迷惑するのは利用者ばかりという納得できない現実にぶつかることになります。

仮に今後大事故が起きた場合、こういう問題も必ず「世間の前につまびらか」にせざるを得ないこととなるでしょう。私の知る限りでも1970年代から延々とこうした政策は継承されてきました。

しかし、三次元の世界を絶え間なく超高速で運航される航空機の世界では、いっときも早く「根本的な解決」をして欲しいものと願うものです。

~JALとANAの決定的、深層的ちがいはここに~

ナショナルフラッグキャリアとして栄光の空を飛翔し続けてきた「JAL」が、「ANA」との対比では、翳りが出てきていると言われて久しいものがあります。

大まかに言えば、「JAL」には職場ごとに2つの組合が存在します、子会社に至るまでです。「ANA」には少なくともそういう実態はありません。ここに異常さが浮き彫りです。

「ANA」に搭乗して、逐一、CAの動き、ティームワークの良し悪し、を観察しますと、JAL・ANAとも過酷な勤務ということではほぼ同じ条件でありながら、何かが違います。 「仕事に対する真摯な姿勢」「会社のマニュアル重視より旅客を見るという姿勢」「疲れを見せない」という点で、「かつてのJAL」をそこに見るような気が致しました。更に言えば、数十人のCAや関連子会社のスタッフにインタビューして驚いたのは、「ANAで働けて幸せです」という感想が圧倒的に多かったことです。私に聞かれているということを割引しても、明らかに雰囲気が違います。

現場を軽視した政策の「汚点」は、「ロイヤリティー」という点でも見えない損失を大きくしているのではないでしょうか。

外から眺めると大したことには映らないかもしれませんが、労働組合対策も通常の労使関係を踏み越えて「違法・不当の施策」なものになると、現場は悲惨です。こうしたプライバシー監視はもとより  「乗務員としてのスキルより組合所属がすべて」という基準になり、、「ゴマすりが横行」し、なにより「ティームワークがめちゃくちゃ」になります。サービス業のバックヤードとしては最悪です。

JALのオペレーションセンター(乗員・乗務員が集結する場所)などに行かれるとわかりますが、「制服を着ていて同じエレベーターに乗り合わせても、明らかに自分のフライトに同乗するということがわかっていない限り、挨拶を交わすことは、まれ」です。「接客のプロ」といわれる集団が、「いろはのい」でも平然と無視できる社内事情は、もっとも明らかな異常の表れでしょう。他の航空会社では決して見られる光景ではありません。

「生理休暇常習」「流産」…日航CA「監視ファイル」の中身
     12月1日20時38分配信 産経新聞

≪「生理休暇常習」「流産」「父なし子」…≫

 戦慄(せんりつ)の監視ファイル、その中身は-? 日本航空の最大労組「JAL労働組合」が作成した9000人を超す客室乗務員(CA)の個人情報リスト。26日、日航のCA194人がJAL労組や日航を相手取り、損害賠償を求めて提訴した。家庭環境から病歴、思想信条などプライバシーを丸裸にする情報があふれたリストの内容が報道され、世間を驚かせた。また、リストは契約から正社員へ移行する客室乗務員を丸抱えするために利用された-との見方も広がっている。(水野拓昌)

■「赤っぽい」「私生活乱れている」

 「父なし子を育てている」

 「父親は教員、日教組」

 「総会屋の娘」「流産」

 「SL(生理休暇)常習」

 訴状には、リストに集積されていた個人情報の一例が並ぶ。

 訴状によると、JAL労組は平成8年以降、客室乗務員9862人分の個人情報を無断で収集し、1人158項目ものリストを作成。一部の組合幹部がパソコンで保存、更新、閲覧していた。

 「プライバシーを侵害された」として1人当たり22万円、労組「日本航空キャビンクルーユニオン」(CCU)も団結権が侵害されたとして日航に550万円、総額約4800万円の損害賠償を請求した。

 提訴した客室乗務員の多くはCCUに加入。「リストは会社とJAL労組が一体となって作成した」というのが原告の主張だ。

 CCUの報告書は、さらに詳細なリストの内容をうかがい知ることができる。

 「自分は何が書かれているのか」とJAL労組に開示請求した約550人のうち、約200人から提供された情報をもとに内容を分析したという。そこには極めてセンシティブな情報が記録されていた。

 支持政党、思想信条に関しては、「○○党員らしい」「やや赤っぽい」。

 家庭環境では、「子供のために働くシングルマザー」「バツイチ、子供あり」。

 病歴などでは、「自律神経失調症」「乳がん」「心身症で欠勤」。

 容姿や性格、勤務態度について、「不平不満言い放題、トラブルメーカー、人望ない」「独身で私生活も乱れている」「仕事への欲はなく、身だしなみに問題あり」-などの表記があった。

■単なる悪口も…気味が悪い

 CCUの中川香委員長は「女性としての病気や流産、離婚の記録、子供の病気などがあり、許せないし気味が悪い」と話し、多くの客室乗務員が監視されていた恐怖を感じていると憤る。

 リストのひな型には氏名、所属などの基本情報や異動、組合活動に関する項目に加え、「出産予定日」「出産日」「休職開始」などの欄がある。また、問題となった情報の多くは備考欄に積み重ねられており、そこには「悪党、酒癖悪い、何をやるか分からない」「バカ」と個人的な印象や単なる悪口までも記録されていた。

 また、「長欠、休職発令間近、腰部捻挫(ねんざ)」など会社しか知り得ない情報も。中川委員長は「乗務のため会社に提出する人事考課票に記載した情報がある」と指摘。フライトに関係するため会社に申告した既往症、病歴といった他人に知られたくない情報も流出していたという。

 さらに、職場の中で誰かに行動や発言をチェックされているのか、「要注意、傷病者に対しては会社の悪口を言いながら細かくケア」「組合を変われと言って脱加入届を渡している」「(日航をモデルにした山崎豊子の小説)『沈まぬ太陽』を回し読み」との記録もある。

 一方、「よい人だけに影響力がありそうなので要注意」「人望・仕事抜群、非常に危険」と、一見矛盾した表現も。対立する組合の優秀な人材は要注意というわけだ。

■背景に「組合の対立」指摘も

 この問題は2月、週刊誌の報道で発覚。日航とJAL労組はその後、内部調査でリストの存在を認めた。

 日航は5月、関与した社員25人を処分したが、組織的関与は否定している。これに対してCCUは「1万人近いデータを一部の社員、組合幹部だけで集めたとは思えない」と批判する。

 リスト作成の目的は何だったのか。

 作成が始まった平成8年ごろは、日航が6年に採用した契約制客室乗務員1期生が3年間の契約期間を経て、正社員へ移行する時期と重なる。

 JAL労組は加入者約1万人の半数以上が客室乗務員で、特に契約社員は全員加入している。一方、約1900人の客室乗務員で組織するCCUは、会社と対立関係にある。「正社員になったとたんに組合を移られてはかなわないと、JAL労組が囲い込みを狙った」というのが、CCUの見方だ。JAL労組は「リストは契約社員だけを対象にしたものではなく、関係ない」とこの見方を否定している。

 JAL労組は「現時点では裁判についてコメントできない」としながらも、リストに関しては、「組合員への連絡の必要から作成したが、データ化の過程で不必要な情報も蓄積していった」と不適切な状態だったことを認めている。組合間の加入活動が活発に行われてきた状況下、情報を少しでも多く集めようとしたことが加熱したという。下口拓也書記長は「反省すべき点はあり、今後、組合員との信頼関係回復に努めたい」と話している。

 日航は「訴状が届いていないのでコメントは控えたい」としている。

2 thoughts on “問われる「エアラインの品格」!JALのCA「監視ファイル事件」
  1. 毎年一、二回、用事があって羽田から岡山へJALに乗ります。日航ファンだからて゜なく、フライト時間の都合上からです。
    機材が古く、不安を感じることが少なくないのですが、それよりも乗務員の態度が不自然なのです。物腰、言葉使い、どうも私は好きになれません。慇懃無礼という言葉がありますが、それを感じます。アテンダントに個人的に言葉をかけ用事を頼んだりすると、冷ややかな態度に急変することがあります。
    ホスピタリティという言葉を知っているのかな、とも思うのですが、この会社の事情じゃ要求する方が無理ですね。
    最近、時間的には不利なのですが、なるべくANAに乗るようにしています。機材もサービスも良いですから。

  2. 記事を大変面白く読ませていただきました。
    色々な飛行機の事故もあるんですね。
    私たち乗客が知ってもどうしようも出来ませんが、知っているということで何か役に立つかも知れませんね
    それにしてもJALの内部の人間関係はひどいですね。これでは事故につながりかねないのではないですか!!
    私もJALの所有するホテルの中でテナントとして契約していたことがありますが色々変な指示が来てこまったことがよくありました。
    リンクをさせていただきました。
    今後のますますご活躍を期待しております。

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