「管制」をめぐっての重大アクシデントが続く!

しばらく、阿部典史さんの喪に服しておりました。

ブログを再開いたします。

ここのところ、大阪空港、関西空港と離発着時の「管制」にからんだ重大アクシデントが続いています。いずれもパイロットや管制官が「誤認」や「混同」に気がつくのが遅れれば、「大惨事」になるところでした。

普段あまりつまびらかにされない問題ですが、こうしたトラブルが起きるたびに「管制官」や「パイロット」の個人の力量や注意力ということが問われがちです。

しかし、「管制」システムの要となる「管制官」の置かれている状況は、どういうふうになっているか、と言うことにあらためてスポットを当てる必要があるのではないでしょうか。国交省航空局は、

・管制官一人で何機の離着陸誘導を行っているのか、

・各空港の人員配置は適正なのか

などを整理し、「公開」することが緊急に必要と考えます。

カナダ機 管制官指示を復唱せず 関空無許可進入 事故調が本格調査

   【産経新聞 2007/10/22 大阪夕刊 第1社会 11頁 554字】 
 関西国際空港で20日、日航機の着陸滑走路にエア・カナダ機が進入したトラブルで、管制官からの指示をパイロットが復唱する際、意味が理解できれば同じ言葉で復唱していないことが22日、分かった。国際的なルールでは、パイロットは管制官の言葉をそのまま復唱することになっており、国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会はこうしたルールが日常的に守られていなかった可能性があるとみて、原因調査を進める。

 事故調は同日午前、3人の調査官を関西空港事務所に派遣し、本格的な調査を始めた。

 同事務所では、管制官が出発前の航空機に「滑走路手前で待機せよ(ホールド・ショート・オブ・ランウェイ)」と指示。これに対し、パイロットは通常、管制官と同じ言葉で復唱するが、今回滑走路に誤進入をしたエア・カナダ機は「ポジション 24レフト(A滑走路の呼称)」と管制用語ではない言葉で返答した。

 同事務所によると、「限られた時間内に多数離着陸が繰り返される実際の管制現場では、100%同じ言葉での復唱はしていない」としており、事故調はこうした現状の中で誤解が生じた可能性があるとみている。

 同事務所では、今月5日に大阪空港で全日空機が管制官の指示と異なる滑走路に着陸したトラブルを受け、19日に管制官とパイロットの交信内容の確認徹底などを決めたばかりだった。

大阪空港トラブルで特別調査チームを派遣へ 国交省
10/09 12:35
 大阪空港で全日空機が管制官の許可とは別の滑走路に着陸したトラブルで、国土交通省は9日、原因究明や再発防止策の策定のため、国交省航空局に特別調査チームを設置することを決めた。9日午後に発足し、近く大阪空港にチームを派遣、管制官や操縦士から直接話を聞くなど調査を始める。

 冬柴鉄三国交相が9日の閣議後の記者会見で明らかにした。

 大阪空港では9月にも日航機が管制官の許可なく滑走路を横断しており、国交省は短期間に管制トラブルが相次いだことを重視した。

 チームは航空局管制保安部の参事官を筆頭に5人。調査では、ヒューマンエラーなどの人的な要因とともに、管制システムの中に構造的にミスを起こしやすい原因がないかを点検。これまでの「ヒヤリハット情報」も分析するなどして、再発防止策に生かす。

 また、離陸直前の旅客機の前を別の旅客機が横切るトラブルが6月にあった新千歳空港についても、今回の調査の成果を生かしていく方針。

 大阪空港のトラブルは今月5日午後5時45分ごろ発生。全日空機は長さ約1800メートルのA滑走路に着陸する予定だったが、管制官は同約3000メートルのB滑走路への着陸を許可。A滑走路に着陸するとの操縦士の復唱も聞き逃し、同機はA滑走路に着陸した。

~一人で15機を担当していた、スイスでの空中衝突事故!

   管制一部民営化に危険な香りも~

空中衝突事故 スイス裁判所、管制会社管理職4人に有罪判決
 
  Date : 2007/09/05 (Wed)

スイスの裁判所は4日、2002年7月1日にスイス上空でロシア機と貨物機が空中衝突した事故で、航空管制会社スカイガードの管理職4人を有罪、管制官4人を無罪とする判決を下した。空中衝突した2機はドイツ領に墜落、スペインでの休暇に向かうロシアの子供たちなど、71人が犠牲となった。

訴追された8人全員が無罪を主張したが、管理職3人には禁固刑、残り1人には罰金が言い渡された。8人の内7人は、判決までスカイガードに勤務していた。管理職を有罪とし、管制官を無罪とした判決が象徴するように、「怠慢の文化」が事故を引き起こしたとする検察側の主張が認められた。

事故当時、ひとりいた管制官が15便を担当、118回の交信をこなした上、1便を着陸誘導していた。後にこの管制官は、事故で2人の子供を亡くしたロシア人の父親に、自宅で刺殺されている。スカイガードは当時、規則には違反しているが、管制官ひとりで業務をこなすのは普通だと主張していた。

【航空事情】より

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