世界の歴史を知らずして

~「グローバル」と言う言葉ばかりがひた走る現実~

受験に必要な科目ではないから「世界史」など学習する必要はないということが起きていることを知って「愕然」としました。

かつてロンドン郊外を列車でぶらり旅をした折に、車中のコンパートメントで高校生達と一緒になり、「世界の話、あれこれ」のトークになりました。特に政治情勢に触れた時、「中曽根首相は××と言っている。」など知識の豊富さ、「自分なりの意見」を持っていることに感心させられました。一方アメリカなどでは、テレビで放映されているニュースの大半は、「国内で起きている衝撃的な、特にバイオレンスがらみ」と言うのが実態です。客観的な国際情勢を知らされていない国民は、9.11後も、「いいことをしてあげているのに、なぜアメリカが憎まれたりしなければならないのか?」という感覚が一般的だったというのもうなずけるものがありました。

2006年の今、航空は、かつてでは考えられないほどの「低額となった運賃」「door to door ではるかなヨーロッパ・アメリカへも直行できる利便性」、インターネット・衛星放送などでは、瞬時に情報を共有できるまでに来ています。そして巷には「グローバル」が溢れ、子供でも知っている言葉にさえなってきています。

さて、日本のことに思いを返せば、私の高校時代の記憶でも「現代世界史」についてはだいぶ薄められた授業になっていたような気が致しますが、「必要がない」などと公言されることなど決してありませんでした。

言わずもがな、国を越えて「互いを理解する」こととは、相手の「歴史」を知ることからはじまります。氷山の一角から日本全体に広がっている「憂うべきこの現実」、世界を知ることから避けて育ち、やがて社会へ、企業へはいり、その現実のまま多くの国の人と接して行く、考えただけで背筋が寒くなります。

与党から「愛国問題」を中心に「教育基本法の改正」が提起されている中、この実態の改善は緊急に行われなければならないと感じます。現実的な対処としては、卒業後でもOKという義務つけを付加して「卒業」を認めることではないでしょうか。本来の教育は「世界の歴史」を学習することですから、受験対策一辺倒となって来ていた現実の認識についていえば、もともと文科省・教育委員会の指導の甘さ、現況把握のいいかげんさにその元凶はあり、また、有名大学合格率競争に負けて本来の教育のあり方から離れてきた学校関係者、の責任は大きく深いものがあります。

関係各機関は、受験を迎えている生徒たちに過大な負担をかけない政治的判断を緊急に下すべきではないでしょうか。

<履修不足>350回の補習も 不安渦巻く生徒たち

 受験を控えた高校3年生を巻き込んで、全国に広がった高校の履修単位不足問題。伊吹文明文部科学相は27日、「(単位不足の高校生に)特別な配慮は難しい」と補習授業を厳格に実施することを求めたが、岩手県には50分授業を350回も受けなければならない生徒たちがいる。「そんなに受けられるのか」「受験に影響する」。生徒たちには不安が渦巻く。一方、北九州市の高校では補習授業が始まった。【門田修一、念佛明奈、古川修司】
 同日午前、伊吹文科相は「卒業証書を出すまでの間に学習指導要領に決めた通りの授業は受けていただく。特別な配慮は難しい。みんなが決めたルールを守るところから社会の秩序は成り立っている」と述べた。さらに責任の所在について「所管をしている教育委員会そのものに責任があるんじゃないか」と言及した。
 こうした文科相の発言を受け、各学校は来年3月までに厳格に補習授業を実施する必要に迫られている。
 しかし、盛岡市の私立盛岡中央高では、普通科特進コースの3年生51人の履修不足は10単位に上る。履修が必要なのは世界史B、家庭基礎、情報A、芸術の4科目。50分の補習を計350回受けなければ卒業できない。
 対応策について、3年生は補習やリポートなどで補充する予定だが、生徒の負担を軽減する措置を検討中という。富澤正一校長は「学習指導要領にのっとらなかったことは悪かったと思っている。しかし生徒のためを思って、進路目標を達成させるためにやったことだ」と強調する。未履修科目の授業時間には受験に必要な科目の授業をしていた。少なくとも97年ごろから行っていたという。
 女子生徒(18)は「仕方ないと思う。はっきり言って私たちの責任でもないです」。別の女子生徒(17)は「補習は受験が落ち着いてからやるという話もあるけど、国公立の後期は長引く。大学に合格した人と落ちた人がまた集まって一緒に補習するのは嫌だ」と話した。男子生徒(18)は「どこの学校でもやってたわけだし、大学入試制度が変わらない限りどうしようもない」と語った。
 愛媛県立八幡浜高の普通科3年生198人は、世界史や政治経済など必修2科目で計140時間分を補習などで補う。国立大の推薦入試を受けるという理系の女子生徒(17)は「友達の中には負担に感じて泣いている子もいる。センター試験が終わった後に補習してほしい」と話した。同校は冬休みなどに補習を行うという。
 一方、北九州市八幡東区にある私立の九州国際大付属高男子部は26日から、世界史や地理などの必修科目を履修していなかった3年生の補習授業を始めた。
 同校によると、3年生322人のうち、社会系科目の補習が必要な生徒は150人程度、卒業には最低でも70時間の補習が必要という。今後は1日2時間程度の補習を実施し、受験シーズン前までに終了させる。
(毎日新聞) – 10月27日23時28分更新

2 thoughts on “世界の歴史を知らずして
  1. 世界史を知らずして、という秀島さんの意見にはまったく同感。グローバルの世界でビジネスをしていくとき、その国の歴史と宗教の変遷を知らずして、相手のことは理解できない。今日どこの国でも宗教には皆無関心になりつつありますがアメリカであなたの宗教はと聴かれ、仏教と答えると「それは何宗ですか」と聞かれて答えに窮したという話がありましたが、「井の中の蛙」の行動はなかなか変わらない。教育でも今回の歴史問題
    をおおげさに騒ぐが、本来の教育問題の根っこの部分を早急にスケジューリングしてグローバル世界に通用する人間を育てるのは益々時間がかかるようになるのでは。

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