「フライト」にすべてをかけて!!

 
          ~クルーと乗客は、運命共同体です~
ちょっと前に「グッド ラック」というドラマがありました。確か30%以上の視聴率を上げたと聞いています。あのドラマは、それまでの航空ものといえば、「アテンション プリーズ」「白い滑走路」「スチュワーデス物語」のように、パイロットとCAをモチーフにしたものでした。ところが、このドラマの場合、勿論主人公達の恋愛も絡んではいるものの、地味ながら大切な役割を果たす「メカニック=整備」に正面から光を当てたこと、同時に「メカニック」「パイロット」「CA」のティームワークがあって初めて「安全運航」が存在するということ、更に、パートこそ違っても、フライト オペレーション(運航)には「プロとしてのプライドと真剣さ」が求められているということ、を描き出すことに成功していたと感じます。ここに視聴者は新鮮さとリアリティーを感じたのだと思います。
 
さて、「飛行機は、事故を起こすと大変だけれど、事故にあう率を較べれば、限りなく安全と行ってもいいんじゃないか」いうことをよく耳にします。事故のパーセンテージから言えば、確かにその通りだと思います。しかし、忘れてはいけないのは、、車の事故は、怪我をしても命を失うことが大半というわけではありませんが、超高速で3次元の空間を飛行する航空機の場合、空中,離着陸時にで事故を起こせば、生還する確率は残念ながら著しく低いということです。
その点、やや大げさに言えば、飛行機に乗務する乗員(パイロット・C/A)にとって、一つ一つのフライトは、まさに「フライトに、瞬間に、命をかける」仕事場といっても過言ではないでしょう。
晴天乱気流を初めとした気象の変化、不測の故障、ほんのちょっとした「ミス」や「油断」から超高速ゆえにシリアスな事態を招きかねません。永年フライトをしている者からすれば、「乗客と一緒に死んであげる」のではなく「可能な限り安全を阻む要素を排除して、乗客の命を守る」を使命と心得ているに違いありません。なぜなら
そのことが、そのまま自分を守ることに直結するからです。勿論、メカニック サイドは、胸をたたいて「安全には自信あり」という航空機を送り出したいと願っていることと思います。
この流れを「オペレーション=運航」といい、どこにも「死角がない」と確信が持てて、初めて「安全運航」というのです。
さて、運航上のトラブルやミスが相次ぎ、3月に事業改善命令を受けていた日本航空は4月14日、再発防止策を北側一雄国土交通相に提出しました。このなかで日本航空新町社長は、「時間厳守よりも安全を優先すべきだった」と唇をかんでいたということです。
安全より定時制を第一にしてきたことを、初めて公式に認めたものです。
言葉の通りとすれば、一分でも多くシップ(航空機)を地上におかず空中で稼動させようと、その道の担当が工夫している上に、遅れ遅れで来たシップを定時に出発させようとすれば、メカニックは整備をあせることは必至です。パイロットは、一刻も早くテイクオフしなければとあせります。客室乗務員は、定時制重視の指示で保安任務手順を混乱させられます(従来、脱出装置のモード切り替えは機体がゲートを離れる前に行われていた。しかし、出発を数分でも早めるため、2月から、機体がゲートを離れてからでも可能なように手順が変更されていたことが判
明。このため客室乗務員は、手荷物の収納や旅客対応に追われるうち、切り替えを忘れていたという。)事態を呼んだこともうなずける気がいたします。
では、航空会社は、とりわけ日本航空は、これまで「安全運航第一」と言ってこなかったかといえば、そんなことはありません。常にこのことは大上段に表明してきたことを、誰もが知っています。それだけに「本当に真剣に改善をするのだろうか?」と懐疑的に見る方もあるでしょう。
かつては、「安全運航に祈りを込めて」という社内フレーズもあったと聞いています。
枕詞(まくらことば)としてのスローガンや祈るだけではなく、ワッペン・シールのたぐいでごまかすことなく、具体的に改善することが、今や日本航空だけでなく、航空全体の信頼を回復する唯一の手段となってきました。
「安心して乗れる航空を!」と望む利用者の期待に応えられるよう、航空の奮起を望むものです。