JR西福知山線事故から2年。            公共交通機関のあるべき姿が問われている!

~「安全第一」と言う掛け声も虚しく~

2005年4月25日に起きた鉄道として最悪の「JR西日本福知山線事故」から2年が経過しました。

公共交通機関としての、「安全への反省」「安全への抜本的改善策」に誠意が見られないとして、犠牲者のご遺族からは、なべて不満の声が聞こえます。

その特徴は、JR西日本の経営陣は時間の経過するほど「利益優先」「事故を起こした根本にメスを入れようとしない無責任」さが浮き彫りとなり、「掛け声と実態」の差に反発が強くなっています。責任を取ったはずの役員がちゃっかり子会社の社長に納まったりはその実例です。

悲しみの2年語り合う/JR西の対応批判も
         四国新聞  2007/04/25 17:42
 尼崎JR脱線事故の犠牲者を慰霊し、鉄道の安全を訴える「追悼と安全のつどい」が25日午後、兵庫県尼崎市の市総合文化センターで開かれ、遺族らが事故から2年たっても消えない悲しみや心情を訴えた。 つどいは遺族らでつくる「4・25ネットワーク」が主催し、遺族や負傷者ら約350人が参加。遺族と負傷者計11人が壇上からそれぞれの思いを語り、JR西日本の対応を批判した。

 ネットワーク世話人の1人、木下広史さん(48)=同県三田市=は、亡くなった長男に「なぜ犠牲にならないといけなかったのかを報告したい」と考え活動に参加したと説明。 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の意見聴取会で、「日勤教育は有用」などと自社弁護に終始したJR西を「自らの保身と企業防衛そのもの」と批判した。

 2両目に乗車し重傷を負った小椋聡さん(37)=同県西宮市=は事故後ほとんどの休日を、犠牲者の最期の乗車位置を特定する活動などに充ててきた。「負傷者本人が最後まで納得いく治療が受けられるようにしてほしい」とJR西に誠意ある対応を求めた。

遺族への補償問題も解決が長引いています。まさに、誠意の所在を問われる問題といえます。

「空」でも続く、「掛け声ばかり?の安全第一」~

Jal_16_360_270_1   

4月18日に北海道放送(HBC)で「JALの航行中の部品脱落トラブル」について報道がありましたが、4月25日TBS「JNNニュース」でもこの内容が報道されました。

B777_aerodynamicseal 航行中の新千歳発那覇行きB777から、部品が脱落。この模様をたまたま目撃していた乗客がビデオでつぶさに撮影しました。不安に思った乗客は、すぐに「客室乗務員」に通報したものの、操縦席からの「アナウンス」もなかった、また到着後も「再度目撃状況を伝えた」のだが、その後「JAL」から連絡もお詫びもなく、「トラブル隠しでは?」と思った当該の乗客がテレビ局に相談した模様です。

HBC(北海道放送)によれば、この問題についてJALに問い合わせたところ、当初は、「部品はラバー製エアロダイナミックシール」「飛行に影響はなく、無い状態での 就航も内規で認めている」「この部品の脱落は他社でも起きていて、ボーイング社も含め対策を検討中である」としていましたが、最終的に「ラバーシールの脱落は問題と考え、対策に取り組んでいる」「どんな部品であれ、落下してはいけないと考えている」との回答を得たと聞いています。

~問題は、「安全への姿勢」と言う指摘も~

同機材を運航しているANAへの照会によると、「この部品の脱落は、2005年に解決。その後の2年間発生していない」とのことですから、JALの「ボーイング社を含め対策に取り組んでいる」と言う回答がどうも合点がゆかないものを残しています。

それよりも、大きな問題は社会的に言えば国交省から「事業改善命令」まで受けて、その後「安全への姿勢」がどういうものなのか、注視の的となっている中で、この処置の仕方は、褒められたものではないと思えます。

乗客から通報を受けたときに、「客室乗務員」はどうしたのか。すぐさまコックピットに報告をしたのだろうか。周りの乗客へのパニックコントロールはどのようにしたのだろうか。報告を受けていたとすれば、コックピットはなぜなにも反応しなかったのか。到着後、報告を受けた整備関係者はこのことをどう捉えていたのだろうか。本社サイドとして総合的にどう取り扱ったのだろうか。ビデオ撮影までされていた事態を知った後の広報対応は妥当だったのだろうか。「エンジン左右逆に取り付けたまま半年も運航していた」事態発覚のとき、広報第一声は「運航の安全上問題ない」としたことが、どれだけ不信を買ったのかと言う自覚はなかったのだろうか。

「たいした問題ではない」としても、日本を代表するエアラインとしては、「第一声に」「大きな声で」ひたすら「恥ずべきことです」と認めなければ、いけないのではないでしょうか。

「安全第一」とは、形ばかり、と言われないためにも、緊張感を持ち、謙虚な姿勢が求められているのではないかと思います。これは、現場というよりも「そういう気分」が持てる社内環境を整えねばいけない経営陣の問題です。

鉄道も航空も「公共の交通機関たる会社」は、メディアや銀行や株主からどのような突き上げがあろうとも、断固として実態的な「安全確保」を遂行するべきと考えます。利用者からの絶大なサポートと信頼を得るには、そうした道に踏みきるべき時期に来ているのではないでしょうか。

2 thoughts on “JR西福知山線事故から2年。            公共交通機関のあるべき姿が問われている!
  1. JALのB777の翼部品の脱落は大したことではない、と断定する神経にはおそれいる。部品の脱落はたしかに多いが、通常ではないことを知る神経であって欲しい。とくにこのたぐいはパイロットが機外へ出て直せない問題であるので、整備は念入りに願いたい。ラバー部品は上空で超低温にさらされるのはわかるが。

  2. おそらくこれは内側のエルロン(高速低速どちらでも機体を旋回させたりする舵面、フラッペロンと呼ばれるもの)のラバーシールで通常はレールにはめ込んだ上、耐食合金の針金で抜けないようにしっかり処置するはずなのですが・・・・

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です