ここのところ、「航空事故」が続いていますので、今回は少し辛口で、お話してみたいと思います。
「JAS機」の問題ですが、ジェットエンジンの同じ箇所・同じ部品で亀裂が発見されたということで、報道の多くは、「もともとの構造上に問題があったのでは?」という方向の指摘が多くなっています。しかし、同型機が世界で約1000機運航されているというなかでJAS社の保有機はわずか25機です。そのうち15機にもシリアスな事態が起きていたのです。一方、エンジン製造メーカーである「プラット&ホイットニー社」は、「過去に同型エンジンで同様の損傷が起きた報告は、寄せられていない」としています。また、335機を運航している「アメリカン航空」でも過去9年間で同じようなケースは5件しかないということです。なぜ、日本のJASの飛行機にばかり、シリアスな事態が起きていたのでしょうか。また、なぜ、定期点検で発見もされなかったのかでしょうか。
これは、誰でも不思議に思います。
エンジンを分解しての点検は、エンジン製造会社にまかしていたから、わからなかったのだろう、というのが業界の見方とも言われています。
調べてみますと、JAS社をはじめとして他の航空会社も「事業の伸びに比較して整備にかかわる費用」は、この数年大きく減少してきています。
これは、乗る方(旅客)からすれば大きな関心事です。なぜなら運賃の中には「十分な安全」を保障してもらう費用も入っていると信じているからです。
今後、利用者としては、いつまでも「飛び切り安い航空券」を求めるよりも「リーゾナブルなプライスでも、安心して乗れる航空会社」を選ぶ眼を、磨いていく必要があるかもしれません。
このことが、「安売り」や「目先のキャンペーン」でつぎ込まざるを得ない環境を、本気で「安全性」で勝負しなければならない航空界に変えていくことになると思います。
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☆ 大空のファンタジー ☆
「洋行」「渡航」「舶来」といった言葉たちは、もはや、死語化しているというのが共通認識なのでしょうが、私は、御先祖様の頃からの“島国ニッポン”のと外つ国への強い好奇心と切ないあこがれを表している様にも思え、いまだに愛着を感じています。
もともと「船」で始まった「洋行」なのですが、時の移ろいは、その主役の座を、「飛行機」へと受け渡しました。スターボードサイド、ポートサイド(皆さんが搭乗する側です)シップ(機体)パーサー(事務長)などの言葉は、船からそのまま受け継いでいます。そして、日本人のヤマトごころは、世界から見れば「異常に探究心の強い民族」とみられるほどに至っています。これまで、この国が、どんなに好不況の波に揺られ揉まれても、他の産業が落ち込んでも、航空産業だけは、右肩上がりを長い間続けてこられたことからも、その底力が伺えます。
~夢が現実へ手繰られた時~
「世界中どんなところにいっても、日本人を見ないことはない。」という世界の定説ができるまでの裏側には、乗員・乗客両面のドラマがありました。プロペラからジェット機に変わっても、「運賃が高い。」「海外渡航の制限」という枠があり、海外へいくことは夢のまた夢でありました。「×××を飲んで、ハワイへ行こう!」の名キャッチフレーズや「アップダウンクイズ」の目玉賞品はハワイ旅行でした。今では考えられない価値がそこにはありました。そして、プレスリーの映画「ブルーハワイ」が火を点け、熟成した、ハワイ願望は、「海外旅行」と「ハワイ」は、同義語かと錯覚するほどに育ちました。更に「日本国ハワイ県」状態は、現在でも依然衰えを知りません。また、アメリカの象徴といえば、遠い「ニューヨーク」ではなく、堀江青年が、裕次郎さんが、潜り抜けた金門橋の「霧のサンフランシスコ」でもあったのです。ここはゴールデンブリッジではなく、あくまで金門橋のイメージです。
しかし、B-747いわゆるジャンボ機が出現したことで、この状態は、一変しました。グループ運賃の導入で世の中が変わったのです。「誰でもいける海外、手が届くハワイ」となりました。
一方で、迎える機内も、ファースト・ビジネス・エコノミーのスリークラスとなり、快適性の差別化もされてゆきました。
~クルーの世界にも、新たな波が~
そして、利用客の激増は、航空会社の便数増であり、これに対応して乗員・乗務員も大幅に増やさなければなりません。運航乗員(パイロットなどのコックピット クルー)のリクルートは、それまでアメリカのパイロット派遣会社から派遣してもらう、自衛隊から募集する、航空大学校卒業者を採る、しか選択肢がなかったのですが、航空会社が自社養成する道も開きました。客室乗務員も1年に一回の採用では足らず、年に何回も募集し、採用するようになりました。普通の大学を卒業して入社したパイロット候補たちは、はるかカリフォルニアのナパ(あのカリフォルニア ワインで有名なナパです。)でプロペラの小型機から始まる長い訓練を受けて、厳しいチェックをパスしていかねばなりません。休みの日といっても周りに遊興施設などあるわけもなく、唯一ストレスを解消するのは、ゴルフでもするしかない環境だったようです。一般的には、羨ましい話といえますが、ご本人達からすれば、閉じ込められた中での工夫というのが実態でしょう。現在でも、キャプテン(機長)には、とんでもなくゴルフの上手い方が多いというのも、どうもその源流はここにあるようです。また、客室乗務員(スチュワーデス/キャビン クルー)に求められていたものも、変化しました。「あなた方は、外国へ出たら、民間の外交官なのです。皆さんに見られている事をいつも忘れないように!」ということが、基本的な教えとされていました。こんにちでは構え過ぎといわれてしまいそうです。客室乗務員訓練に先行して、国際人としてミニマム必要なマナーと知識」などをじっくり時間をかけて教えていた訳です。
~さま変わりする「機内の模様」~
これまで航空会社の現場では、機内で受け取る「コメントカード」は、「ビジネスクラス」からが大半、というのが一般的認識でしたが、最近では、若いエコノミークラス客からの「苦情・意見・コメント」が圧倒的に増えてきたといわれています。確実に全国民的に旅慣れてきた証拠でもあり、エコノミークラスといえども「遠慮なく苦情を言う」ふうに変化してきたように思えます。また、パッケージより個人旅行、代理店を通さず、インターネットで旅を選び予約する傾向は一層強くなってきています。
ドラマの効果もあって、パイロット志望者は跳ね上がりました。「外国へいける」という客室乗務員の特権も、誰でも手軽に海外へ行けるという中で、やや色褪せてきたのでは・・。と思えるのですが、今でも希望者は殺到しているようです。
どうやら「大空のファンタジー」の魔力は、旅客もクルーも、触れてくる者、みんなを捕らえて、放さないようです。
星降る夜に!(19)「瀕死の白鳥」を舞う時も・・・。
~体力・知力のギャレリーナ~
前夜、お話しましたように、当然のことですが「ギャレリーナ」は、ギャレーにおります。
機内の各ギャレーには、ギャレーデューティーという担当C/A(客室乗務員)がアサインされています。日本の場合は、かつてはスチュワードが主に担当していました。カンタス航空などは、これらの仕事は「力仕事」「バックヤード(裏方)と位置つ゛けて、多くの男性乗務員を今でも配置しております。食事のトレーが満載されたミールカートは100キログラムにもなり、女性にとって狭いギャレーで移動するのは、「腰痛」の主たる要因とさえなっているくらいですから。
しかし、日本の航空会社では、ジャンボ機による大量輸送がはじまってからというもの、女性乗務員もキャビンで笑顔を振りまくだけでなく、次々に台所・キッチン・厨房といわれたギャレーまわりの仕事もこなすこととなりました。
ジャンボ機でも古いタイプでは、ギャレーとキャビンを担当するC/Aとは、まったく任務は別です。厨房=ギャレーを守り、食事前の飲み物サービスの準備から始まり、ステーキ、チキン、魚などメインDISHの暖め、食事トレーへの盛り付けなどを100分人以上用意しなければなりません。そして食事の進行状況を見ながら、ベバレッジ(食後のコーヒー、紅茶、日本茶)などをコーヒーデキャンター、テーポット、どびん、などを中味を満たして「大量」に準備しておかねばなりません。
外国人は、食事中は殆どこういうベバレッジは飲みませんが、日本人の文化としては、食事に日本茶という習慣も大いにあります。
搭乗している旅客の客層を見ながらその種別・量を調整しながら準備するのもそのフライトのギャレー担当の腕ともなります。
更に、1度目の食事サービスが終了すれば、次のサービスへの仕込み(準備)が必要で、これも任務の一つです。新しいお絞りを用意しいつでも使えるように暖めておく、食事後の食事カートと次のサービス用の食事カートの位置を交換しいつでも取り出せるようにしておく。不足してきたアイスキューブ(氷)をサプライ(補給)しておく。2食目、3食目の食事を収納してあるカートに一定の温度を保つために、ドライアイスを補給しておく。
ざっとあげただけでも目の回る忙しさです。大体新人C/Aはここから修行が始まり、ある程度接客方法も身につけてきて始めて、キャビンへ出してもらえるようになるのが、一般的プロセスです。
もともと、飛行機は主にアメリカで製作されていますから、よっぽどお金をかけて特注(機内仕様のことをスペックといいます)しない限り、ギャレー内の収納スペース(要するに棚です)や、機内持ち込みの手荷物の収納場所(オーバーヘッドストレイジビンといいます)の高さは欧米人用に作られています。
C/Aの採用要件に「身長のこと」が永遠につけられているのは、まさに機内で十分役に立つ者をもとめているからに他なりません。また、ひとつのギャレーに向かい合わせに収納する場所があり、サービス開始後はまさに、「戦場」です。
この時、ギャレー担当は、「ひらひらと舞うがごとく」活躍しなければなりません。これにて「ギャレリーナ」の語源がお解りいただけたかと思います。
さて、次の折にはギャレーは、「情報センターでもある」ことをお話いたしましょう。
星降る夜に!(18)大空に舞う「ギャレリーナ」のはなし
~OVER SEAを飛ぶときは・・・~
家庭やレストランで、食事を調製する場所をキッチンといい、日本語では「台所」とか「厨房」と呼んでいます。
ところが、機内では、どういう歴史があるのかわかりませんが、ここだけは日本語化されていません。
航空業界ではグローバルに「ギャレー=GALLEY」と呼ばれています。
例えば、航空機内で頻繁に使われる言葉を上げてみますと、キャビンは客室、コックピットは操縦室、フライトプランは飛行計画、パックス(パッセンジャー)は旅客、など、必ず日本語を宛てる場合はこれというのが存在します。よく考えて見ますと、日本語にしない(できない?)まま使われている数少ない名称かもしれません。
さて、ギャレーの話に戻ります。ボーイング747、いわゆるジャンボ機ですと、アッパーデッキ(2階席)にひとつ、機の先端にあたる「ファーストクラス」に一つ、そしてビジネスクラス中央前方よりに一つ、エコノミークラスに一つ、計4箇所あります。
ここに、機内でサービスされる「食事」「飲料」のすべてが収納されています。10時間を越えるような長いフライトですと、いわゆるヘビーな食事(ランチ、ディナー、一部ブレックファスト)のうち2食と更に軽食、計3食が、少なくとも乗客の人数分は、搭載されている訳です。
従って、ここは機内サービスの根拠地といえるでしょう。
昔から、これは、「客船」でも「軍隊」でもいえることですが、一見地味に見えるセクションなのですが、一番賑わう場所でもあります。
「ギャレリーナ」という言葉は、死語となってからだいぶたちますが
「ギャレーで活躍するお嬢さん達」と受け止めていただければよろしいかと思います。では「ギャレー」を舞台にどんなことが展開しているか、
次の「☆降る夜に!」ナイトフライトのつれつ゛れでお話させていただくことと致しましょう。
星降る夜に!(17)「マグダネル・ダグラス」と「ボーイング」そして『エアバス」
今週は、ヒコーキ好きで、旅なれている読者の皆さんにちょっとお話をしたいと思います。
新年早々、JAS機の事故がありましたが、あれはマグダネルダグラス社(現ボーイング社なのですが)のMD-81、あるいは87シリーズでした。エンジンも2発で主に近中距離用の仕様です。私が、JALで青春を乗務したのが、マグダネルダグラス社の長距離仕様4発エンジンのDC-8シリーズでした。(30,50,62,61シリーズなど)
ジャンボ機を数多くフライトした後でも、乗務員にとっては、使い勝手のよさという点で今でも、「名機」だったと思えます。この頃、パンナムはじめアメリカ大手各社はボーイング707を使用しており、収容旅客数もファースト/エコノミークラスで130人程度で拮抗し、使用機材としては世界を「B」か「DC」で二分していたものです。エンジンはちなみにプラット&ホイットニー社のものでした。ダグラス系統で、今も国際線で活躍しているのが、「DC-10」「MD-11」です。どちらも足は短い(航続距離)ほうですので、DC10は東南アジアが中心ですが、ハワイにも行っています。
MD-11 は、成田/チューリッヒ、クアラルンプール、シンガポールなどに飛んでいます。ただしMDでヨーロッパへいく場合、後発のジャンボ新鋭機747-400には先着されてしまいます。
そして今、世界の民間航空機シェアーの争いは、アメリカの巨大企業「ボーイング」とヨーロッパ連合「エアバス」にしぼられているといっても過言ではありません。
かつては、ボーイングが大量輸送の大型化、エアバスが「小回りの利く中型小型、と「スピード追求のコンコルド」の路線でしたが、いまや逆転現象も起きているといわれています。不況に対処するには、地方空港からハブとなる大都市へのフライトに需要が高まっています。
これは中型機が搭乗率が低い時でも経済効率がたかいことが大きな要因です。もちろん運航上のハイテク化も進み、ボーイングでは、737,767、そして究極のハイテク機といわれている777が活躍、エアバスはA-300シリーズ。
さて、旅客の快適性の点で、ジャンボ機と中型機との決定的な差は、天井の高さにあると思います。これは只でさえ長時間閉じ込められてしまう機内での閉塞感を、大きく開放してくれることになります。
また、一見無駄なスペースとも見えるユーティリティーが心をほっとさせます。
客室乗務員から見ると、概してジャンボ機以外は、ギャレーが狭かったり、裏方仕事の横が旅客の通路になっていたりして、使い勝手が悪い!と不人気となっています。コンパクト化するということは、無駄なスペースをなくするということですから、旅客からも乗務員からも余裕を奪っていっているともいえます。
