~国交省が部品交換を指示していた「エンジン」に~
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8月12日にまたもJALグループのJALウェイズのフライトで重大なトラブルが発生しました。
福岡発ホノルル行きの58便、器材はDC10です。離陸時に左翼のエンジンから火が上がり、左翼エンジンをストップしました。同機は、フューエルダンプ(翼内に満タンとなっている燃料を上空をまわりながら廃棄。30分~40分かかる。これは、着陸のためのバランスを調整するためにどうしても必要です)し、右翼のエンジンと後部のエンジン2発で40分後に無事着陸しました。
しかし、乗客に大きなパニックを与えたことも大変ですが、エンジンのタービンブレードが破損して、600個以上の高熱となったニッケル合金の破片を直下の市内に撒き散らす結果となり、幸い軽症ではありましたが、2名が怪我、車のガラスや車体に被害が出ました。約150メートル上空からの金属落下は、当たり所によっては、死亡に至ることもありシリアスな事態となりました。
~今年6月にも名古屋で起きた事故と酷似~
DC10型機エンジンの損傷状況が、01年6月に名古屋空港で起きたDC10の部品落下事故とよく似ていることが分かりました。エンジン前面にあるファンブレード(回転翼)に損傷はないため、外部から異物を吸入したのではなく、中・後部のブレードが破損し、異常燃焼を起こした可能性が強いという状況です。日本航空は今後、エンジンを詳細に調べ、破損個所を特定するといっています。
日本航空は12日午後8時20分に同機が福岡空港に緊急着陸後、出火した左主翼下の第1エンジンの調査を始めました。その結果、空気を内部に送り込む役割をする回転翼の「ファンブレード」に損傷はないことが分かったそうです。離陸の際などに航空機のエンジンが鳥などの異物を吸い込み、故障することがあリます。私も同じDC10型機でバンコック離陸時に「バードストライク」を体験しました。「ドン」という音とともにエンジンが機能を停止してしまい、今回と同じように、フューエルダンプの後着陸しました。こうした場合は前方のファンブレードにも傷がつくのですぐわかるようです。![]()
エンジン最後部の排気ノズル内にブレードの一部とみられる金属片が残っていました。これらはファンブレードの後ろにあり、空気を圧縮して燃焼室に送る「コンプレッサーブレード」や、燃焼室の後ろにあってエンジン機関のタービンを回転させる「タービンブレード」の破片の可能性が高いということです。
名古屋空港の事故では、日本航空のDC10が離陸直後にコンプレッサー、タービンブレードの破損を起こし、多数の金属片が地上に散乱。日航などの調査で、ブレードなどに開いたごく小さな穴が原因となってエンジン内の温度が上昇し、タービンブレードなどが折れたとされました。
今回の事故後、機長は「エンジンの排気ガス温度が上昇し、停止した」と話しており、何らかの原因でエンジン内部が高温になった結果、多くのブレードが破損した可能性が出ています。
また更に、この同型エンジンについては、5年以内には、部品を、交換するように国交省から指示が出されていたということです。つまり指示は「5年以内」ということだったので実施されていなかったということのようです。
更に、付け加えれば、このDC10型機、もとJASのMD81,87型機、A-300型機と同様に、来年3月に退役を予定したものです。ちなみにこのDC10は1980年2月に製造され、6万599時間稼動されています。25年使用されました。
☆☆☆問題点☆☆☆
~いくつかの「疑問や不信」が浮かびます~
①交換.指示が出されている部品を5年といわず、なぜ早急に交換しなかったのでしょうか。
一度名古屋で類似事故を起こしていることを見れば、国交省の上を行く対応が必要だったのではないか、と感じます。なお、このエンジンはもう生産されていないので各パーツを集めて組み上げていたとの話もあります。
②これまでJAS運航下にあったころ、MD81/87機は「エンジンにクラック」が入っていたにもかかわらず、
スコープによる調査で問題なしとして、現在も同型機の運航を続けている、エンジンをとり下ろして徹底的に調査すべきだったのではないだろうか。
③プラット&ホイットニー社のエンジンは、このDC10型機、MD81、87型機にとどまらず、JALでは、最新鋭のB-767、B777にも多く使われています。パイロットたちからの声を聞くと、「GE」のエンジンの方がポテンシャルが高く、とりまわししやすいのに、なぜトラブル多く、推力も劣る「プラット&ホイットニー」を使っているのかという疑問も上がっているようです。
航空機をオーダーする場合、機体にはどのエンジンを装着するかで「GE(ジェネラルエレクトリック)、ロールスロイス、プラット&ホイットニーから選択することが出来ます。
④~整備体制が縮小、縮小で、きていた~
機付き整備士
御巣鷹事件後の安全へのひとつの反省としてかつては、「機付き整備士」の制度が一定期間機能していました。これは、それぞれの」航空器材の「主治医」制度でもいありました。しかしコスト削減を断行する日本航空は、
一人が1機の体制から一人で2~3機を受け持つように水増しされ、遂には3年ほど前に廃止されてしまいました。
参考:http://hideshima-issei.air-nifty.com/blog/2005/04/post_db84.html
http://hideshima-issei.air-nifty.com/blog/2005/04/strongstrong_dff1.html
http://hideshima-issei.air-nifty.com/blog/2005/04/post_be3f.html
http://hideshima-issei.air-nifty.com/blog/2005/04/strongstrong_9e44.html
⑤事件・事故のあった後の対応
8月13日にキプロスので起きた墜落事故後、社会の反応(乗客)は、当然のことですが、「厳しく」乗客は、同型機には「登場拒否」、乗員も拒否をしました。
やむなくヘリオス航空は、同型機(B-737)の運航はすべて停止しました。
⑥一方の日本では、今回の事故は、国交省は『「航空事故」「重大インシデント」には当たらない。ただの運航イレギュラーとというカテゴリーなので、「事故調査委員会」を派遣もしない』という声明を出しています。
これには、「怪我人まで出た事故なのに、なぜ事故調査委員を派遣しないのか、」と「麻生福岡市長」からも強い異議が挙げられています。
航空局の事件に対するカテゴリー分けは「航空事故」「重大インシデント」「イレギュラー運航」となっています。人身事故があった場合は、事故と扱うようですが、「重大インシデント」はひとつ間違えば事故というものを言うようです。「イレギュラー運航」の中には、空港内誘導路などで航空機が整備用の自動車などと接触して起こした破損事故などはこの範疇に入るとされていますから驚きですが・・。かように判断をどうにでも出来るかなりあいまいな基準で、「事故調査」の対象に当たるかどうかは決められているのです。市民から負傷者を出している、当たり所が悪ければ死亡に至った可能性もあるという事件だったわけですから、福岡市長が「徹底的に調査すべき」の声を上げるのも共感できるところです。
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最後に・・
では、JALが「事業改善命令」を受けた後、直ちに「航空機の運航に携わる現場」で何が改善されたか、あるいは「具体的改善の強い社命が下った」というはなしは現場から聞こえてきません。
★経営トップが220回現場と話をした結果として、最近出された「問題点」というのを拝見しましたが、
挙げられた項目は、現場なら20年も前から出されていたことで、知らないものはないという程度の内容です。
大事なことは、こうした問題を「知らなかった」として出されていることのほうが重大です。そんなはずはないと思いますので、こうしたアクションのひとつひとつが「形」だけのポーズになってしまうのではないでしょうか。
あるといえば、「安全は、最大のサービス」という合言葉をつくったということ、安全認識を目的とした「ビデオテープ」視聴の義務ずけしていることなどが、あるようですが、これとて、1970年代「ニューデリー」「モスクワ」「クアラルンプール」と連続事故を起こした後、スローガン「安全運航に祈りを込めて」「全員安全バッチの着用」で言葉だけの安全運動が行われたことを、相似形として思い起こされます。そして、1985年、8月12日520名の犠牲者を出した「123便ジャンボ機御巣鷹山墜落」の事故とつながっています。
今年3月に発表された、中期計画では、「整備の更なる外注化」をはじめとして、運航現場部門の人員削減が予定されていました。こんな事態を迎えて、内容はともあれ、せめて、「計画をいったん中止し、新たな安全確保の中期計画を組みなおす」ぐらいの大胆な姿勢を世に示していただきたいと考え込んでしまいます。
、「世界一の安全」というタイトルは、日本の空の誇りでもありました。「復活」へ向け、一刻も早く始動することを、利用者一同待ち望んでいるのではないでしょうか!!
この続きはまた次のフライトでお話したいと思います。
