~確かに衝撃を伝えてはいるのですが・・・・。~
興味深く視聴致しましたが、問題は、
●アジア・オセアニアのLCC(格安航空)が日本に飛来することは、10年も前から予測できていたのに、日本の航空の実態がなぜ対応できないようになってきたのか、については、「護送船団方式だったから」という一言で説明されているに過ぎませんでした。
政策を持って、日本列島近辺が軍事的な制約を受けて民間航空の航空路が狭くされていること、その結果、空港進入にもニアミスが多数起きていること、地方空港と新幹線・高速道路とのバランスが取れていないこと、離島などの生活航空路線についても問題が山積していること、首都圏空港つまり基幹空港の装備について、これまで築いたインフラをどう生かし、10年20年先を読みながらの計画が社会的に明らかにされていないこと、安売り競争の運賃破壊の中で、「安全」への規制は緩むばかりとなっていること、「燃油税など高すぎる税金」が「エアラインの競争力を著しく落としていること、
などなど、本来、航空全般を整備して後、全面「オープン」すべきだったところを、もう少し丁寧に伝えて欲しいと感じました。
その他雑感的に申し上げれば、
●成田・羽田を絡ませた路線には、巨大なJAL・ANAが既得発着枠を手離すこともなく、参入した中小エアラインは、初めから限定的な発着枠の中で戦わざるを得ないため、思うような収入が上がりません。その帳尻を合わせるためには、運航の安全に大きくかかわるコストをカットすることに走ります。国内LCCの代表格スカイマークは、「安全軽視に対して、事業改善命令が出ている」など「格安競争の脅威」だけでなく、「安全への脅威」を警告して欲しいものです。
●オープンスカイについては、地方空港に対しては、自民党政権化で「アジアゲイトウェー」と称する「オープンスカイ」が既に実施されています。
98も建設した地方空港の多くが、需要予測の半分も利用者がおらず、軒並み自治体含みで赤字。国が規制していた発着の権利を、空港やエアライン同士の話し合いに任せると「規制を緩和」したから地方空港もバラ色であるかのように宣伝してきましたが、集客力のない空港には、外国エアラインも就航をしないため、「規制緩和」もアジア格安航空の売り手市場と化しています。このあたりの突っ込みも。
●日本の国際線を持つJAL/ANAにとっても、アメリカとの不平等は、あまり、表に出されていませんが、日本にとってのホーム空港・アメリカにとっては、アウェーの成田空港の発着枠・発着スポットなどでは、結局は、航空局の手の中にあり、不公平はそのままなのです。
こうした不利を「抱えたままでオープン化しなければならない実態」については、深い説明はされませんでした。
アメリカの強い要求の下に、羽田・成田の自由化をした背景には、触れられていません。
●さて、「羽田空港国際化・ハブ空港化」ということが「標語」のように掲げられていますが、もともと日本の首都圏に「いくつの国際航空がある」ことが現在の日本にとってふさわしいのか、ひとつなのか、ふたつなのか、それとも三つなのか、国際的な立場で見れば政府の考え方も判然としません。
たとえば、「普天間」ではありませんが、「横田」や「厚木」があれば、重層な首都圏の空港群が構築されるでしょう。議論・提起の問題ではあると思えます。
羽田(東京国際空港)が新東京国際航空(成田の当時の呼称)にその機能を移したとき、なぜ今の「埋め立て4本滑走路の国際空港」化をしなかったのか、多くの人々の疑問を解くべき時期に来ていることも浮かびます。
折角、「航空政策の専門」という東京工業大学花岡准教授まで招いての番組ですから、永年の航空政策の誤りを明解に整理し、今後の「政策」はどうあるべきかと言う提起していただきたいと思いました。
以下は、2008年以前に書きました「LCC」関連のコラムの一部です。昨日今日に始まったことではないことがわかります。
「エル・シー・シー」 にざわめく日本。さて・・。LCCシリーズ
~「LCC」って、なに?~
大企業で働くエリート達は、運賃はやや高くとも「日本のエアライン」で世界を飛翔しています。××商事、○○銀行、△自動車、などなどが代表的です。社用で堂々と「エアラインの上顧客クラブ会員」となり、果ては「マイレージ」も自分のものと出来るのが普通です。土曜日曜に移動で休みもない、機内では、時差をものともせず「リポートつくり」など厳しい仕事ぶりではありますが、羨ましい限りとも言われています。
こういう環境では、航空券の値段は、あまり問題になりません。しかし、コスト管理を徹底せねばならぬ中小企業や、個人旅行者にとっては、もはや「格安航空券」は、必須の存在となっているのではないでしょうか。
、「安全」であってくれないと困るけど、「安ければ安いほどいいなあ」という需要はたかまるばかりです。
こうした動きは、世界的な傾向にあります。そして「格安航空会社」は、「LowCostCarrier」と呼ばれ、頭文字を採って「LCC=ローコストキャリア」が一般に通用しています。「ローコストエアライン=LCA」と呼ばれる場合もあります。
日本には、カンタス航空の子会社「ジェットスター」社が関西空港に乗り入れており、アジアの格安を肌で感じるようにもなってきています。ANAは、具体的ではありませんが、近いうちに「LCCをつくる」という気配をしめしています。
「格安」と「ブランド」と「どう使い分けて選ぶか」という心構えも必要になってきていますので、次回も含めて
少し詳しくお話してゆきましょう。
LCCシリーズ2
「輝くジェットブルー」・・・アメリカ模様
~すべては、デレグから~
LCCの始まりといえば、アメリカです。
1978年カーター大統領の時に、世界の航空を「地殻変動」させる「ディ・レギュレーション」
=規制緩和=略称デレグ、が始まりました。簡単に言えば、「機材を購入する・整備する・訓練された乗員を有する資金力」がなくても、明日にでも私がエアラインをやりたいと思えば、垣根も低く開業できる「秀島エアラインズ」が誕生できるような、ゆるい規制になったのです。この結果、見えない安全などそっちのけで、ひたすら「格安運賃」の大競争が始まりました。この結果、世界に巨大なネットワークを持ち、「アメリカの顔」とも言われていた「パンナム」がつぶれ、「TWA」「ウェスタン」「イースタン」なども破産に追い込まれました。路線ごとに多少の収益の差があっても、そのエアラインのトータルとして定期的に乗客の利便に対応する、ようなエアラインは、ついて行けなくなるしくみでした。この間、危ない、危ないといわれ続けた格安航空「ヴァリュージェット」が悲惨な墜落をし、世論も「安いだけでいいのか」という風に法的な改善も行われました。格安競争で多くのエアラインの栄枯盛衰がありましたが、その後には、「デルタ」「UA」「アメリカン」「コンチネンタル」「ノースウェスト」などサバイバルしたエアラインの寡占状態となり、「運賃」といえば気がつけば、「規制緩和」以前より高くなっていた、という結果になりました。
~ジェットブルーの秘密~
こうした中で、工夫に工夫を重ねて抜け出てきたエアラインがありました。「ジェット ブルー」や「サウスウェスト」という国内線中心のエアラインです。その特徴は、
●どこへ飛んでも100ドルぐらい
●値段は格安、サービスは、一流(全席革張りシート、個人用画面で衛星放送視聴可、などハード充実、CAにもプライドのサービス)
●すべて同じ機材を使う。Aー320(整備コストカット)
●中型機材しか使用せず、SHIP繰りの効率性を追及。
●最新の機材しか使わない。どんどん新機材に更新する(使用年数は、平均5,6年で整備コストカット)
●路線は、ポイント(地方 TO 地方)にして、網の目をめぐらす。
などにあります。
消費者の眼も肥えているアメリカでは、このような合理性がないとやってゆけない厳しさがあります。ただ、安ければよい、という物差しは、アジアや日本でしか通用しないのです。
いまや、「ジェットブルー」や「サウスウェスト」は、アメリカ最大の良質なエアラインといわれています。
では次回に、同じアメリカの国際線エアラインは、どうなっているのか、をお話したいと思います。
「格安」の空の彼方に!
ABOUT 「格安」のすべてを語る・・その2
~マドリード・スパンエア153名死亡墜落事故~
この企画を始めたとたんに、スペイン・マドリードで「スパンエアー」の墜落炎上事故が発生しました。大手エアライン(今回の場合はSAS・スカンジナビア航空)がその信用とブランドを傷つけないためにつくった「格安航空=LCC」の典型的なエアラインです。アジアやアメリカと違って、ヨーロッパでは、陸地続きで各国がひしめき、国際線も国内線のように網の目のように航空網は発達しています。また、「EU=ヨーロッパユニオン」独特の気風「安全への頑固さ」ということもあって、比較的「格安」についても「世界からの信頼」は強いものがあったにもかかわらず、「内容としては、事故原因究明を待つまでもなくかなり粗雑なエアラインの安全対応」が明らかになっています。
「頑固さ」という点では、例えばフランスのシャルルドゴール、オルリー空港などでは、「危険なエアラインのブラックリスト」をつくり、「発着拒否」をしているほどです。
そういう点では、「EUの信頼」も地に落ちた残念な大事故となっています。
~日本人搭乗客がいなかった、と言っても~
日本のメディアは、大事故と言うことで一時的には、センセーショナルに事故報道をします。しかし、日本人が搭乗しているか否かで、その後の報道や、「日本をめぐる格安航空と関連があるか」などの追求は、変わってきます。日本人がいないとなるとまるで持続的ではなくなり、「日本の環境」と比較して教訓を引き出す方向にも無関心になるというのがこれまでの特徴です。
~「もって他山の石とせず」とするならば・・・~
今回の事故の特徴は、主に以下に象徴されます。
●老朽化した機材
日本ではほぼ退役しつつある、MD機材を30機も使用している。各機体によって多少の差があってもおおむね20年以上の経年である。古ければ疲労も激しく、新機材よりも整備の手数はかかるのだが、新機材を購入しない政策は、整備を手厚くする経費をかけているわけがない。また、このMD機とは、マクドネルダグラス社が製造したもので、年を経るごとに新しいパーツも減少してきている可能性も高く、中古パーツを使いまわしている。
日本では、元JASがこの同系タイプを運航していました。運行中は、エンジンの「タービンブレード破損」で欠航もたびたびあった。現在はJALと合併したことで、JALのペイントでMD2機種がなお運航されている。
2004 年 1 月 19 日
日本エアシステム(JAS)が保有するMD81(定員163人)とMD87(同134人)のエンジン部品に亀裂や破損が見つかり、同社は18日夜から同型機(計25機)の緊急点検を始めた。このため19日に運航予定の約400便のうち計120便が欠航し、約7000人に影響が出る見通し。
国土交通省によると、亀裂の生じたエンジンは交換が必要。MD81やMD87などMD80シリーズを導入している日本の航空会社はJASだけという。
また、同じMD社では、DC-10型機がありますが、『福岡空港発ホノルル行きのJALウェイズ58便(DC10)のエンジンが離陸直後に出火した事故で、日本航空は13日、内視鏡(ボアスコープ)を使ってエンジン内部を調査し、エンジンのタービンを回すブレード(回転翼)の2段目以降で損傷が起きているのを確認した』
ということになり、JALは同機を時をおかず退役させた。
●グランドターンバック(GTB)していた
離陸してから何らかのトラブルで引き返すのをエアーターンバック(ATB)滑走路・誘導路上から引き返すのをGTBといいますが、よほどのことがないとパイロットは引き返したりしません。推定するに
重大なトラブルがパネル上にもインディケイションされたことと推定できる。特に格安航空は、多少のことがあっても機長判断で飛べ、というなプレッシャーがかけられているのが通常である。
●遅延をためらった
現地、新聞「エルムンド紙」によれば、いったんは、「機体変更」まで検討していたが、エアライングラウンドサイドの判断で、再度の離陸を決定している。飛ぶ飛ばないの判断は、「機長に」と建前ではあるのだが、最終的な権限は、空港支店の責任者が決める、というのが実状である。遅延すれば、乗客の「他社へのトランスファー(振り替え)、クレームを言う乗客への説明・説得、到着地からの帰路便も遅延・欠航も考える、などへの難事態を避けたいとのことが先行したと推定される。
「サービス」と違って、整備・操縦室・客室乗務員の品質など安全運航へのコストカットは、乗客からは「目で確認」することはできません。これを良いことにしていわゆる「格安航空」は次々に「隠れた側面でずさんとも言える」運航品質低下をしています。
私が、「不安を指摘し続けてきたこと」が次々に起きています。利用者の「安ければよい」という見方、エアラインは、コストカットで儲けを上げよ、という世論にあらためて、警告をしてゆきたいと思います。
次回は、「格安」といってもグレードがある!といういことでお話します。