~羽田空港の管制トラブル、フェイルセイフも効かず~
8月2日、夏休みもあって混雑する羽田空港で、管制システムがダウンしました。飛行機の発着がすべて止まり、旅客は、異常事態に遭遇し、大きな混乱をきたしました。約1時間後に復旧しましたが、「航空会社」にとどまらず、航空全体を「監督・指導すべき」航空局管制のトラブルには、不信の声が強まっています。
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このトラブルが与えた影響は、全体で33便が遅延、欠航しました。このこと事態も「利用者」から見れば大きな事態ですが、もっと「構造的でゆるがせない問題」も提起されたと見るべきと考えます。
~何のためのバックアップシステム?~
停電といっても、今回の事態は「管制事務所」だけに起きた問題でした。公共交通をはじめとして、重要なシステムには「FAIL-SAFE」(=ミスであれ、故障であれ、ひとつ駄目になってもバックアップの体制を作る考え方)が貫かれています。この日の停電には、これが働きました。つまり、停電したとたんにこれを緊急にバックアップする非常用電源がオンになり、ウォーニングランプが付きました。このランプの監視を任務とする「監視員」がこれに気がついてバックアップの第二系統の電源に切り替えていれば、当面表面的には、大事には至らなかったのです。ところが、監視員がこれを見落としたため、非常用電源バッテリーが電池切れとなり、第二系統の電源を作動することも出来なくなったということなのです。
これは、虚空局の発表と報道されていますので、まず間違いないものと思います。
~そのとき、現場は・・・~
管制では、羽田の管制室から「埼玉県所沢市の国土交通省東京航空交通管制部」に管制不能の通報があり、
着陸予定の各便を周辺空港(成田、中部など)に振り分けたり、燃料に余裕がある便は上空待機させたりしたということです。
該当の各便のパイロットには、周波数を変えた無線で管制指示を行いました。
各エアライン並びにパイロットの動きは、「天候不順あるいは緊急事態発生」に備えて、各フライトプランは、オルタネート(代替)の空港があらかじめ設定されていますから、大きなパニックはなかった模様です。
~「国」としてこの事態をどう見るのでしょうか?責任は?~
続発するエアラインのトラブルや管制ミスに対して、残念ながら「メディアが騒ぎすぎるのではないか?」という声も時々耳に致します。果たしてそうでしょうか。
幸運にも「人身事故」となっていないからそんな呑気なことがいえるのではないでしょうか。
例えば、航空局東京空港事務所の管制では、過去にも「JAL機のニアミス」は記憶にあることと思いますが、といっても昨年から今年にかけてだけでも、大きなミスが続いています。
①ジャンボ機:東京タワーに”ニアミス” 管制官は交信せず。 2004年9月19日
東京湾上空で9月19日未明、バンコク発東京国際空港(羽田空港)行きのタイの航空会社のジャンボ旅客機が、通常の進入ルートを大きく外れ、東京タワー(東京都港区、高さ333メートル)と高度差約200メートルにまで接近していたことが判明しました。
「視認進入の際に決まった経路はなく、管制上は特段の問題はなかった。天候は良く、管制官は見守っていたということではないか」と航空局は述べていますが、その後のコメントでは、「当該機がどういう航跡をたどるか、まではウォッチしていなかった」ということがわかりました。
法的義務はなくても、未明の早朝にジャンボ機を首都東京上空に、超低空で飛来させたことを考えれば、管制官が当該機を監視し、助言して、(ルートを外れた)機長のミスを断ち切ることもできただろうと思います。この点で、私は、”管制ミス”とも言えると思います。
『首都東京のセキュリティー』、『当該の時間は、飛来する航空機もごくわずかであり、watchするのは、当然』という観点です。
②羽田空港の閉鎖中の滑走路に日航機を誘導、着陸させた管制ミス。2005年4月29日
当日管制官が18名交代の任務についていたが、滑走路が工事中であることを、誰も認識していなかった。
チームの責任者からも、情報共有するブリーフもなかった。着陸許可を申請してきたJAL機の機長から指摘さ れても、間違った指示を出し続けた。JAL機長の的確な判断がなければ、大惨事となった可能性もあった。
更に、事件後、下記のような改善策が上げられましたが、正直な話、こんなこともやっていなかったのか、
と逆に驚いてしまいます。まさに、先進科学の活用不十分、フェイルセイフの体制不十分で、「ヒューマンファ クターによるミスが起きないのが不思議」ということを、あらためて示したものといえます。
[ 国土交通省は6月13日、羽田空港の閉鎖中の滑走路に旅客機を着陸させた管制ミスの再発防止策などを 話し合う「航空管制の安全に関する研究会」(座長・山本雄二郎高千穂大客員教授)の初会合を開き、
国交省側が(1)滑走路の閉鎖に関する情報を管制官が使うコンピューターの画面に表示するシステムを
今後6カ月で整備、羽田空港では7月から一部運用する(2)羽田空港の滑走路の閉鎖や工事計画などの
情報を共有するための運営委員会を7月1日に設置する-などを防止策として挙げた。]
~テロ対策上も、問題・・・。~
この問題は、航空機の航行上の安全というだけでなく「日本の空を麻痺させるのは、以外に容易い」という印象を露呈しており「テロ対策上」も「あってはならないこと」と思えて仕方がありません。
本日、3度目の「ロンドン爆破事件」が発生したと聞いています。耳にたこができるといわれそうですが、セキュリティー問題では、「ロンドン」は他人事ではないとの関係各機関の意思統一が必要なのではないでしょうか。
新たな情報がはいり次第、修正・追加を 致したいと思いますが、とりあえずコメントいたしました。
本日、フジテレビ05:30~08:00放送の「めざましテレビ」でもコメントを述べました。
【参考】
☆操縦士の腕頼りで着陸=滑走路目前の2機-悪天候なら混乱も・羽田トラブル
東京・羽田空港の管制システムが一時ダウンしたトラブルで、停電のため計器誘導ができない滑走路に、約400人乗りの大型ジェット旅客機が、パイロットの腕に頼る航法で相次ぎ着陸していたことが3日、分かった。気象条件が恵まれた場合だけに可能な手法で、関係者は「悪天候なら着陸やり直しとなり、混乱が増す可能性があった」と指摘している。(時事通信) – 8月3日6時3分更新
”危険な領域”にはいり込んでいる!『航空』
One thought on “”危険な領域”にはいり込んでいる!『航空』”

羽田空港の管制機能が完全に停止してしまうなんて!
お昼のニュースで第一報を知りました。いくら朝夕よりはゆとりがあるとは言っても、羽田空港の混雑具合から考えると、無事で済んでなにより、と思います。
『羽田で管制塔が停電、空港を一時閉鎖…27便に影響』
2日午前11時33分ごろ、東京・羽田空港の管制塔への電源供給が突然止まり、レーダーや無線が使用不能となり、飛行機の離着陸が一切できなくなった。
管制システムは約30分後に一部復旧し、午後0時33分ごろから運航を再開したが、同空港へ向かっていた飛行機が成田空港など別の空港に急きょ着陸したり……