すべては、航空全体の問題!ノーズギア脱落/JAL、飛行高度ミス/ANA

~”報道ステーション ” テレビ朝日でコメントしました~
6月15日、前日の「ANA機の高度ミス飛行のニュース」に続いて、JAL機B767-300が羽田空港ランディングの際に、「ノーズギアのタイヤ2個が同時に脱落、バースト」という考えられない事故が発生しました。
JALに対しては、「事業改善命令」が出されている中でトラブルは止まりません。また、ANAでもシリアスなトラブルも発生してきています。
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航空全体に起きている構造的な背景について、お話しする機会を得ました。
詳細は、アップロード 準備中です。後刻ご覧戴ければ、幸甚です。  6月16日
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この日は、JAL機の前輪(ノーズギア)のタイヤが2輪とも、脱落したことで、社会的に「驚き」が走りました。こうした事態を受けて、番組は、「なぜ、航空に、そしてなぜ日本航空にトラブルが集中しているのか」という点に迫るものでした。
ポイントとしては、
1.飛行機を運航してゆく上で要となるセクション、「パイロット・ディスパッチ=運航」「整備」「客室」のそれぞれの
 部門でまんべんなくトラブルやミスが続出しているということの深刻さ
2究極のコスト削減によって「安全を守る」場面にどんなしわ寄せが生まれているか
3.JALの場合、JASとの合併がどんな要素を持ち込んでいるか。
などをコメントしました。
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時間的制約があり、申し上げたいことをすべて網羅することはかないませんでしたが、
少なくとも「多発する航空の重大連続ミス」の背景には、「安全守る経費にもコスト削減の波が押し寄せている」ことがある、ことは伝えることができたことと思います。
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JR西日本事故の教訓とも合致いたしますが、今後公共交通機関たるもの、とくに多くの人命を預かる「航空」の経営のあり方については、社会的に再考を要する問題であるでしょう。また、最後に加藤氏が指摘された続くトラブルは、「JAL・ANA」を問わず、航空界全体の問題であるとのご意見にも賛意を表明いたしました。

まさかの「ディ・コンプレッション」 発生!!

~緊急事態にも冷静な対応で、無事着陸
       JAL047便、成田到着目前で・・。~
 
5月12日 フジテレビ ”とくダネ”に出演、コメントいたしました。
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5月8日、ニューヨークから成田へ向かっていた日本航空47便に、ディ・コンプレッション(いわゆる急減圧)が発生しました。同機は北海道の南東約370km付近の太平洋上を高度1万1000mで航行中でしたが、機内の与圧が急激に低下したため、急遽高度3000mまで「緊急降下」し、新千歳空港に緊急着陸しました。
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原因は、事故調査委員会によって解明中とのことですが、与圧を調整する「アウト フロー バルブ」に何らかの異常が発生したのではないか?といわれています。
ところで、こうした「急減圧」のケースは、めったなことで起きることはなく、私の30年の乗務経験でも遭遇したことはありませんでした。2005年2月にスカイネットアジア航空119便でも「酸素マスク」が落下し、緊急降下した事件がありましたが、計器上の問題で、現実に機内の空気が漏れ、気圧が低下する事態ではなかったように聞いております。
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1万メートル以上の高々度を飛んでいる時でも、機内の気圧は、富士山の6合目程度(0.8気圧)3000㍍に与圧されています。旅客として搭乗しているときは、地上にいるときの気圧(1気圧)よりやや低めの中にいるとは、あまり気がつかないものですが、お酒やビール・ワインを飲むと約2倍の「酔い」が回ります。酔った自覚がないものですから席を立ってトイレに行こうとした途中で「失神!」というケースは、珍しくありません。また、高度4万フィート周辺を航行する場合は、さすがの客室乗務員も動き回ると「ふー、ふー」いってしまいます。
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この「急減圧」では、酸素が含まれた機内の空気が機外へと吸い出されてゆきます。そのイメージは、映画で目にしている方も多いと思います。私はつい最近観たのですが、映画007シリーズ「Die another day」にもこのシーンが映し出されていました。幸いにして今回のケースは、機体が大きな損傷(大きな穴など)が開いたわけではなかったようなので、いわゆる「スロー ディ・コンプ」--比較的ゆっくりとした減圧ーーの状態だったようです。ボーイング747機材では、機内の気圧が高度4340㍍=14000ftになると、自動的に「酸素マスクが落下し、供給システムが作動」し、同時に「緊急降下中」のアナウンスメントが流れるようになっています。
ちなみに、人間にどんな状態が起きるかといいますと「低酸素症」です。有効意識時間といいますと、
   12400㍍(40000ft) では 15秒、10700㍍(35000ft)では、45秒です。
緊急降下をしないと酸素マスクなしでは、あっという間に意識を失うということです。その上始末に悪いのは、段々意識をなくすのではなく、「大丈夫!」と思っていても突然意識を失う症状になるのです。
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6100㍍(20000ft)まで降下しますと、マスクなしでも、10分程度は持ちこたえられます。
コックピットのパイロットは、こうした事態に備えて、「5秒」で酸素マスク装着できる訓練を受けています。また客室乗務員も安全高度3000㍍(10000ft)に至るまでは、着席して酸素マスク装着、その後はポータブルの酸素ボトルを背負って乗客の援助にまわるという厳しい教えを受けています。
普段訓練を受けている乗員・乗務員でもこの事態は、大変な緊張化におかれたことと思います。
今回のケースでは、乗員の冷静な対応には大きな拍手を送りたいと思いますが、それ以上に私が感心したのは、満席に近い中で、乗客の皆さんが慌てることなく、一人一人が「酸素マスク」を手にして、安定高度まで耐えたということでした。
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今回は、SNA機に続いた形で、JAL機で事件は発生しましたが、「備えあれば憂いなし」の機体の安全性、非常機材の点検に緩みはないか、など 航空全体に 問題を投げかけている点もあろうかと思います。
利用者としても、「安全性の高さ」をエアラインの評価基準にしてゆく眼を持つことも迫られてきているのではないでしょうか。